8月第5週(8/26−9/1)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 失業率最悪、初の5%(8/28) ***
総務省によると、7月の完全失業率は、現在の調査形式が始まった1953年以来初めて5%台(季節調整値)に乗った。有効求人倍率も、0.01ポイント悪化し0.60倍となった。IT分野の不況を背景に、製造業の就業者数が大幅に減少し、非自発的失業者は横ばいであったが、希望退職などによる自発的失業者が増えた。男女別にみると、男性が5.2%と過去最悪を更新し、女性は4.7%で、男女とも前月より0.1%ずつ上昇した。就業者数は、6,452万人と、4カ月連続で減少した。製造業は、1,288万人と前年同月から58万人減り、前月(43万人)以上に従業員削減が進んだ。
完全失業者は、330万人で、年齢別には15−34歳が162万人と、全体の半分弱を占める。高校や大学を卒業しても、就職しない人や、別の仕事をしたいとして自発的に就職した人が大半である。特に、15−24歳の失業率は、9.4%と最も高水準である。25−44歳の層は、女性の方が男性より失業率が高い。この世代の女性は、結婚や子育てなどのため、いったん仕事をやめたりするためとみられる。しかし、45歳以上になると、男女の失業率が逆転する。55−64歳では、男性失業率は、それまでの3%台から6.6%へと一気に上昇する。年齢制限のため、中高年の男性の就業環境が厳しくなるためといえる。
(2) 7月の鉱工業生産指数2.8%低下―5カ月連続で悪化(8/30) **
経済産業省によると、7月の鉱工業生産指数(95年=100)は、95.0と前月より2.8%低下し、5カ月連続の低下となった。IT関連やアメリカ向け輸出の低迷が原因である。5カ月連続悪化は、金融機関の破綻があった97年8−12月以来のことである。
(1) アメリカ景気減速鮮明に(8/30) ***
アメリカの今年4−6月期の実質GDP成長率は、年率0.2%に下方修正された。このため、景気の減速が一段と鮮明となった。この改定値をめぐり、ゼロかマイナス成長になるかもしれないという懸念があったが、辛うじてプラス成長が維持された。ハイテク部門を中心とする企業の設備投資の落ち込みを、底固い個人消費で穴埋めしているという状況である。
GDP | 0.2% |
個人消費支出 | 2.5% |
民間設備投資 | −14.6% |
民間住宅投資 | 5.8% |
民間在庫投資 | 0.0% |
純輸出 | 0.0% |
輸出 | −12.2% |
輸入 | −7.7% |
政府支出 | 5.4% |
GDPデフレーター | 2.2% |
(2) 欧州中央銀行(ECB)0.25%利下げ(8/31) **
欧州中央銀行は、ユーロ圏の金融政策を決める定例理事会を開き、市場介入金利を、現行の年4.5%から0.25%引き下げ、年4.25%とすることを決めた。5日の金融調節から適用する。域内の景気悪化に対応し、一段の金融緩和を実施する。利下げは、5月10日以来今年2回目である。金融政策の軸足を、物価から景気に移したといえる。
(3) 世界連鎖株安の様相(9/1) ***
世界的な連鎖株安の様相が、強まっている。アメリカ景気の減速が日本や欧州に波及し、世界の主な国・地域で同時進行的に景気が落ち込むという懸念が強まっているためである。ITブームにより昨年初めまで急上昇した反動が大きく、昨年の高値からの下落率は、米店頭株式市場(ナスダック)総合指数が6割強、日経平均株価が5割弱に達している。欧州、アジアでも、下落率は、二桁となった。一段の株安と景気悪化の悪循環を断つためには、主要国による政策協調が欠かせないとの見方が強まっている。