6月第3週(6/10−6/16)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 1−3月期GDP年率マイナス0.8%成長(6/11) ***
内閣府によると、今年1−3月期の実質GDPは、前期比0.2%減、年率換算で0.8%減となり、2四半期ぶりにマイナス成長となった。民間設備投資や外需がGDPを押し下げた。アメリカ経済の落ち込みやIT関連の需要落ち込みが、大きく影響した。その結果、2000年度の実質GDP成長率は、0.9%となった。 である。
(2) 銀行の株保有二重に制限(6/13) *
金融庁による全国の銀行の株式保有制限の具体案が明らかになった。株式の保有残高を自己資本額と同額以下に抑える総量規制を採用し、また株式のリスクの大きさを現行の5割増しとし、株式保有が多いほど自己資本比率が下がる仕組みにする。二重の制限により、株価の変動に強い金融システムを作る。銀行法改正案を秋に国会に提出し、2004年からの適用を目指す。
(3) 大手16行の不良債権―不動産業向け3割超す(6/13) **
大手銀行の不良債権に占める建設業、卸・小売業、不動産の3業種の割合が、2001年3月期で、57.1%に上った。特に、不動産向けの比率が、3割を超えており、3業種への貸し出しが銀行の重荷となっている。正常債権の多い製造業も、景気の低迷により割合が上昇している。
不動産業 | 32.8 |
サービス業 | 18.3 |
卸・小売業 | 14.7 |
建設業 | 9.6 |
製造業 | 7.6 |
金融・保険業 | 7.1 |
(4) 経常収支黒字対アジア32%増(6/13) ***
財務省による2000年の地域別国際収支状況によると、日本の貿易がアジアへの依存度を強めている。輸出入額とも、地域別にはアジアは第一位である。また、アジアへの経常収支の黒字は、前年比32.2%増の3兆8019億円であった。アジアの輸出入の増加は、産業構造の変化を伴い、景気に左右される欧米向けに比べ、相対的な位置付けが増している。
(5) 株取得機構期間2006年まで−政府が債務保証(6/14) **
銀行の企業との持ち合い株を買い上げる「銀行保有株式取得機構」の金融庁原案が明らかになった。機構は、民間銀行の出資で設立され、銀行が任意に株式を売却できる。また、リスクの高い株ばかり機構に押し付けられないように、対象銘柄に基準を設ける。買い上げ資金には政府保証をつけ、市場で株式を再売却する際の民間銀行の損失負担を、出資金の範囲内に限る。出資金で賄えない場合は、財政資金で穴埋めをする。利益が生じると、出資した銀行に配当として分配する。
(6) 企業部門の悪化鮮明−6月の月例経済報告(6/15) ***
6月の月例経済報告は、景気が後退局面にあることを示す内容となった。4,5月の月例経済報告では、「弱含み」であり、経済の一部で弱い材料を抱えていることを指していた。しかし、6月は初めて「悪化」の表現を使い、大半の分野で減速傾向が鮮明になったことを示している。
企業部門では、生産、設備投資、収益の悪化が鮮明になり、個人消費の動きも鈍い。米国経済の停滞もあり、今秋はさらに景気は落ち込むとの見方も出ている。
(1) EU拡大実現へ共同歩調(6/16) *
EU15カ国の首脳会議が始まり、中東欧諸国の加盟問題などを協議した。7日のアイルランド国民投票では、拡大の前提となるニース条約が否決されたが、加盟各国は拡大に向けた共同歩調を重視し、同条約を修正しないことを確認した。
用語「ニース条約」EU加盟国が、現在の15カ国から27カ国にまで増える可能性を踏まえ、意思決定を全会一致から多数決に比重を移し、一部加盟国だけでも政策統合をできる仕組みを盛り込んだ。15カ国首脳は、2002年末までに批准を終えることを約束した。
(1) 温暖化対策米国が独自案(6/12) *
ブッシュ大統領は、国際協力による地球温暖化の仕組みの解明や温暖化防止の研究強化を提案し、温暖化ガスの排出削減義務を先進国に課す京都議定書に,改めて不支持を表明した。7月のボンでの地球温暖化防止会議に向け、米欧の対立が鮮明になっており、日本がどちらにつくかにより、議定書の発効が決まる可能性が高まっている。京都議定書の発効には、55カ国以上が批准し、批准した先進国の温暖化ガス排出量の割合が、55%を超えることが必要である。欧州とロシアで合計50%弱であり、8.5%のシェアの日本がどちらにつくかで、議定書発効の行方が決まる仕組みとなっている。
(1) 東電大口向け実質値下げ(6/10) **
東京電力は、工場などの大口需要家(使用規模2千キロワット以上かつ2万ボルト以上の高圧電線で受電する顧客)向けに、長期契約制度を導入し、基本料金を1年契約より2−3%安くする。基本料金を含めた電力料金全体で、1%前後安くなる。昨年3月の大口電力小売り自由化以降、20件の顧客が東電から新規参入者に移った。2003年度にも、自由化範囲が広がる見込みで、東電も顧客確保のため営業戦略見直しに着手した。