9月第4週(9/16−9/22)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 終身雇用崩壊後の課題(9/16) **
大手電機・情報関連企業が、8万人規模の人員削減に乗り出した。日本企業の終身雇用神話は崩れた。しかし、今後新しい雇用・人事制度をどう作るかが課題となる。中高年社員を狙い撃ちしたリストラ策だけでは、残った社員の士気が低下しかねず、競争力の再生は望めない。
(2) GDPデフレーターって何?(9/16) *
GDPデフレーターとは、経済全体の物価水準を示す指標である。日本では、供給に比べ需要が少ない状態が続き、13四半期連続でマイナスが続いており、デフレ(物価下落)の進行を示している。
国内の物価動向を示す指標には、他に消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(WPI)があるが、それぞれ小売価格と卸売価格を調べ算出している。CPIは、GDPの6割の個人消費の対象の財のみを対象にしているが、GDPデフレーターは企業の設備投資を含めた総合的な物価の動向が読み取れる。
また、GDPデフレーターは、外国で生まれた付加価値は含まれないため、GDPデフレーターが、ホームメードのインフレを図る指標といわれるゆえんである。
(3) 日経平均1万円割れ−意外感なし、楽観論なし(9/17) ***
12日の日経平均株価が1984年8月以来、約17年ぶりに1万円の大台を割った。1989年12月の最高値(3万8,915円)から約4分の1に落ち込み、東証一部では300兆円の時価総額が消えた。市場に大きな驚きがないのは、日本独自の問題が根底にあるといえる。第一は、小泉政権の構造改革の遅れである。当初予定より先遅れが目立ち、投資家心理を弱気にさせた。第二に、IT不況による企業収益の悪化である。9月に入り、ハイテク企業だけでなく、素材産業にも年初来安値を更新する銘柄が目立っている。第三に、持ち合い解消売りという需給悪化要因も見逃せない。
(4) 基準地価10年連続下落(9/20) ***
国土交通省によると、7月1日時点での基準地価(都道府県調査結果)は、全国平均で前年比4.1%下がり、10年連続の下落となった。前年の3.6%より、下落率は拡大した。企業のリストラによる土地売却を反映しているといえる。土地の含み損の拡大は必至で、金融機関の不良債権処理にも影響が出そうである。
(5) 改革先行プログラム明らかに(9/21) **
政府が優先的に取り組む構造改革を示した「改革先行プログラム」の全容が明らかになった。不良債権処理を加速するため、株価や格付けなど市場の評価が急落した不振企業向けの貸し出し債権について、金融庁が大手銀行に対し、特別検査を実施する。整理回収機構(RCC)は、民間資金を活用し、不振企業の再生を促進する新基金を設立する。また、デフレを弱めるため、雇用対策やITなどの分野の規制改革を盛り込んだ。
(1) 米欧0.5%緊急利下げ(9/18) ***
アメリカ同時テロの世界経済への悪影響を最小限にとどめるため、米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)は、17日協調利下げに踏み切った。FRBは、短期金利の指標のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5%引き下げ、年3.0%とすることを決めた。公定歩合も0.5%引き下げ、年2.5%にする。ECBも最重要の政策金利である市場介入金利を0.5%引き下げ、年3.75%とする緊急利下げを決めた。
(2)WTO部会、中国加盟へ文書採択(9/18) **
世界貿易機関(WTO)の中国加盟の多国間作業部会は、17日加盟条件を盛り込んだ議定書などの合意文書を採択した。中国は、幅広い市場開放を約束した。自動車の輸入割当制を2005年までに撤廃し、各種工業製品、農産品の関税も大幅に引き下げた。サービス分野も、電気通信、流通、金融などで外資の参入を段階的に拡大する。加盟は、手続きを経て、年内にも発効する。中国は、加盟に伴い、広範な市場開放に取り組むほか、WTOルールに沿った国内法制の見直しも進める。例えば、海賊版商品の取締りなど知的所有権保護の強化策、輸入品と国産品で異なる検査体制の統合など基準認証制度の改善、外資に国産品を一定以上使用することを義務付けるローカルコンテスト要求の撤廃などである。既存の加盟国は、中国の輸出攻勢に備え、「対中特別緊急輸入制限(セーフガード)措置」を創設する。また、中国を加盟後15年間は「非市場経済国」とみなし、対中反ダンピング措置発動にも、特別に緩やかな条件を定める。
WTOは、18日にも台湾についても合意文書を採択し、中国に続いて加盟実現の運びとなる。