9月第5週(9/23−9/29)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 民事再生法の申請件数施行以来1182件(9/23) *
大手スーパーのマイカルが経営破たん(負債総額1兆7428億円)し、民事再生法の申請のケースとしては、昨年7月のそごうグループ(負債総額1兆8700億円)に次ぐ規模の破綻であった。同法は、再建型倒産手続きを規定し、昨年4月に施行された。破綻企業の申請により、裁判所が再生手続きの開始を決定し、企業は再建計画を作り債権者の同意を経て債権を始める。帝国データバンクによると、同法の申請件数は今年8月までに1182件(負債総額千万円以上の企業)に達した。民事再生法は、債務超過など破綻状態になる前に申請できる上、債権者の過半数の同意で迅速に再生計画が決定でき、和議法や会社更生法に比べ、利用しやすい。また、現経営陣が残れるため、債権を円滑に進めやすい面もあり、申請の拡大につながっている。今後、銀行の不良債権処理の加速により、再生法の申請件数は増える見込みである。
(2) 景気先行き9割が悲観(9/25) ***
日本経済新聞社の全国世論調査で、景気の先行きについては、「当分よくなるとは思えない」と「今後さらに悪化する」を合計した数字が92%と過去最高となり、景況感が一段と悪化していることが分かった。92%は、1987年の本社調査以来最悪の水準である。金融危機当時の98年10月の90%を更新した。
(3) 公的資金「含み損」8000億円(9/27) **
99年に実施した公的資金注入の5兆2600億円により政府が受け取った大手銀行13行の優先株が、8月末時点で8000億円の含み損が発生していることが分かった。銀行の株価が落ち込んでいるためで、優先株を普通株に転換して市場で売却すれば、政府の損失が確定し、国民負担となる。政府は、リストラなど経営改善へ向け、大手銀行に圧力を一段とかけることになりそうである。
注:優先株・・・普通株より、特定分野で優先的な取り扱いが認められている株式である。日本では、優先的に配当が受けられる「配当優先株」が一般的である。株主総会での議決権はないが、配当がなければ議決権が発生する。
(4) 銀行収益に株安の打撃(9/28) **
株価の大幅な下落で、銀行が保有する株式に評価損が発生し、9月中間決算で銀行は巨額の評価損が迫られそうである。評価損の処理損失は、大手銀行グループで、数百億から二千億円超に上る見通しである。最終赤字になる銀行が相次ぐ公算が大きい(三菱東京フィナンシャル・グループは、28日9月中間決算で700億円の最終赤字になると発表)。株価低迷が続くと、一部の銀行は、来年3月期決算で公的資金の優先株配当が難しくなる公算が大きい。
注:評価損の処理損失・・・減損処理または強制評価減という。企業が保有する株式の時価が簿価を大幅に下回った銘柄について、損益計算書に評価損を計上することである。日本公認会計士協会の指針では、下落幅が50%以上は、原則として全銘柄が対象になる。30%以上50%未満の銘柄も、株価回復の可能性がなければ対象に加える。
(5) 完全失業率5%最悪続く(9/28) **
総務省によると、8月の完全失業率は5.0%と、過去最悪の7月と同水準になった。倒産や解雇などによる非自発的失業者が、3カ月ぶりに増加に転じ、女性の完全失業率は過去最悪と並ぶ4.8%に上昇した。また、厚生労働省によると、有効求人倍率は、前月より0.01倍減少し0.59倍となり、1年2カ月ぶりに0.6倍を割り込んだ。
(6) 政府・日銀、円押し下げ一段と(9/29) **
政府・日銀は、市場介入で円相場を押し下げる姿勢を強めている。1ドル=120円前後まで誘導する意図が明らかで、今回の介入の総額は2兆円を突破した模様である。国内のデフレ圧力を緩和し、企業収益に打撃となる円高を阻止する狙いである。政府は、10月のG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)でも為替安定に向けた協調を各国に働きかける方針である。
(1) アメリカ主要500社10年ぶり2割減益へ(9/26) ***
アメリカ企業の収益が、同時テロの影響で一段と悪化する。航空、旅行、メディア、金融などを中心に業績予想の下方修正が広がり、2001年の7−9月期の営業利益の前年同期比の減少率は、20%を超える見通しである。四半期ベースで減益率が2割を超えるのは、約10年振りである。
2000年度 | 1999年度 | |
名目GDP | 510.8兆円 | 513.7兆円 |
実質GDP成長率 | 1.0% | 1.4% |
鉱工業生産指数 | 4.0% | 3.5% |
新設住宅着工戸数 | 121.3万戸 | 122.6万戸 |
現金給与総額 | 0.4% | −0.8% |
所定外労慟時間 | 2.9% | 0.4% |
有効求人倍率 | 0.62倍 | 0.49倍 |
完全失業率 | 4.7% | 4.7% |
消費支出 | −1.2% | −1.8% |
M2+CD | 2.2% | 3.2% |
消費者物価指数 | −0.5% | −0.5% |
経常収支 | 120,782億円 | 126,427億円 |
貿易・サービス収支 | 63,573億円 | 78,494億円 |
円相場 | 110.45円 | 111.56円 |
日経平均 | 15,616.39円 | 18,049.90円 |
(%は、完全失業率を除き前年度比の伸び率) |