10月第1週(9/30〜10/6)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 要注意先債権って何?(9/30) *
要注意先債権とは、金融庁が設けた銀行の貸出債権の分類の一つである。赤字決算になるなど、債務者の財務内容に問題があるものをいう。要注意先債権のうち、三ヶ月以上利息の支払いが滞っているものなどを「要管理債権」という。要注意先債権は、全国の金融機関で109兆6千億円あり、うち要管理債権は13兆3千億円である。銀行は、要注意先債権には債権額の2〜5%の引当金を積み、要管理債権には15%の引当金を用意している。要注意先債権が注目を浴びているのは、不良債権になりかねない予備軍が大量に含まれている恐れがあり、銀行経営への不安が払拭されないためである。9月に民事再生法を申請した大手スーパーのマイカルも、要管理債権ではなく、要注意先債権に分類されていた。政府は、「改革先行プログラム」で、株価など市場の評価が大幅に下がっている企業を中心に、要注意先債権を洗い直し、引当金を積み増す方針を示している。しかし、保有株の評価損が増加するなかで、引当を強化すると、銀行の自己資本が急激に減り、金融システム不安が再燃する懸念がある。そのため、公的資本を再注入するという案が浮上している。
(2) 景況感3期連続悪化−日銀悪化(10/2) ***
日銀が発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)は、3期連続悪化となった。製品需給の悪化が物価を押し下げ、企業収益の減少や設備投資の抑制につながる悪循環が顕著である。民間調査機関でも、実質GDP成長率の下方修正が相次いでおり、政府への景気対策の声が強まりそうである。
(1) 台湾経済が失速−初のマイナス成長へ(10/1) ***
2001年の台湾は、1951年の統計開始以来、マイナス成長が確実となった。アメリカのIT産業の低迷で、輸出が大幅に落ち込んでいる。さらに、対中投資による産業空洞化や金融機関の不良債権問題など、経済は急速に悪化している。また、同時多発テロや大型台風もあり、台湾経済の悪化はアジアでも突出してきた。
(2) アメリカ0.5%追加利下げ(10/3) **
アメリカ連邦準備理事会(FRB)は、短期の指標金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を、0.5%下げ年2.5%とすることを決めた。今年9回目の利下げであり、累計の下げ幅は4%になる。また、公定歩合も0.5%引き下げ、2.0%とした。FF金利から物価上昇率を引いた実質金利はもほぼゼロとなり、積極的な金融緩和策といえる。
(1) 電力自由化テコ入れへ(10/3) *
経済産業省は、電力の自由化拡大に向け、検討に入る。参入が進まない状況に、同省や新規事業者は不満を強めている。昨年3月の改正電気事業法の施行で、2000キロワット以上の大口顧客向けの小売りが自由化された。異業種6社が自前の電力を供給しているが、今年5月以降新たな参入はなく、自由化は失速気味である。参入企業からも、電力会社の送電線使用量(託送料)が高すぎるという、不満が漏れる。自由化拡大の焦点は、家庭用も含めた全面的自由化である。そして、発電会社と小売り会社が電力を売買する「プール市場」の創設も検討課題である。国際的に割高な電気料金の引き下げは、日本の競争力にも直結し、地域独占に守られてきた電力会社が、営業領域を越えて競争する体制が欠かせないといえる。
(2) 特殊法人改革54法人見直し先送り(10/6) **
石原行革担当相は、行革推進事務局がまとめた特殊法人と認可法人の組織見直し案を提出した。日本政策投資銀行など54法人は、改革案の提示を先送りし、廃止や民営化を打ち出したのは、日本道路公団を含む道路4公団など34法人にとどまった。首相が1兆円の削減を求めていた特殊法人と認可法人向けの2002年度の概算要求額は、約4兆7千億円で、今年度に比べ約5,800億円減った。政府は、今回示された案を軸に、年内に全法人の改革方針を決める。