12月第4週(12/17−12/23) *印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)関西興銀、東京商銀を再生委員会破綻認定―日銀特融へ(12/17) *
柳沢金融再生委員長は、在日韓国人系の国内最大の信用組合の関西興銀と東京商銀信用組合を正式に破綻認定し、金融整理管財人の派遣を決めたと発表した。6月末で、関西興銀が510億円、東京商銀が193億円の債務超過状態であった。日銀は、預金払い戻しの急増に備え、必要に応じて特別融資(日銀特融)を実施することを決定した。
(2)ITの貢献度は生産増加の7割(12/18) **
経済企画庁は、7−9月期の情報技術(IT)関連の生産や設備投資が、日本経済にどれだけ貢献しているかをまとめた。鉱工業生産増の約7割、輸出増の約3割、機械受注増の約7割、新規求人数増の約3割が、半導体などの電子部品や通信機などIT関連によることが分かった。広範囲で、ITの比重が高まっている。
(3)整備新幹線3区間着工決定(12/19) *
2001年度の整備新幹線の建設計画が、決まった。2001年度に、北陸、九州新幹線の3区間に新たに着工し、2012年度をめどに北陸新幹線・長野−富山間や九州新幹線・鹿児島ルートなどの完成を目指すことで合意した。整備方式をフル規格に格上げすることで、総事業費は7割も増えることになる。
(4)新規国債28兆3180億円―来年度予算(12/20) **
宮沢蔵相は、来年度予算の大蔵原案を各省庁に内示した。一般会計は、6年ぶりに縮小する。政策的経費である一般歳出を1.2%増やして、景気への配慮を示すとともに、新規国債を28兆3180億円と13%減らし、財政再建もにらんでいる。公債依存度は34.3%と低下するが、依然高水準である。財政投融資計画は、32兆5430億円と今年度比15%の大幅減となる。
[歳出] | |
一般歳出 | 48.7兆円(48.1) |
地方交付税等 | 16.8兆円(14.9) |
国債費 | 17.2兆円(22.0) |
[歳入] | |
税収入 | 50.7兆円(48.1) |
その他収入 | 3.6兆円(3.7) |
国債 | 28.3兆円(32.6) |
(5)10月の景気一致指数18カ月連続50%超−バブル期超す(12/20)***
経済企画庁は、10月の景気動向指数の改定値を発表した。景気の現状を示す一致指数は、85.7%(速報値)から70.0%に下方修正した。しかし、50%を18カ月連続で上回り、バブル期の89年8月から90年12月の17カ月を超えた。企画庁は、「景気は改善の方向」と判断している。景気に6−9カ月先行する先行指数は、77.8%へ下方修正されたが、依然堅調である。
(景気動向指数については、本ホームページの情報サービスの「日本経済事情概説」を参照)
(6)日経平均1万4000円割れ(12/21) **
20日に日経平均株価が、1万4000円を割り込んだ。株価は、大手銀行の含み益が消える水準にまで低下し、貸し渋りの懸念が出てきている。アメリカ景気の先行き懸念に加え、持ち合い解消売りへの警戒感が高まっている。
(1) アメリカマネー伸び悩み鮮明―融資増加率低く(12/19) **
アメリカでマネーの伸び悩みが鮮明になってきた。銀行貸出の前年比増加率が9月半ば以降鈍化し、通貨供給量(マネーサプライ)の伸び率も2カ月連続で低下している。後者の伸び率は、9月10.4%を頂点に10月9.8%、11月8.7%である。景気の減速による資金需要の後退が、マネーの動きに表れてきたといえる。
(貨幣市場については、原山広之「合格への30題−経済原論II」コ−ナンソフト 2000年参照)
(2) アメリカの関税分配法に日欧はWTOに提訴へ(12/19) *
日本政府は、鉄鋼への反ダンピング関税の収入を、被害を受けた業界へ分配するアメリカの「バード修正法」を、EU(欧州連合)などとともに世界貿易機関(WTO)に提訴する方針を固めた。分配金は、WTO協定に違反する補助金にあたり、自由貿易に違反すると判断した。反ダンピング措置を連発するアメリカに対し、包囲網を敷く大型通商紛争に発展する見込みである。
(3)アメリカ連邦準備理事会(FRB)金融緩和へ転換(12/20) ***
FRBは、19日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、当面の金融政策の方針を「インフレ警戒型」から「中立型」を飛び越し、「景気配慮型」にした。インフレ懸念が薄くなったというより、景気減速となっているとの判断から、FRBは98年以来秋以来の金融緩和姿勢に転じ、昨年半ばからの引き締め局面は終了した。
(4) 陰るアメリカ個人消費―ネット・クリスマス減速(12/23) *
アメリカの個人消費が減速するなか、インターネット販売も伸び悩んできた。クリスマス商戦のネット販売は12月に入り急速に鈍化し、前年同期に比べ2割程度の伸びになっている。今までは2倍以上の伸びが続いていたが、消費者心理の落ち込みが、ネット販売にも影響してきた。
(1) 公正取引委員会がNTT東日本に警告(12/21) **
公正取引委員会は、NTT東日本が、既存の電話回線を使って高速インターネットの送受信ができるデジタル加入者線(DSL)回線事業において、独占的地位により競合する接続事業者の新規参入を妨害したのは、独占禁止法三条(私的独占の禁止)違反であるとして、同社に文書警告した。公取委が、公益事業に私的独占の疑いがあるとして警告したのは初めてである。これを受け、郵政省はNTTの光ファイバー網や電力会社の電柱を使って事業者が独自の通信施設を敷設できるようにするなど、新規参入促進策に焦点をあてたルールづくりを急ぐ予定である。
(2) 電通審答申−通信市場競争促す(12/22) *
電気通信審議会(郵政省の諮問機関)は、通信市場の競争促進策を片山郵政相に答申した。同大臣は、次期通常国会に電気通信事業法などの改正案を提出する方針である。同答申では、通信料金を引き下げるため、2003年秋までに地域通信市場で競争が進展しなければ、NTTグループを完全に分離・分割するように提言している。また、NTTが独占している地域の公衆回線網や光ファイバーの開放を求めている。さらに、持ち株会社のNTTのNTTドコモなどへの出資比率を引き下げ、NTTグループ内の競争を促進し、通信料金の低下につなげるとしている。
(3) 異業種の銀行参入出資比率で規制(12/22) *
金融審議会(金融庁などの諮問機関)は、異業種企業の銀行業参入ルールなどの最終報告をまとめた。銀行への出資比率が20%以上の企業に、株式取得の事前認可制や取得後の立ち入り検査を可能にする内容を盛り込んだ。また、銀行が経営不振になった場合、銀行への出資比率が50%超の企業に対し、金融庁が救済を命令できることを明記した。来年4月にも、最終報告に基づく改正銀行法が施行される見通しである。
(4) NTT東西市内通話料下げ発表(12/22) *
NTT東日本は、来年1月10日に現行3分10円を9円に値下げし、来年5月1日にはNTT東西両者が同8.8円とし、同8.6―8.8円の料金を予定する新電電各社に対抗する。