12月第5週(12/24−12/30) *印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済事情]

(1)マイカル45店閉鎖・グループ1500人削減(12/25)*

 小売業大手のマイカルグループは、赤字の約100店のうち,黒字化が難しい約45の赤字店の閉鎖や、正社員の7%にあたる1500人程度の初の人員削減を柱とする再建計画をまとめた。また、子会社の売却も進め、1兆1600億円に上る連結有利子負債を圧縮する。


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(2)個人消費出遅れ鮮明―正念場の自立回復(12/26)***

 経済企画庁は、2000年版「日本経済の現況」(ミニ経済白書)を発表した。景気は、企業部門を中心に回復過程にあるが、個人消費の改善が遅れているため、回復軌道にのりきれていないとしている。個人消費の低迷の理由としては、過去2年度現金給与総額が減少を続けたことや、社会保障など老後の暮らしに不安が高まったことが、消費の抑制につながったとしている。また、株安やアメリカ景気の減速による輸出の鈍化など懸念材料が浮上しているため、今後の景気動向に慎重な姿勢をとっている。


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(3)失業率悪化4.8%・就業者は増勢続く(12/26) **

 総務庁によると、11月の完全失業率は前月比0.1%上昇し、4.8%であった。男性の完全失業率は5.0%,女性は4.5%であった。就業者数は、2カ月連続で前年同月を上回ったが、完全失業者数は309万人と3カ月連続で増加した。非自発的失業者は、3カ月連続で増えている。有効求人倍率は、前月比0.0.1上昇して0.65倍となった。業種別では、製造業が大きく減少し、IT関連を含むサービス業の就業者の大幅な増加が続いている。同庁によると「雇用は改善の動きを続けながらも、厳しい状況が続いている」とし、雇用判断を前月より厳しくした。


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(4)熊谷組の債権放棄合意へー住銀300億円負担増(12/27) *

 経営再建中の準大手ゼネコン(総合建設会社)の熊谷組が、15行に要請した4500億円の債権放棄交渉が、27日大筋で決着した。放棄に難色を示していた福井銀行などの負担額を減らし、主要取引銀行の住友銀行が300億円程度を追加負担し、新生銀行なども放棄を上積みする。また,放棄額のうち、200億円程度は13行を引き受け先とする第三者割り当て増資に切り替える。この合意により、熊谷組の債権問題は山を越える。


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(5)三井建設1630億円の債権放棄要請へ(12/28) *

 準大手ゼネコンの三井建設は、さくら銀行など12行に1630億円の債権放棄要請をする方針を固めた。グループ会社への融資や含み損を抱えた不動産の処理で多額の損失が発生し,9月中間期に連結で883億円の債務超過に陥っていた。首脳陣は退陣し、五ヵ年の再建計画を策定し、経営の立て直しを急ぐ。


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(6)国内132行不良債権1.3兆円増加(12/29) ***

 都銀・地銀など国内132行の不良債権が、下表のとおり9月末で29兆1631億円と3月末に比べ4.8%増え、1兆3364億円増加した(帝国データバンク調査)。景気回復の遅れや地価下落により、不良債権が予想以上に増加し、銀行経営を圧迫している。

9月末の不良債権(百万円) 貸し出しに占める不良債権比率
大手銀行(16行) 16,746,217 5.5%
地方銀行(64行) 9,204,416 6.8%
第二地方銀行(52行) 3,212,481 7.7%
合     計 29,163,114 6.1%(平均)


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[世界経済事情]

(1)アジア経済減速感一段と−対米輸出ブレーキ(12/27) ***

 アメリカ景気の減速により対米輸出が減少したため、アジア景気の減速感が一段と強まってきた。ほとんどの国・地域の政府・中央銀行は、2001年の実質経済成長率が2000年を下回るとの経済見通しをまとめ,各国の通貨・株価はこれを先取りするように下落基調をたどっている。


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(2)アメリカ設備投資は来年伸び半減(12/29) **

 アメリカ経済の景気拡大を牽引してきた企業設備投資の伸びが、2001年は急速に鈍化する見通しである。大手金融機関5社の予測を平均すると、来年の企業設備投資の増加率は7%と今年に比べ半減し、92年以来の水準にとどまる。今年のGDPの伸びへの寄与率が約4割ある設備投資の伸びの鈍化は、景気減速への懸念を一層高めている。


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(3)中国・私営企業の時代−改革・開放新段階(12/30) **

 中国は、78年に経済の改革・開放に踏み出して以来、平均で年率10%近い成長を達成してきた。国有企業に代わり,今後私営企業が経済のなかで比重を高め、牽引役になると思われる。99年の憲法改正で、「公有制経済の補完物」であった私営企業が、「社会主義市場経済の重要な構成部分」に格上げされた。憲法改正以降の変化は,劇的である。私営企業は、参入が認められなかった貿易,交通,通信,金融分野に参入できるようになり、銀行融資も国有企業と同様受けられるようになった。株式も上場できるようになり、赤字経営の国有企業を合併・買収(M&A)できるようになった。国は、国際競争力にかかわるハイテク産業や、軍需産業、電力などを除く大多数の分野から,国有企業を引き揚げる方針である。21世紀の中国経済は、間違いなく私営企業が支えることになる。また、世界貿易機関(WTO)への加盟により、私営企業の対外投資は増え、外国からの中国への投資も盛んになるであろう。中国企業は,世界の市場経済のなかで活躍する時代が遠からず来るであろう(中国のコングロマリット新希望集団会長)。


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[規制緩和]

(1) NTT光ファイバー網開放(12/27) *

 NTT東西地域会社は、両者が保有する光ファイバー網を他の通信事業者に有料で開放する。両地域会社は、26日他社への光ファイバーの提供条件を郵政省に報告した。家庭と電話局を結ぶ加入者回線は,一本当たり月額7898円で貸し出す予定である。電気通信審議会は、答申で低額の開放を義務付ける方針を示しており、NTTは料金の一層の引き下げを求められそうである。光ファイバーは、DSLの10―100倍の通信速度があり、本確的な動画像の伝送も可能になる。


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(2) 東電が東北で電力販売 ― 初の域外進出(12/27) *

 東京電力は、子会社を通じて東北電力の営業区域内の商業施設に小型発電設備(需要家の近くで発電・電力供給する「分散型電源」)を建設して、電力を販売する。東北を地盤とするヨークベニマルと契約し、34店に発電設備を設置する。東北電力など他社も東電と同様の子会社を設立しており、顧客争奪戦が激しくなりそうである。


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(3) 人材派遣,拠点網を拡充(12/28) *

 人材派遣各社が、2001年派遣スタッフ確保のため、全国で拠点網を拡充する。大手のマンパワー・ジャパンは,同年中に人材募集の拠点を1.5倍の120カ所程度に増やす。99年12月に改正労働者派遣法が施行され、対象職種が原則自由化され、営業・販売職など新分野の派遣が始まった。今年12月には、派遣スタッフから正社員への転換に道を開く「紹介予定派遣」が解禁となり,転職支援の一環として派遣するケースも増えている。

 労働省によると、12月の登録型派遣の事業所数は,前年同月比25.2%増の4878カ所で異業種からの参入も増えている。また、総務庁によると、8月の派遣労働者数は、前年同月比35%増の38万人に達している。企業が人件費圧縮のため、派遣スタッフの比重を高めており,人材派遣ビジネスは、今後も急拡大する見通しである。


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(4) ガス参入促進へ施設開放―通産省がルール作り(12/30)*

 通産省は、ガス小売り事業への新規参入者が,ガス,石油会社のパイプラインや電力、ガス会社の液化天然ガス(LNG)受け入れ基地を利用できるよう開放ルールを作る方針である。電力,ガス会社などに,利用料を公開させ、利用料が高いと判断した場合には変更命令を出せるような仕組みを検討する。外資や異業種による参入を促進し、欧米より割高なガス料金の引き下げを目指している。

 大手ガス4社が保有しているパイプラインは、大口利用者に限り開放している。これを、見直すとともに、中小ガス会社や石油会社のパイプラインにも開放ルールを適用することが検討課題となる。


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[行政改革]

(1) 特殊法人を廃止・民営化含め見直しへ(12/24) *

 政府が設立した法人のうち、総務庁が事業内容を審査するのが特殊法人で、それ以外を認可法人といい、主管の省庁が監督する。特殊法人は、日本道路公団など78あり、認可法人は,日本銀行など84ある。両法人は、インフラ(社会的生産基盤)整備など民間企業が手がけにくい分野を担当することが多く、多額の補助金をうけて増えてきた。両法人は、政府からの補助金だけでなく、監督する省庁から役人の天下りを多数受け入れてきた。民間企業のように、市場の荒波を受けず、効率運営できる法人が少ないのが実情です。

 しかし、行革の一環として,来年4月に60の独立行政法人が誕生することになり、政府設立法人が多すぎることになるため,整理する必要が生じてきました。削減の予定は、2005年までに両法人の見直しを終え、1.独立行政法人化、2.民営化、3.廃止、のいずれかに分類する計画である。この改革の成否は、微妙である。特殊法人などへの郵貯資金の貸し付けは,来年から取りやめるが、債券により自ら資金調達できる運営状態のいい法人はわずかで、結局は特別な国債を発行して助けてやることにする予定である。したがって、両法人は、独立行政法人に名を変えて存続することもありうる。


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(週刊時事トピックスは、12/30−1/3まで、正月休みを頂きます)


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