今回は、公務員試験に詳しい南関突八(なんかんとっぱ)氏に、N大の文系の学部に在学中で公務員志望の川口信子さん(仮名)が、公務員試験の勉強の仕方についてお聞きしました。
南関氏 教養科目でも専門科目でも、50問中40問の選択というように選択式の出題が多く、ある程度捨てる科目を作ってもいいと思います。やはり、誰でも出題されている科目すべてを十分に勉強することは不可能に近いですから。
川口さん 私は、文系の学部にいまして、教養科目の理数系の科目は苦手ですが、それでは捨ててもいいでしょうか。
南関氏 ええ、構いません。逆に、理数系の学部の学生は、歴史や地理等の科目は捨ててもいいでしょう。ただし、一般知能(文章理解、判断推理、空間把握、数的推理、資料解釈)は、文系であろうと、理数系であろうと、十分に対策を立てておかなければなりません。なにしろ、教養科目の必須科目で問題数も多いですから。
川口さん 私は、法学部でも経済学部でもなく、専門科目の法律や経済の科目をどのように勉強したらよいか不安があるのですが。
南関氏 例えば、経済学部の学生が、公務員試験の経済原論の問題を他学部の学生より解けるかというと、必ずしもそうではありません。大学の授業は、公務員試験の合格のために行っているわけではありませんので、公務員試験のための勉強が必要になってくるのです。したがって、どの学部にいるかどうかは、ほとんど関係がないとみていいでしょう。これからの頑張り次第です。
川口さん 公務員試験の倍率がとても高く、果たして一生懸命頑張って合格できるのかどうか不安があるのですが。
南関氏 確かに、倍率は10倍から30倍です。しかし、ほとんど勉強しないで受験する学生も相当含まれていますので、これが本当の倍率とは考えない方がいいでしょう。実質的には、本格的に公務員試験を目指して精一杯勉強した者同士の競争です。その意味で、実質的に2倍から3倍とみていいでしょう。その意味で、頑張りさえすれば可能性は高く、司法試験や公認会計士のような極めて難しい試験とは言えないでしょう。多くの学生が、十分に合格可能な試験といえます。
川口さん 国家U種試験を目指していますが、国家T種も出来れば目指したいのですが、両者のレベルの差はどれくらいありますか。
南関氏 必要な学力水準は、国家T種が高校程度の学力であり、国家U種は中学程度です。国家T種は、上位5大学で合格者の80%程度を占め、現実問題として厳しいものがありますが、国家U種は比較的どの大学の学生でも合格可能といえます。その点では、地方公共団体の上級(地方上級)試験も、国家U種と同じことがいえるでしょう。川口さん 私は、現在2年生ですが、いつ頃から勉強を始めたらいいでしょうか。
南関氏 合格者のほとんどは、T種でもU種でも遅くとも3年の10月頃から始めているようです。したがって、3年の春からでも始めれば十分過ぎるといえます。
川口さん 最初に、易しい科目から勉強したいのですが、どの科目が比較的易しいのですか。
南関氏 専門科目では、政治学、行政学、憲法、財政学、経済事情等が易しいとされています。これらの科目は、しっかりと勉強しての話しですが、得点しやすい科目です。やはり、ある程度の数学力が必要とされる経済理論(原論)や民法は、やや難しいとされています。
川口さん よく、分かりました。私でも、十分に準備すれば合格出来ないことはないということですね。これだけの予備知識をつければ、鬼に金棒です。今日は、本当に参考になりました。ありがとうございました。
南関氏 どういたしまして。御健闘をお祈ります。