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2001年上半期 日本経済10大トピック

2001年上半期の日本経済のトピックで、特に重要なものを10件ピックアップしました。これは、週間トピックからの抜粋です。


(1)雇用ミスマッチ拡大(2001/1/5) **

 求人と求職者の条件の不一致を示す「雇用のミスマッチ」が拡大している。公共職業安定所の新規求人件数に対する就職件数の割合を示す求人充足率の低下傾向が続き、昨年11月は前年同月比5.1%低下し24.9%となった。4人求人があっても、能力などにより1人しか採用されていないことを示している。求人充足率は、99年は30%前後であったが、2000年に入り低下傾向にあり、6月以降は20%台半ばを推移している。特に,求人が顕著に増加しているIT分野の充足率が低く、ミスマッチの改善が雇用対策の重要なカギになっている。


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(2)企業倒産の負債が総額戦後最悪の23兆円(2001/1/20) ***

 東京商工リサーチによる2000年の全国企業倒産白書によると、同年の倒産企業の負債総額は,前年比75.3%増の23兆8850億円であった。協栄生命保険、そごうなどの大型倒産が相次ぎ、負債総額は戦後最悪となった。倒産件数も、前年比22.2%増の1万8769件と高い水準が続いている。負債1億円未満の倒産が56.6%を占めており、中小企業の苦境を物語っている。


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(3) アジアからの輸入額欧米を抜く(2001/2/4) ***

 アジアからの輸入が急増している。2000年のアジアからの輸入額は、17兆609億円で、初めて欧米を抜いた。北米とEUからの輸入額は、約13兆8千億円であった。安価な衣料品などへの需要が急増していることに加え、半導体などIT関連製品への需要が根強いためである。日本企業は、安く作れるアジアを、海外での製造拠点の中心としている。この逆輸入が、アジアからの輸入増加の中心となっている。


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(4)円安構造改革へ好機120円台1年8か月ぶり(2001/3/9)***

 円安が進行している。8日の円相場は、一時1ドル=120円台半ばにまで下落した。120円台は、99年7月以来、1年8カ月ぶりである。景気減速や株安に加え、日銀の金融緩和の観測も円安を促進している。円安は、不良債権の処理に伴うデフレ圧力を緩和する効果ももつ。


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(5) 政府―緩やかなデフレ認定(2001/3/16) ***

 麻生経済財政担当相は、「現在の日本経済は、緩やかなデフレにある」との見解を示した。提出した3月の月例経済報告では、景気の現状について、「改善に足踏みが見られる」と、2カ月連続で基調判断を下方修正した。米経済の減速により、輸出や生産の見方を後退させ、設備投資の先行きに懸念を示した。


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(6) 公示地価10年連続下落(2001/3/23) ***

 国土交通省が発表した今年1月1日時点の公示地価は、全国平均で4.9%下がり、10年連続で下落した。企業のリストラのため、積極的に土地が売られたのが主因で、住宅地は4.2%、商業地は7.5%下落した。東京の中心部では上昇したところもあり、地下の二極化が進んでいる。

 公示地価:国や自治体が用地を取得する価格や国土利用計画法による土地取引の判断基準となる。他に、地価評価には、都道府県の基準地価、総務省の固定資産税評価、国税庁の路線価がある。路線価は公示地価の約8割で、相続税などの算定基準となる。


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(7) 景気後退懸念強まる(2001/4/27) ***

 政府の各省が発表した経済指標は、景気後退の懸念が強まっていることを示した。鉱工業生産指数は、年度全体では4.0%上昇したが、3月は2.1%のマイナスの伸び率であった。また、サラリーマン世帯の家計調査では、支出が減少し、雇用も有効求人倍率が低下するなど悪化している。消費者物価も、初の3年連続下落となり、デフレ傾向が鮮明になった。


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(8) 上場企業4期ぶりに増収増益(2001/5/19) **

 日経新聞社によると、上場企業の2001年3月期連結決算は、IT需要の拡大で経常利益が前期比41%増となった。売上高も5%増え、97年3月期以来、4年ぶりに増収増益となった。2002年3月期は、アメリカ景気減速により、連結経常利益で0.4%減の見込みで、99年後半からの回復基調にブレーキがかかるとみられる。


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(9) 大手16行前年度下期不良債権3兆4千億円発生(2001/5/26) ***

 大手銀行16行は、「破綻懸念先債権」など特に回収が難しい不良債権が、昨年度下期だけで3兆4千億円発生したことが分かった。これは、従来より査定を厳しくしたり、景気低迷で貸し出し先の経営悪化が進んだためである。16行は、下期に4兆4千億円の不良債権を最終処理(バランスシートから債権を切り離すこと)したが、債権の不良化が止まらないため、政府の方針により3年以内に最終処理を迫られる不良債権額は、11兆7千億円に達している。また、この最終処理のため、16行のうち、7行が2001年3月期決算で最終赤字となった。


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(10) 不良債権地域金融機関を圧迫(2001/6/2) ***

 全国の地方銀行・第二地方銀行の約6割にあたる70行の2001年3月期決算がまとまった。取引先企業の経営悪化が響き、不良債権残高は前期比16%増え、7兆円に迫る規模である。不良債権の処理により、最終損益は61%減の大幅減益となった。新たに発生する不良債権が経営を圧迫しており、大手銀行を含め株価の低迷要因となっている。


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