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2001年下半期 世界経済10大トピック

2001年下半期の世界経済のトピックで、特に重要なものを10件ピックアップしました。これは、週間トピックからの抜粋です。


(1)サミット首脳宣言採択し閉幕(2001/7/23) **

 主要国首脳会議(ジェノバ・サミット)は、三日間の討議を終え、首脳宣言を採択し、閉幕した。京都議定書の批准の主要国間の意見の不一致を認める一方で、温暖化防止で協力することをも明記し、結論を先送りした。また、発展途上国の貧困削減のため、「開放的で成長を続ける世界経済を維持する」という決意も表明した。

  首脳宣言の他の骨子

・ グローバル化は貧困層にも利益

・ 途上国が市場アクセスを得られるよう努力し、貿易による成長を支援

・ ODA(政府開発援助)は依然として必要不可欠

・ エイズ、マラリア、結核対策の世界基金を設立し、13億ドルを拠出

・ 途上国の教育に関する八カ国専門家作業部会の設置


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(2)「世界の工場」中国生産シェア急拡大(2001/7/27) ***

 中国が、工業製品などの生産量で、日本との差を広げている。日経による12品目のアジア生産量動向調査(2001年)によると、中国は初めて携帯電話でアジアの首位になり、DVDプレイヤーなど7品目で前年よりシェアを拡大している。一方、日本はVTRなど9品目でシェアを落とす見通しである。中国のWTO加盟もあり、日米欧から中国への生産シフトは一段と加速するものと見られる。

世界に占める中国と日本の製品別生産量シェア(%)
日本 中国
携帯電話 12.5 12.9
DVDプレイアー 18.5 38.3
VTR 2.5 23.2
デスクトップ・パソコン 3.4 11.9
カラーテレビ 1.3 24.6
四輪車 17.6 3.6 (2000年)
工作機械 23.6 5.6 (2000年)
二輪車 10.0 46.1 (2000年)
エアコン 18.5 38.7 (99年)


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(3)アメリカ財政黒字10億ドルに(2001/8/20) **

 アメリカ政府の2001会計年度(2000年10月から2001年9月)の財政黒字が、日本の一般会計に相当する部分で10億ドル程度に留まることが明らかになった。前年度は、約2370億ドルであり、大幅に減少した。民主党は、「財政悪化が急なのは、減税の規模が大きすぎたからだ」と批判している。政権側は、「財政悪化は昨年来の景気減速の結果。来年には景気は上向き、財政黒字も増え始める」と反論している。


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(4)世界連鎖株安の様相(2001/9/1) ***

 世界的な連鎖株安の様相が、強まっている。アメリカ景気の減速が日本や欧州に波及し、世界の主な国・地域で同時進行的に景気が落ち込むという懸念が強まっているためである。ITブームにより昨年初めまで急上昇した反動が大きく、昨年の高値からの下落率は、米店頭株式市場(ナスダック)総合指数が6割強、日経平均株価が5割弱に達している。欧州、アジアでも、下落率は、二桁となった。一段の株安と景気悪化の悪循環を断つためには、主要国による政策協調が欠かせないとの見方が強まっている。


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(5)台湾経済が失速−初のマイナス成長へ(2001/10/1) ***

 2001年の台湾は、1951年の統計開始以来、マイナス成長が確実となった。アメリカのIT産業の低迷で、輸出が大幅に落ち込んでいる。さらに、対中投資による産業空洞化や金融機関の不良債権問題など、経済は急速に悪化している。また、同時多発テロや大型台風もあり、台湾経済の悪化はアジアでも突出してきた。


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(6)欧州景気急ブレーキ(2001/10/26) ***

 欧州景気が、急速に悪化してきた。ユーロ圏12カ国の鉱工業生産指数は、二・四半期連続のマイナスに転落している。欧州中央銀行は、25日の理事会で利下げを見送ったが、ことし後半の成長率は相当低くなるとみられ、景気対策として一段の金融緩和が求められている。


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(7)WTO新交渉開始宣言(2001/11/15) ***

 ドーハでのWTO閣僚会議は、新多角的通商交渉(新ラウンド)の開始をうたう閣僚宣言を採択した。約3年間で、貿易、投資などの新たな通商ルールをつくる。94年に終了したウルグアイ・ラウンド以来7年ぶりに、自由貿易体制の強化を目指して動き出した。

     閣僚宣言の要点

a.交渉は、2004年末までに終結

b.農業の市場アクセス改善と輸出補助金の段階的撤廃

c.サービス貿易交渉の実施

d.非農産品の関税、非関税障壁の削減や撤廃

e.投資の多国間ルールを、各国の同意の下での2003年から交渉

f.ダンピング防止協定の明確化と規律改善の交渉

g.多国間環境協定とWTOルールの関係について交渉


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(8)ドイツ景気後退入り(2001/11/23) ***

 ドイツの7〜9月期の実質GDP成長率は、前期比0.1%減少し、二・四半期連続でマイナス成長となり、景気後退入りが確認された。設備投資は、前期比0.7%減と二期連続マイナスとなり、個人消費も前期比0.2%減となった。


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(9)アメリカ景気後退今年3月から(2001/11/27) ***

 アメリカの景気循環を認定している米経済調査局(NBER)は、アメリカ景気が今年3月に後退(リセッション)入りしたと発表した。91年4月から続いた史上最長の景気拡大は、10年で幕となった。


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(10)アルゼンチン債務一時支払い停止へ(2001/12/23) **

 アルゼンチンの暫定政権は、公的債務の元利払いを停止し、元本を30〜50%削減、償還期間を30年に延長、利回りを2%に抑える方針である。元本は2年間、利払いは1年間の猶予期間を設置するとしている。このような事態は、国際金融界でも織り込み済みであるが、一般投資家の理解が得られるか微妙であり、アルゼンチンの経済危機は、新たな段階を迎える。同国の公的債務は、1300億ドルあまりとされ、このうち外貨建て債権は約900億ドルに達する。


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