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2002年上半期 世界経済10大トピック

2002年上半期の世界経済のトピックで、特に重要なものを10件ピックアップしました。これは、週間トピックからの抜粋です。


(1)アルゼンチン、ペソ切り下げへ(2002/1/6) **

 アルゼンチンが、固定相場制を放棄し、新通貨制度作りに動き始めた。同国が、1ドル=1ペソの固定相場制を導入したのは、1991年であった。通貨の価値を安定させ、年率5000%に達していた超インフレの沈静化を目的としていた。最初は役に立ったこの制度も、次第に輸出競争力を弱め、デフレ圧力をもたらす弊害が生じてきた。特に、90年代後半にドル高となると、ペソも連動して実力以上に高くなってしまった。今回の経済危機で、政府は等価交換制度を見直すが、二重相場制は問題含みである。これは、過渡的な措置であり、結局は完全な変動相場制に移行せざるをえないとするエコノミストも多い。

(注)二重相場制:貿易取引用の相場は、ペソを三割程度切り下げたうえで、ドルなどとの固定相場を維持し、それ以外の国内取引はドルとの変動相場制を採用するとされる。

アルゼンチンの主要経済指標
実質成長率(%) 消費者物価(%) 経常赤字(億ドル) 対外債務(億ドル)
98 3.9 0.9 147 1419
99 −3.4 −1.2 122 1460
2000 −0.5 −0.9 89 1472


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(2)対中直接投資3年ぶり最高に(2002/1/15) ***

 新華社通信によると、2001年の外国企業の対中国直接投資額は、実行ベースで前年比14.9%増の468億4600万ドルと、3年ぶりに過去最高を記録した。WTOへの加盟を機に、家電や自動車部品メーカーなど労働集約型産業を中心に、製造拠点を中国へ移す動きが加速している。中国政府も、対中投資を促進するため、規制緩和を進める方針である。


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(3)WTO新ラウンド28日始動(2002/1/23) *

 世界貿易機関(WTO)の新多角的通商交渉(新ラウンド)が、28日始動する。日本は、企業が安心して海外に出て行ける環境作りを新ラウンドで目指す。反ダンピング措置の発動条件を厳しくしたり、海外直接投資の自由化・保護の枠組みを多国間で確立するなど、「幅広い通商ルールの整備・強化」に重点を置く。アメリカには、米州自由貿易地域の推進、EUには中東欧への統合拡大による大欧州の選択肢がある。地域統合作りに経験のない日本は、新ラウンドに軸足を置かざるを得ない。


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(4)欧州雇用低迷続く(2002/2/7) ***

  欧州の雇用情勢の悪化が続いている。2001年は、ドイツやフランスなどの主要国の失業率上昇が顕著で、2002年も改善する見通しは立たない。大手企業には、人員削減を打ち出すところも多く、生産拠点を中・東欧に移転する「空洞化現象」が主要国で起き始めている。なお、ドイツ政府発表によると、1月の失業者数は428万9900人と前月比32万6400人の大幅増となった。これは、2年ぶりの高水準である。また、失業率は、10.4%と約1年ぶりに二桁となった。


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(5)アメリカの景気後退の長さ平均的(2002/2/12) ***

  昨年3月からの景気後退(リセッション)は、今年1〜3月期には底を打ち回復に向かうとの見方が大勢となってきた。長期化予想の多かった今回の景気後退は、従来並みの期間で終了する公算が高まっている。最近になって、景気後退終了説が急速に強まっているのは、昨年10〜12月期に四半期として過去最高の1200億ドルの在庫圧縮が進み、売上に対する在庫の比率が過去最低の水準に低下したからである。今後は、在庫積み増しが始まり,生産が増えると見られる。


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(6)台湾初のマイナス成長(2002/2/23) ***

 台湾の2001年の実質GDP成長率は、前年比マイナス1.91%になった。世界的なIT不況が響き、年間で初のマイナス成長となった。台湾は、IT製品の輸出を通じ年4〜8%の高い成長率を誇ってきた。しかし、IT製品への傾斜が裏目に出て、統計開始の1951年以来初のマイナス成長となった。


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(7)中・東欧向け直接投資好調(2002/3/14) **

 2002年の中・東欧向け直接投資が、過去最高の2000年の水準を回復する見通しとなった。安価な労働コストを狙った日米欧企業の進出が、加速している。主に、西欧市場向けの製品の供給基地として、EU経済圏の景気回復をテコに、今年、来年とも3〜6%台の経済成長率を持続しそうだ。なお、中欧五カ国とバルト三国は、2004年にもEUに加盟する予定である。

(注)中欧五カ国:ポーランド、チェコ、ハンガリー、スロバキア、スロベニア、バルト三国:エストニア、ラトビア、リトアニア


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(8)日本ODA世界一に幕(2002/5/14) ***

 経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会によると、2001年の政府開発援助(ODA)の供与額で、アメリカが日本を抜いて首位になった。日本のODA額は、前年比28.4%減の96億7800万ドルに落ち込み、91年から10年間に渡り維持していたトップの座を明渡した。日本は、ODA大国の道を突き進んできたが、財政悪化の中で供与額は減額を迫られる。アメリカ同時テロを受け、欧米諸国は貧困解消のため、ODA拡充に動く構えである。


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(9)ドイツ、アメリカ頼みで景気底入れ(2002/5/24) ***

 ユーロ圏経済の約3分の1を占めるドイツで景気の底入れが確認された。1〜3月の実質GDP成長率は前期比0.2%となり、半年振りにプラス成長となった。しかし、景気を引っ張るエンジンは輸出だけであり、アメリカ経済頼みの側面が強く、内需は依然として弱い。


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(10)アメリカ景気懸念し、ドル安加速(2002/6/23) **

 アメリカで、株安とドル安が進行し、アメリカ経済に対する懸念が広がっている。景気は回復傾向にあるが、今年1〜3月より勢いが鈍化している。テロ再発への懸念と相次ぐ企業スキャンダルにより、アメリカ経済への信頼も揺らいでいる。市場の「米国売り」が続くと、本格的景気回復に影が差しつつある。このため、円高が加速し、東京市場では1ドル=120円を突破する可能性も出てきた。市場関係者の多くは、国内景気に配慮して、政府・日銀が円売りの市場介入に踏み切ると見ており、120円を巡る攻防が激しくなりそうである。


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