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2005年度対策 経済史・経済事情 連載 第1回
T 日本経済の動向
1 バブル経済とバブル崩壊
(1) 1980年代後半の株価・地価などの資産価格の大幅な上昇
理由 a.企業収益の急激な上昇、オフィス需要の増加、金利の低下 b.投機的需要の拡大によるバブルの発生
株価・・・89年末に、3万8915円のピークに達した。地価・・・83年ごろに東京都心の商業地より上昇し始めた。87年に大阪、名古屋、89年に地方圏へと地価上昇が波及していった。
(2) 金利上昇によるバブル崩壊
株価・・・90年に入ると急落し、イラクのクウェート侵攻による湾岸危機もあり、10月にはピーク時の約半分の2万円近くまで、下落した。地価・・・91年に本格的に低下し始めた。これは、金利の上昇、土地関連の税制の見直し、土地関連融資の総量規制などによる。
2 90年代の日本経済の低迷
90年代は、「失われた10年」ともいわれ、実質GDP成長率も、0%台や1%台の年度が多かった。その背景には、バブル崩壊による資産価格の下落による倒産、銀行の不良債権の累積が挙げられる。90年代の例外としては、96年の4.4%成長である。これは、消費税引き上げの駆け込み需要が、大きく働いた結果であった。
3 最近の日本経済
(1) 2000年11月からの景気後退とデフレ
2000年11月からの景気後退は、2000年後半からのアメリカ経済の景気減速やIT不況による。景気動向指数の一致指数も、2000年後半から50%を割る月が出始め、2001年からは50%割れの月が続いた。輸出が減少し、設備投資や住宅投資が大幅に減少した。2001年度は、実質GDP成長率が−1.2%と戦後3回目のマイナス成長となった。また、名目GDP成長率が−2.4%と、99年以来のデフレの進行が明白となっている。デフレは、企業の債務を増加させ、銀行の不良債権を増やし、経済活動の足を引っ張るという大きなマイナス面があるのである。
(2) 2002年1月からの景気拡大
2002年に入り、アメリカを初めとした世界経済の回復により、日本経済も景気後退から脱し、回復基調にあった。2002年2月から、景気動向指数の一致指数も50%超の月が続いている。
2003年は、99年秋以降続いているデフレの終息の見込みが立たないことや、年後半の円高の進行に先行きの景気が懸念されたが、2003年末からの個人消費の回復や、企業の設備投資の回復により、10〜12月期の実質GDP成長率が年率換算で欧米を上回る7.6%の高成長となった。さらに、2004年1月の鉱工業生産指数が予想を上回る伸びとなり、2月末から円安基調となり、景気拡大の弾みがついている。そして、2004年1〜3月期も実質GDP成長率は、6.4%の高い伸びとなった。その結果、2003年度の実質GDP成長率が3.2%と、96年以来の高い成長率となった。
同年4〜6月期は、1.3%と成長率は鈍化し、先行きの景気が懸念されているが、原油高や利上げの動向が景気にどう影響を与えるかが注目されている。