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2005年度対策 経済史・経済事情 連載 第3回


我が国の直接投資

 直接投資は、投資する国の企業の国内収益力が上昇するほど、つまり親会社の業績が上向くほど、またその国の為替レートが上昇するほど、増加するといえる。

1 我が国の対外直接投資

(1) 99年度の対外直接投資は、約667億ドルと前年度比63.7%増であった。 これは、過去最高の89年に次ぐ高水準であった。製造業投資が前年度比200%以上の伸びを見せたためである。一方、非製造業投資は、金融・保険業が大きく落ち込んだため、前年度比14.1%減となった。

(2) 2000年度の対外直接投資は、485億8,000万ドルと前年度比27.2% 減であった。前年の高い伸びの反動で、大きく減少した。特に、製造業投資が、IT関連分野等の大型投資が反動減となったため、前年度比72.4%減となったことが大きく影響した。

(3)2001年度の対外直接投資は、前年度比27.2%減の485億8,000万ドルと前年に続き減少した。これは、内外の景気後退が響いており、86年以来の低水準であった。

(4)2002年度は、景気回復もあり、前年度比14.1%増の368億5,800万ドルとなった。

(5)地域別では、2002年度は、第一位がEU,第2位が北米、第3位がアジア向けであった。

(6) 東アジア向け製造業投資は、85〜87年度までは、NIEsが日本の 最大の投資先であった。88年度以降、ASEAN4が、NIEsに取って代わった。そして、95年度には、中国がASEAN4に代わり、約45%を占めた。しかし、中国では、96年度以降、外資系企業の設備の輸入関税の免除が廃止されたこともあり、中国のシェアは急減し、96年度以降、ASEAN4が最大となった。したがって、日本の東アジア向け投資は、中国に一極集中しているとはいえない。

 2 我が国の対内直接投資

(1) 2000年度の対内直接投資は、282億7,600万ドルと前年度比31.5%増となり、3年連続で過去最高となった。なかでも、金融・保険業と通信業の伸び率が顕著であり、この2業種で、3分の2を占める。

(2) 2001年度の対内直接投資は、前年度比38.4%減の174億500万ドルとなり、4年ぶりの減少となった。しかし、2001年の世界の直接投資も半減しており、世界的な低迷を反映したものである。

(3)2002年度の対内直接投資は、世界的景気回復を反映し、4.4%増の187億2,200ドルであった。

(4)対内・対外直接投資比率は、97年度に1:9.8であったが、98年度以来3年連続過去最高となったため、同比率は、2000年度には1:1.7とかなり縮小した。


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