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2005年度対策 経済史・経済事情 連載 第6回

Y 世界経済の動向

 1 2001年からの世界景気の後退

(1)2001年は、世界同時減速により、ほとんどの国が景気後退となった。

(2) ITバブル崩壊により、アメリカが2000年後半から景気減速となり、アメリカへの輸出を中心に各国の外需が減少した。これが、各国の景気後退の大きな要因となった。

(3)IT関連製品の対米輸出の大幅な落ち込みにより、アジア諸国は景気が減速した。特に、2001年には、台湾とシンガポールが、マイナス成長となるほどであった。

(4)欧州も2001年第2四半期から景気減速となり、2001年の通年の実質 GDP成長率は大きく低下した。

(5)しかし、アメリカ経済は、2002年春には景気回復に転じたと見られる。ア ジアも同時期に回復したと見られる。予想以上に世界経済が早く回復した要因は、次のものが挙げられる。

a.IT関連製品の在庫調整が急速に進んだ。

b.原油価格の下落。

c.財政金融政策である。金利が過去最低水準になる国も多かった。

(6)2002年後半以降、イラク情勢の緊迫化により、欧米を中心に景気回復力は弱かった。アジアでも、対米輸出を中心に輸出が鈍化し、SARSも景気に影を落とした。

(7)しかし、2003年後半からは、アメリカ経済にけん引され、世界経済は着実 に回復した。アメリカ経済は、減税などのマクロ経済政策に支えられ、2003年後半には力強い景気回復となった。

 アジアでは、中国が10%近い高成長を達成し、この効果が他のアジア諸国・地域にも波及している。

 その結果、2003年の世界経済の成長率は、2.8%となった。

(8)好調な世界経済ではあるが、中国やインドの原油需要増加やイラク戦争などにより、原油価格は1バレル=50ドルを超えるという高水準にあり、金利上昇傾向とともに、世界経済の先行きの懸念要因となっている。

表10−1 世界名目GDPに占める各国・地域のシェア(2002年)

アメリカ 32.8%
EU 27.0%
日本 12.5%
東アジア 7.6%
中南米 5.3%
その他 14.8%


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