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2005年度対策 経済史・経済事情 連載 第7回
アメリカ経済
1 1991年4月からの約10年の最長の景気拡大
近年は、IT関連製品が成長を押し上げた。また、民間投資と個人消費の伸びによるところも大きかった。
2 2000年も4.1%の実質GDP成長率
(1) 2000年も需要は力強く伸び、2000年2月に、91年4月からの景気拡大が107ヶ月となり、最長の景気拡大となった。
(2) 失業率も4.0%にまで低下した。しかし、インフレ懸念が高まり、金融引締政策が行われ、公定歩合も99年8月から2000年6月まで5回引き上げられ、6.0%となった。
3 2000年後半からの景気減速
(1) IT関連製品の需要の減退により、後半からの減速は世界景気の減速を誘発するものであった。
(2) 2001年に入り、アメリカ経済は3四半期連続マイナス成長となり、10年ぶりの景気後退となった。2001年の実質GDP成長率は、1.2%と大きく落ち込んだ。そして、失業率も4.8%へと急上昇した。
(3) 2001年9月の同時多発テロによりさらに落ち込んだ景気は、アフガニスタンの軍事行動が早く収束したこと、財政金融政策の効果、そして原油価格の安定などにより、2001年10〜12月期には早くも回復へと向かった。
(4) 2002年は、回復基調にあり、個人消費が景気をけん引し、実質GDP成長率は1.9%であった。一方で民間投資は大きく減少し、失業率も5.8%へと上昇した。
(5) イラク情勢による緊迫化により、2003年前半まで回復力は弱まったが、FRBによる利下げや原油価格の下落、イラクの大規模戦争の終結により、2003年後半には、戦争などによる下押し圧力はほぼなくなった。5月からの減税が個人消費を伸ばし、設備投資住宅投資も増加し、7〜9月期は19年ぶりとなる8.2%の高い実質GDP成長率となり、力強い回復を示した。そして、2003年の実質GDP成長率は3.0%となった。
一方、失業率は2003年6月には6.3%まで上昇したが、景気回復を背景に、同年後半からは下落傾向にある。そして、2004年9月には、5.4%まで低下した。
4 財政収支の状況
(1) 80年代に、アメリカの財政赤字は一貫して増加してきた。
(2) クリントン政権下では、歳出の抑制や削減策が図られた。そして、大統領と議会が2002年までに財政を均衡させることで合意し、97年度の予算教書で示された。
(3) 98年度には、景気拡大による税収の大幅増と政府支出抑制により、29年ぶりに約692億ドルの黒字に転じた。99〜2001年度も1000億ドルを超える黒字が続き、特に、2000年度は約2370億ドルの大幅な黒字であった。
(4) 2001年6月に、ブッシュ大統領は、財政黒字を家計に還元する大型減税を決定した。また、9月の同時多発テロのための緊急歳出や国防費の膨張、航空業界への支援策、そして税収の減少もあり、2002年度には財政収支は1,578億ドルの赤字になった。97年度以来の財政赤字であった。
(5) 2003年度の財政赤字は、当初800億ドルと見込まれていたが、イラク戦費の累増により、3,742億ドルに膨れ上がった。
(6) 2004年度は、5,207億ドルを超える財政赤字が見込まれており、赤字削減は急務となっている。
5 経常収支赤字
(1) 経常収支赤字は、ドル安などにより88年以降減少したが、92年以降反転し拡大傾向にある。
(2) 2001年は景気後退により減少したが、前年の2000年の経常収支赤字は4,447億ドルと過去最大であった。貿易赤字が主な要因で、輸入が輸出以上に増加したためである。輸入の増加は、好景気による。
(3) 2002年の経常収支赤字は、景気回復による輸入の増加により拡大し、5,034億ドルと過去最大となり、対GDP比で4.8%となった。
(4) 2003年は、後半に景気が力強いものとなり、輸入がさらに拡大し、経常収支赤字は5,418億ドルとなった。
(5) 巨額の経常収支赤字は、世界からの証券投資などによりファイナンスされていて、経済成長を支えている。