4月第3週(4/13〜4/19)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 小泉政権、株下げた2年(4/23) ***
小泉政権は、26日で丸二年を迎える。デフレの下で、株価は44%も下落し、時価総額で約141兆円が消えた勘定である。政権が発足した一昨年4月26日の日経平均株価は、1万3,973円であったが、今年3月には遂に8千円台を割り込んだ。株価が大幅に下がれば、株式を大量に保有する銀行や生命保険会社は、巨額の含み損により体力を奪われ、金融危機の危険がある。そのため、株式などへの時価会計制度を簿価(購入価格)評価に改めるべきであるという意見が強まっている。
小泉首相は、今のところ2003年度補正予算の編成など積極財政路線に転換することには否定的である。経済政策を転換すれば、総裁再選は確実になる可能性が大きい。しかし、構造改革路線が大きく揺らぎ、再選狙いで抵抗勢力に屈したとの印象が強くなり、支持率低下につながりかねない。
企業倒産は、昨年19,458件と戦後2番目の件数となった。失業者数は、359万人(2002年平均)で過去最高を記録した。このような経済の現状に、経済界の怒りは、頂点に達しつつある。
(2) 不良債権特別損失1兆3千億円―大手銀行特別検査(4/26) ***
金融庁は、経営不振の大口融資先に対する大手銀行の査定状況を調べる特別検査の結果を発表した。対象となった167社のうち、27社への貸し出し債権2兆4千億円の評価を引下げた。貸倒引当金などの不良債権処理の追加損失は、1兆3千億円に達し、大手銀行の経営を相変わらず圧迫している。
大手銀行各行は、64社の要管理先債権に、将来収益に基づき引当金をはじく割引現在価値法により引き当てを実施し、引当金の総額は従来方法より4千億円増加した。また、要管理先債権の引き当て率は、従来の22%から35%へと13%上昇した。
(1) 追加減産不可避―OPEC総会(4/25) **
石油輸出国機構(OPEC)は、24日の総会で200万バーレル程度の減産を決めた。世界の原油市場が、イラク原油の生産回復などで下落圧力にさらされているという実情がある。石油収入への依存度が強いOPEC各国にとり、原油価格下落への危機感は強い。今後も価格維持のための減産は避けられない見通しである。
現在、代表的な7油種の平均価格は1バレル=25ドル前後とOPECが目標としている価格帯で比較的落ち着いている。しかし、原油相場には、需給面で多くの火種がある。まず、イラク原油が年末までに戦前と同じ水準に回復できると、アメリカ政府は予想している。また、ベネズエラは、ゼネストで生産量が生産枠の2割程度に落ち込んでいたが、スト沈静化により8割以上に戻した。民族紛争により混乱したナイジェリアも、生産体制を回復しつつある。こうして、市場の供給過剰感が高まることは不可避である。一方、新型肺炎(SARS)の影響も浮上し、SARSが航空機のエンジン燃料の需要減につながっていると懸念されている。このような状況の下で、市場の需給悪化の声が相次いでいる。
(2) アメリカ、1〜3月期年率1.6%成長(4/26) ***
アメリカ商務省によると、今年1〜3月期の前期比のアメリカの実質GDP成長率は、1.6%増(速報値)となった。イラク戦争の影響で、個人消費、設備投資が勢いがなく、前期の1.4%増並みの低い成長となった。全体の約7割を占める個人消費が前期比1.4%増に留まり、前期の1.7%増より減速した。
(1) CO2排出量市場、10月試行(4/24) **
経済産業省によると、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量を民間企業が売買する排出量取引市場を10月に試行する。50〜60社の参加を見込み、排出量売買が、どれだけの規模になるか、金額などを判断するためで、その後本格的な市場に発展する可能性がある。取引市場は、経産省が運営し、実際の金銭や排出量のやり取りはせず、仮想的な取引となる。経産省は、国主導の本格的な仮想市場を作ることで、2008年ごろ始まる排出量の国際的取引に備えた基盤形成を図る考えである。
京都議定書(経済事情―重要30用語参照)は、各国の二酸化炭素削減量を義務付けている。義務量を上回る削減を実現できそうな国と達成が出来そうもない国の間で、排出量取引ができると同議定書は定めている。国によっては、今後、企業に削減義務を課すと見られ、企業間の取引市場の創設が課題となっている。 |