8月第2週(8/3〜8/9)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 産業再生機構―支援第1号は?(8/5) **
企業の再建を後押しする産業再生機構の支援企業選びが、最終段階に入った。再生機構は、月内にも産業再生委員会を招集し、第一号企業を決定する見通しである。既に、再生機構と主力銀行が事前相談を進めている九州産業交通のほか、ダイヤ建設、三井鉱山などが、同時に第一号として選定される公算が大きい。 再生機構は、産業再生を実現し日本経済を立て直すためには、規模の大きい企業を手がけることが不可欠と考えている模様である。現在、複数の企業の再建計画の調整が大詰めを迎えていると見られるが、第一号決定後、後続の企業が順次、支援決定される可能性もある。
[産業再生の流れ]
再生機構に事前相談 → 不振企業と主力銀行が再建計画を作成 → 産業再生委員会の支援決定 → 再生機構が主力銀行以外の金融機関の再建を買い取り → 企業が再建計画を実行(主力銀行と再生機構が再建を後押し)
この結果、再建が進めば、産業再生機構が債権を他社に売却する。進まなければ、債権を整理回収機構などに売却する。
(2) 8月の月例報告―5ヶ月ぶり上方修正(8/6) ***
竹中経済財政・金融相は、8月の月例経済報告を提出した。基調判断は、「景気はおおむね横ばいとなっている。株価やアメリカ経済の動向など、景気をめぐる環境に変化の兆しが見られる」と、5ヶ月ぶりに上方修正された。ただ、横ばい状態にあるとの認識は、7月と同じで、内閣府は、景気は踊り場的な状態にあるとの判断は変えていない。
[個別項目]
生産・・・「弱含んでいる」から「横ばいとなっている」に上方修正(IT生産が好調)
雇用情勢・・・一部に持ち直しの動きが見られる(6月の完全失業律の0.1ポイント低下)
住宅・・・「横ばい」から「増加」へ上方修正(6月の新設住宅着工戸数が前年同月比13.4%増加))
(3)国債入札―長期金利を左右(8/7) **
長期金利の代表的な指標である10年物国債の利回りが不安定な動きを示している。しかし、5日の進発10年物の入札が順調であったことから、流通利回りは0.900%まで低下した(国債価格は上昇)。国債入札の結果は、このように長期金利に影響を与え、また企業活動や住宅の購入など国民生活にも影響を与える。
もし、入札額が募集額を下回れば、「札割れ」になり、人気がない国債は市場でも買い手がつきにくい。10年物国際は、札割れが起きても、約13000の機関投資家が構成するシンジケート団が売れ残りを引受けることになっており、国が資金調達を出来ない状況にはならないが、入札の結果は、国債への人気を示し、長期金利の動向を決める重要な意味を持つ。
(4) 中小向け融資―公的資金注入行8行で減少(8/8) ***
金融庁は、公的資金の注入を受けている23行のうち、8行が中小企業向け貸し出しの計画を達成できなかったと発表した。みずほフィナンシャル・グループが5兆6340億円の大幅減少となるなど、8行が前年同期実績を下回った。貸し渋りなどの指摘もあるため、金融庁は8行に減少した要因を報告するように求め、それによっては業務改善命令を出すことも検討する。みずほは、1月に大幅減が確実であったため、金融庁から既に業務改善命令を受けている。
また、税引き後利益は、13行が赤字で、計画を大幅に下回った15行(一部黒字行を含む)に、金融庁は既に収益向上を求める業務改善命令を発動している。この15行は、29日までに業務改善計画を提出する予定である。