8月第4週(8/17〜8/23)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)日経平均一万円台回復(8/19) ***

 東京株式市場で、日経平均株価が一年ぶりに終値で一万円台を回復したことで、1998〜2000年にかけてのIT相場のような長期の株価上昇局面が始まったとの期待が高まっている。しかし、デフレ不況の中でどこまで株価上昇が続くかは不透明である。

 4月28日のバブル崩壊後の最安値から7月第2週までの直近の高値までの市場のけん引役は、電気や自動車などのハイテク・輸出関連株であった。8月に入ってのリード役は内需関連株であり、内外の投資家が日本の景気回復に期待を高めていることが分かる。

 株価の長期下落に出口が見えてきた今こそ、政府・日銀が大胆な景気刺激策に踏み切るべきであるとの声は強い。


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(2)新ODA大綱―国益重視への路線変更(8/23) ***

 政府は、8月末政府開発援助(ODA)の原則を見直した新ODA大綱を閣議決定する。従来の大綱は、国際貢献と人道主義を二本柱にしていたのに対し、新大綱は我が国の安全と繁栄の確保に資するとして、ODAを国益に役立てることを強調した。厳しい財政事情から、ODA予算の削減も例外ではなくなったことに対応したものである。

 国際的な要請もあり、我が国は70年代後半からODAの量的拡大に努めてきた。先進国の多くが貿易赤字の中で援助疲れに陥る中で、日本は89年に援助額で初めて世界一位になり、91年以降一位を保ってきた。近年はテロの温床としての貧困の撲滅のために、欧米諸国はODAを増額している。一方、日本は、財政難からODA予算の削減を迫られ、今年度はピークの97年度の3割減の規模に縮小した。援助額で、2001年にアメリカに抜かれ、10年続いた首位の座を降りた。

 新大綱は、途上国の要請により援助を決めてきた方式を見直し、事前に日本の方針を伝える政策協議を活発化し、戦略的に援助内容の調整を図る。

 また、ODAは、異なる省庁で重複して援助するなどの無駄も指摘される。このため、省庁の縦割りを超え、一貫性をもつ運営ができる仕組み作りが、新大綱で求められた。

(ODAについては、週刊トピック「経済事情―重要30用語」を参照)


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[世界経済]

(1)中国、FTA戦略加速(8/19) **

 中国が、アジア地域でのFTA(自由貿易協定)交渉を加速させている。農業の自由化がネックとなり、FTA交渉が滞っている日本に対し、東アジア地域での主導権を着々と握りつつある。

 中国は、6月末に香港とFTAを含む経済緊密化協定(CEPA)を結んだ。経済が停滞する香港側の要請で2001年末から協議していたものである。また、マカオともCEPAの協議に入り、台湾にも協定締結を呼びかけている。

 タイとは、10月から農産物約200品目の関税を相互撤廃する。昨年11月に締結したASEAN(東南アジア諸国連合)とのFTAを含む包括的経済協力枠組み協定の一環である。タイ以外のASEAN諸国とも関税撤廃に踏み切る予定で、FTAは具体的な進展を見せている。

 このまま進むと、中国が東アジアの経済統合の主導権を握る可能性が大きいとの見方もある。しかし、中国がFTAで東アジアをけん引する力はまだないとの見方も根強い。

 中国は市場経済を導入してから10年と日が浅く、国内で模倣品の横行や商道徳の未発達など問題を抱える。また、人民元のドル固定制に対する国際的な批判も強まっている。

(FTAに関しては、週刊トピックの「経済事情―重要30用語」を参照)


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(2)カリブ共通市場創設の加速―ガイアナ大統領(8/19) **

 南米ガイアナのジャグデオ大統領は、カリブ海の14カ国、1地域で構成するカリブ共同体・共同市場(カリコム)で共通市場の創設を加速させる考えを明らかにした。一方、アメリカが2005年末までに創設を目指す米州自由貿易圏(FTAA)構想には、「小国が大国に飲み込まれる可能性がある」と懸念を表明し、地域統合を優先させることを強調した。大統領は、カリコムについて、関税や規制の撤廃を前倒しで実現しなければならないと述べた。


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