8月第5週(8/24〜8/30)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)日銀、異例の巨額オペ(8/30) **
金利が急上昇する中で、日本銀行が短期金融市場で4兆円の資金供給を行った。買いオペレーションによる資金供給で、22日から9月1日まで、4回に渡り計4兆円資金供給する。長短金利が、これ以上上昇すれば、日銀の量的緩和の効果が薄れるという判断である。巨額の買いオペにより、金利の上昇を抑制し、景気への悪影響を防ぐのが狙いである。
(2)15行、業務改善計画提出(8/30) **
金融庁から業務改善命令を受けた大手銀行・金融グループ5行と地方銀行・第二地方銀行は、収益改善策を盛り込んだ業務改善計画をまとめ、19日金融庁に提出した。各行とも2004年3月期が黒字決算となる計画を提出したとみられるが、経営環境は厳しく、収益目標の達成と、不良債権処理促進の板ばさみとなる懸念もある。
多くの銀行は、同計画に新たなリストラ策を盛り込んだ模様である。企業の資金需要も弱い中で、経費削減が最も確実な収益確保策であるからである。
2004年3月期決算で、今回の収益目標を3割以上下回ると、経営トップの退陣が迫られる。改善命令の原因となった今年3月期の赤字決算は、株価下落による損失が足を引っ張った。各行は、計画の前提となる株価を今年3月の月中平均とした模様である。日経平均株価は現在一万円を超えているが、低水準の3月の月中平均の8,169円を前提とすることで、来年3月に株価が大きく下落しても損失が出にくくする狙いがある。
(1)インドネシア、IMFから卒業(8/24) **
インドネシア政府は、97、98年のアジア通貨危機後に協力をしてもらっていた国際通貨基金(IMF)からの融資プログラムを、契約が切れる今年末で終えることを決めた。これにより、債権国への返済猶予も認められなくなる。
通貨危機当時、為替レートを安定させるため、インドネシアはIMFから段階的に約150億ドルの融資を受け、外貨準備を補てんしてきた。引き換えにIMFは、改革プログラムにより、補助金削減などによる財政再建、銀行の大規模再編、不良債権処理や経済法の整備など、構造改革を指導してきた。
インドネシアは、IMFからの借入金を2010年までに返済する計画である。現在、外貨準備高は350億ドル近くあり、IMFからの借り入れ残高(60億ドル)を全部返済しても、まだ余裕がある。しかし、インドネシアの公的債務は約700億ドルとGDPの約6割に匹敵する。IMFの管理から離れれば、来年だけでも30億ドルに上る返済の義務を負う。バリ島やジャカルタでのテロの影響や、汚職や密輸も横行する中で、今後の自力での改革がどれだけ成果を上げるかは疑問である。今後の経済動向によっては、日本が支援の拡大がを求められる可能性もありそうである。
(2) 人民元、日米切り上げを要望(8/27) ***
日米の対中貿易赤字が拡大しているのを背景に、中国の人民元切り上げの議論が再燃している。スノー米財務長官は、9月1日から日中両国を訪れ、日中両国の通貨当局者と相次いで会談する。中国には、人民元切り上げを迫ると見られる。その後のAPEC財務相会議、G7(先進七か国財務相・中央銀行総裁会議)で、人民元を巡る突っ込んだ意見交換が行われる可能性が高い。
「世界の工場」としての中国は、世界各国に輸出を拡大している。日米両国とも、2002年は、中国が第一の輸入相手国となった。一方で、日米の自動車、ハイテク企業は、労賃が安い中国に進出し、中国に部品を輸出し現地で製品化する国際分業体制を敷いており、人民元が切り上がることは必ずしも有利とはいえない面もある。
戦後の国際通貨体制を、世界銀行とともに支えてきた国際機関である。1947年に業務を開始し、通貨・金融システム安定のため、加盟国に必要な資金を融資する。アジア危機でも、タイ、韓国に援助したが、両国は融資を完済した。 |