１２月第３週（１２／１４〜１２／２０）＊印が多いほど頻出（最高３つの＊）

（１）厚生年金の保険料率上限１８．３５％−与党合意（１２／１７）　＊＊＊

　自民、公明両党は、２００４年の厚生年金改革の焦点となっていた保険料の上限を、当面１８．３５％とすることで合意した（現在は１３．５８％を労使折半）。厚生年金保険料を、来年１０月から毎年０．３５４％ずつ引き上げ、２０１７年度以降は１８．３５％で固定することを盛り込んだ。現役世代の手取り賃金に対する給付水準は、約２０年後に５０．１％とし、関連法案に給付水準の下限として明記する（現行５９．４％）。これにより、年金改革の骨格が固まり、政府・与党は、２月上旬にも年金改革関連法案を通常国会に提出する方針である。

　また、与党合意では、基礎年金の国庫負担割合を現在の３分の�Tから２分の１に引き上げる問題について、あらゆる手立てを講じて２００９年度までに２分の１とすると明記した。

（２）地銀中間決算、格差顕著に（１２／１８）　＊＊＊

　全国の地方銀行６４行の９月中間決算によると、本業のもうけを示す業務純益は、前年同期比１９．０％増の７，０７２億円に増加したが、税引き後利益は２，７８１億円の赤字に転落した。足利銀行とりそなグループ傘下の近畿大阪銀行が、大幅な赤字となった影響が大きい。２行を除く合計は、２，１３１億円の黒字と前年同期比７．８倍に増え、多くの地銀は業績回復が鮮明となっている。税引き後利益が赤字となったのは５行で、２行減った。

　業務純益が増えたのは、人件費や物件費などの削減によるリストラ効果が大きい。一方で、貸し出しなどの資産運用収益は、前年同期比４．０％減の１兆７，８４３億円であった。

　また、不良債権処理による損失は、同３２．３％増の６，７７５億円であった。９月末の不良債権残高は、１０兆２，２６５億円で、３月比で４．６％減少し、大手銀行だけでなく、地銀も不良債権処理が進んでいることを示した。

（３）与党２００４年度税制大綱決定（１２／１８）　＊＊＊

　与党は、２００４年度の税制大綱を決定した。住宅ローン減税は、現行のまま１年間延長することや企業の不良債権処理を促進するための税制措置など、住宅投資や企業経営に配慮した対応を盛り込み、高齢者への年金課税の強化や、個人住民税の均等割りの統一による拡大など、個人向けは増税色の濃い内容となった。政府は、通常国会に関連法案を提出する。

　同大綱では、２００４年度に６５歳以上高齢者の公的年金控除の縮減などを行うのに続き、２００５，２００６年度に所得税などの定率減税の縮減・廃止を検討、さらに２００７年度をめどに「消費税を含む抜本的税制改革」を実現するとした。

　また、国と地方の税制を見直す三位一体改革のため、２００６年度までに所得税から個人住民税に本格的な移譲を進める。それまでのつなぎ財源として、２００４年度に「所得譲与税」（当初のたばこ税の移譲から方針転換）を創設し所得税の一部を地方に移譲する。

（４）地方交付税改革道半ばー来年度９，０００億円削減（１２／１９）　＊＊＊

　地方の予算規模を示す２００４年度の地方財政計画が固まり、国と地方の税財政を見直す三位一体改革の来年度の全体像が決まった。改革の柱の１つであった地方交付税（特例交付金を含む）は、今年度より９，０００億円減の１６兆５千億円となる。地方向け補助金を１兆円削除し、地方が国の補助で行っていた事業をとりやめたり、地方単独の公共事業や給与水準が見直され、地方の財源不足が三兆三千億円減ったため、地方交付税の縮小につながった。

　一方で、国の所得税の一部を地方に配分する所得譲与税（たばこ税の移譲に取り変わった）などが新設されるが、これらは一般財源でもなく、地方交付税と大きくは変わらないという批判がある。

（地方交付税については、『財政学ミニ講座』（平成１６年度版）の「６．地方財政」参照）

（１）独禁法、課徴金大幅上げ（１２／１９）　＊＊

　公正取引委員会が来年の国会提出を目指す独占禁止法改正案の骨格が、明らかになった。談合などを自主的に通報した企業には課徴金を減免する制度の創設を明記し、国税庁並みの強制調査権の導入を盛り込んだ。課徴金については、制裁的な性格を持たせるため、現行の６％からの大幅な引き上げを示唆している。また、参入企業が新たに構築することが不可能な不可欠施設（送電線やガス導管など）について、既存企業が利用を拒否・差別した場合には、「迅速・効果的に排除する」規定を設ける。公取委は年明けの通常国会提出を目指している。