7月第5週(7/27〜8/2)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1) インフレ参照値―望ましい物価上昇率(7/28) **

 デフレからの脱却は、現在の日本の金融政策の最大の課題である。最も注目されている政策が、インフレターゲットの導入である。これは、中央銀行が何年ごろまでにどの程度の範囲の物価上昇率を目標にすると宣言し、そのために金融政策を行うというものである。インフレターゲットを導入する最大の目的の一つは、国民のデフレ予想を払拭することである。政策手段がなくインフレターゲットの導入が難しいのであれば、もう少しマイルドなインフレ参照値という考え方がある。これは、定義が必ずしも明確ではないが、望ましい物価上昇率を示すに過ぎず、実現のための期限や政策努力も義務付けられず、実現できなくても直接には責任を問われない。望ましい物価上昇率を市場に送れ、デフレ予想から脱却できる効果も期待しやすいというのが、インフレ参照値の導入論である。

 ゼロ金利が続き、金利水準はメッセージの意味が小さくなっている。また、量的緩和は、手段であっても政策目標とはなりにくい。こうして、政策目標としては、インフレ率が最も適切なのではないか。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(2) 2004年度予算―一般歳出48兆1000億円(7/31) **

 政府・与党は、2004年度予算の概算要求基準を固めた。公共投資関係費を今年度当初より3%、ODAや防衛費など各省庁が自由に要求できる裁量的経費を2%それぞれ削減し、両経費に含まれる地方への補助金は今年度に続き5%削減する。また、法律やせいどで定められた義務的経費の増加額を8800億円程度に抑制する(社会保障費は、増加額を6,900億円に抑制する)。この結果、政策的経費である一般歳出は、48兆10000億円となる。今年度予算の四47兆6千億円を上回るが、財務省は査定を通じて今年度以下に切り込む。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(3) 15行に業務改善命令(8/2) ***

 金融庁は、5大手銀行グループを含む15行に、金融早期健全化法と銀行法により、抜本的な収益向上を求める業務改善命令を発動した。公的資金を返済するための経営健全化計画の収益目標を3割以上下回った銀行には、政府が行政処分ができる。昨秋の金融再生プログラムに沿い、ルールを厳格に適用した。金融庁は、各行に次のとおり命じた。

a.抜本的な収益改善の方策を盛り込んだ業務改善計画を8月29日までに提出する。

b.計画の着実な実施。

c.計画履行が確保されるまで四半期ごとの実施状況を2ヶ月以内に報告する。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

[世界経済]

(1) 米景気、楽観強まるー4〜6月GDP2.4%増(8/1) ***

 アメリカ商務省によると、2003年4〜6月期の実質GDP成長率が、前期比2.4%増と、事前予想より高い伸びを示し、年後半の経済成長に楽観的な見方が広がっている。しかし、失業率が高止まりしていることから、安定した成長軌道に乗れるかは、まだ予断を許さない。

 企業の設備投資は、二・四半期ぶりにプラスの伸びとなる前期比6.9%増と大幅に改善したほか、個人消費も前期の伸びをを上回る伸びを示した。アメリカ政府内では、今年後半の実質GDP伸び率が、年率3%台後半まで高まるという見方が大勢である。

 しかし、失業率が6月に9年ぶりとなる6.4%まで上昇し、雇用環境が悪化しており、個人消費の動向は不透明である。さらに、4〜6月期のGDPデフレーターが前期比1.0%増と、前期の2.4%増から大幅に低下し、デフレ懸念が高まっており、アメリカ経済の先行きに影を投げかけている。

 ブッシュ大統領にとり、雇用の改善を伴う健全な成長を実現するかが、重要な課題となっている。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]