5月第3週(5/11〜5/17)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)株価対策、小手先に終止で力不足(5/15) **

 政府が14日にまとめた「証券市場の構造改革・活性化策」は、株安の要因である不良債権問題等実体経済に働きかける政策や、マネーを株式市場に呼び込む税制優遇措置などが見送られるなど、決め手にかける内容となった。

[政府・日銀の証券市場活性化策の抜粋]
・年金資金による株式運用の目標値(6%)の達成
・銀行の株式保有制限を2年延期
・政府保有株式(NTT,JT)の売却を今年度中凍結


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(2)りそな、公的資金申請へ(5/17) ***

 りそな銀行などの持ち株会社である「りそなホールディングス」は、政府に対して公的資金の注入を申請することが明らかになった。今年3月末の自己資本比率が、国内だけで業務を行う銀行の最低の基準である4%を割り込む見通しとなったためである。

 政府は、預金保険法102条により、首相、関係閣僚、日銀総裁らによる金融危機対応会議を開き、「金融危機の恐れ」を認定し、公的資金の注入を決定する。りそなホールディングスの社長以下の現経営陣は経営責任を明確にするため、退任する。りそなの預金は全額保護され、ペイオフの対象とはならない。大手行が公的資金注入を受けるのは、99年3月以来4年ぶりである。預金保険法による注入は、今回が初めてである。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]


[世界経済]

(1) 中国、成長神話揺らぐー新型肺炎拡大(5/13) ***

 北京大学の研究グループによると、今年の中国の経済成長率は、SARSにより1〜2ポイント引下げられ、6〜7%成長に留まるとの見通しを示した。旅行関連産業を中心に、SARSの拡大が広がっているためである。中国国家統計局のエコノミストによると、SARSの影響は97年のアジア通貨危機よりも大きいとしている。

 日本からの出張者が絶え、新規プロジェクトが宙に浮いている。さらに、中国へのカントリーリスクの高まりへの懸念から、生産や投資を外国に移転する動きも広がっている。すでに250もの外国企業が中国への拠点設置のとりやめを検討し始めたと報じられている。こうした動きは、長期にわたり経済成長を鈍らせる恐れがある。高度成長が頓挫すれば、都市部の7%の失業率や1億5千万人に昇る農村の余剰労働力まどの不安定要因が、政権をゆるがせない事態にも発展しかねない。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(2) ユーロ独歩高―日本デフレ、アメリカ変調(5/15) **

 対ユーロの円相場は、今月9日に1ユーロ=135円27銭をつけ、ユーロとしての最高値を更新した。対ドルも、12日に99年1月以来のユーロ高となる1ユーロ=1.1607〜1610ドルをつけ、最高値更新の水準に近づいた。

 ユーロ高の最大の要因は、日米より金利が高く、債券などが買われやすい点にある。ユーロ券の短期金利は2%台半ばであるが、アメリカは1%台前半、日本はほぼゼロ%で、機関投資家は資金の運用をユーロ債投資に向けている。また、ITバブル崩壊後、国際的な資金の流れが変わり、ドルへの流れからユーロへの流れへと変わったという指摘もある。

 しかし、ユーロ高は、欧州の輸出企業に悪影響を及ぼし始めている。特に、ドイツの輸出企業は、アメリカ向けの輸出採算悪化から、業績の下方修正が相次ぎ、産業界から利下げを求める声が出ている。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(3) アルゼンチン、キルチネル大統領誕生へー挙党体制カギ (5/16) **

 アルゼンチン大統領選で、与党正義党のメネム元大統領の決戦投票への出馬辞退を受け、大統領に就任することが確実になった同党のキルチネル・サンタクルス州知事の最大の公約は、貧困問題の改善である。14日も、国民の過半数を占める貧困層の解消を最優先に取り組む姿勢を強調した。しかし、同氏は、党内基盤が弱く、政策を推進するためには、挙党体制の確立がカギとなる。

 アルゼンチンは、通貨ペソの切り下げにより、貿易収支が黒字に転じるなど経済再建の兆しが見え始めたが、失業率が2割を超えるなど、貧困層は経済回復から取り残されている。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]