5月第5週(5/25〜5/31)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1) りそな健全化計画―全行員夏賞与ゼロ(5/25) ***

 りそなホールディングスは、公的資金注入に際してまとめる経営健全化計画の概要を固めた。役員報酬の50%カットや一般行員の夏のボーナス見送りと年収の3割程度カットなど、厳しい経費削減策を実施し、経営のスリム化と収益向上を図る。また、既存の関連会社を抜本的に整理し、必要な事業についてだけ新会社を設立し再出発を図る方法を取り入れることも検討する。このほか、りそな傘下で約一万九千人いる人員(関連会社を含まず)を、2007年3月末までに一万六千六百人にまで削減するとする現行のリストラ計画を、最大2年前倒しで達成する方針である。りそなは、30日に公的資金の注入申請をする予定で、これに合わせて健全化計画を発表する。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(2) 全大手銀行グループ、二期連続赤字(5/27) ***

 大手銀行グループが発表した2003年3月期決算は、貸し倒れ引当金の計上など不良債権処理損失が五兆千九百四十一億円に上り、本業のもうけである業務純益を一兆円上回ったほか、株式市況の低迷で、7グループすべてが二期連続の税引き後赤字となった。本業のもうけである業務純益は前年並みであったが、株価下落による保有株の減損処理などの損失が計三兆円超に上り、赤字額の合計は四兆六千二百二億円に達した。3月末の不良債権残高は、前年同期比六兆三千五百四十九億円減の二十兆八千三百七十億円と二年ぶりに減少に転じたが、自己資本比率は、三菱東京フィナンシャル・グループを除く六グループが前年同期比で減少に転じた。

 大手各行は、破綻懸念先以下の債権(週刊トピック重要30用語参照)について、最終処理を十一兆七千七百八十四億円実施し、一方でデフレ不況により新たな不良債権が五兆千九百二十億円発生した。これにより、貸し出し債権全体に占める不良債権の比率は、七グループの平均で7.24%と前年三月末の8.45%より減少した。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(3) 国民生活白書―フリーターの急増に強い危機感(5/29) ***

 若年層の雇用悪化に歯止めがかかっていない。4月の労働力調査で、15〜24歳の完全失業率は12.0%と高水準であった。15〜34歳の世代では、自己都合で退職した人は前年同月より約10万人増えた。企業の新卒採用抑制のほか、若者の就業意欲の低下も見逃せない要因となっている。国民生活白書は、若年の雇用悪化が続きフリーターの増加が続けば、将来の日本経済を支える若者の職業能力がつかず、経済全体の生産性が低下すると指摘した。同白書は、また若年層の雇用拡大を重要な政策課題とし、企業と学校の連携で、若者の就業意欲や能力を高めることなど多くの提言をしている。しかし、いずれも新味はなく、具体性には十分には踏み込んではいない。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]


[世界経済]

(1) アルゼンチン大統領、巨額債務どう返済(5/26) **

 大統領選で当選した正義党のキルチネル氏は、25日にアルゼンチン大統領に就任する。任期は4年である。

 キルチネル新政権が直面する最も差し迫った懸念は、債務の返済をどう果たすかである。同国の公的債務は、昨年末現在で約1,370億ドルに上り、債務不履行(デフォルト)宣言した一昨年末時点とほとんど変化がない。前政権は、IMFとの間で対IMF債務を繰り延べることで合意したが、本格的な合意は次期政権に先送りされていた。

 貧困対策や失業者向けの大規模な公共事業を公約した新大統領は、「国民の飢えを見過ごして、外国の債権者に債務を払うことはない」とし、民間債権者に債務の7割削減を求める方針とされる。これに対し、IMFは、新規融資の実行は、新政権の対応次第としてクギをさした。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(2) WTO農業交渉、非農産品も合意できず(5/29) ***

 世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(新ラウンド)のうち、鉱工業製品など非農産品分野の交渉は、意見の対立が大きく、5月末が期限とされていた自由化の枠組み作りで合意できないまま終了した。農業交渉に続き、合意期限を守れず、新ラウンド協議全体にも影響を与えそうである。

 26日から始まった非農産品の交渉では、ジラール議長が提示した案について、加盟国・地域から不満が相次いだ。議長案は、関税引き下げ方式について、欧米が主張していた一律削減方式を提示し、最終的に関税撤廃を目指す7分野を設けた。この中に、自動車部品のほかに、水産物や革製品が入るなど、日本にとっては厳しい内容となっている。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]


[知って得する用語―フリーター]

 国民生活白書では、15〜34歳の派遣などを含むパート、アルバイト、働く意欲のある無職の人と定義し、2001年で417万人に上るとした。一方、厚生労働省の定義では、派遣を含めず、2000年8月に193万人としている。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]