11月第2週(11/2〜11/8)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)厚生年金、先食い3割(11/12) ***

 財務省によると、厚生年金と国民年金で受け取る給付額の2〜3割が、具体的な財源の裏付けがないまま給付されていることが明らかになった。財務省は、現在の年金給付が将来世代の保険料を先食いしている実態を示し、現在の受給者の年金額の削減など、抜本的な制度改革を求めている。

 現在の年金制度は、将来段階的に保険料を引き上げることを前提に設計されている。しかし、少子高齢化が予想以上に進んでいることや、政治的な配慮のため保険料の引き上げが抑えられ支給額だけが高くなり、裏付けがない支給が拡大したのである。


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(2)大卒内定率、最低60%(11/15) ***

 文部科学省などの調査によると、来春卒業予定で就職希望の学生のうち、10月現在就職が決まっている割合は60.2%で、前年同期比3.9%減となった。96年の調査開始以来、最低となった。景気回復が言われながら、学生にはまだ恩恵が及んでいないようである。

 低迷の原因について、文科省は、内定の出る時期が遅れていることや、企業が新卒者より即戦力の中途採用者を求めていることを挙げている。

 一方、高校卒業予定者の内定率は、34.5%で昨年を1.1%上回った。


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(3)7〜9月期のGDP年率2.2%増―消費なお力不足(11/15) ***

 内閣府によると、7〜9月期の実質GDP成長率は、年率換算で2.2%増加し、七・四半期連続でプラス成長を維持した。冷夏ではあったが、個人消費は辛うじてプラスを維持した。しかし、税制改正や社会保障に関する検討が進む中で、マイナス要因が出てくる恐れもある。円高の懸念もあり、景気の本格回復は不透明なままである。

[最近の四半期別成長率(前期比、年率換算、%)]
実質 名目
2002年 7〜9月 5.1 2.9
10〜12月 1.7 −2.0
2003年 1〜3月 1.9 −0.6
4〜6月 3.5 1.0
7〜9月 2.2 −0.1


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[世界経済]

(1)米の鉄鋼セーフガード、日本など勝訴確定―WTO上級委(11/11) **

 世界貿易機関(WTO)上級委員会は、日本やEUなどが、アメリカの鉄鋼セーフガード(緊急輸入制限)措置はWTO協定違反であると提訴していた問題で、日本などの主張をほぼ認める最終報告書をまとめた。一審に当たる紛争処理小委員会{パネル}の裁定に続き、最終審でも違反が認定され、日本などの勝訴が実質的に確定した。アメリカは、セーフガードの撤回を迫られるが、撤回しない場合には、日本政府は、アメリカ製品に報復関税を課す対抗措置に踏み切る方針である。

 この問題は、アメリカが「安価な鉄鋼製品で国内産業が損失を受けている」として、昨年3月、鉄鋼製品へのセーフガードを3年間の時限措置として発動し、日本、EUなど8カ国・地域が反発し、争っていた。


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(2)ユーロ圏GDP二期ぶりプラスに(11/15) ***

 EU統計局によると、ユーロ圏の7〜9月期の実質GDP成長率が、前期比0.4%増になった。二・四半期ぶりのプラス成長で、景気後退局面入りは免れた。7〜9月期は、前期がマイナス成長であったドイツ、フランス、イタリア、オランダが、プラスに転じたためである。

 EUのGDPの3分の1を占めるドイツは、7〜9月期に0.2%のプラス成長となった。四・四半期ぶりのプラス成長で、景気後退局面から脱したが、先行き懸念は依然として強い。統計局によると、内需が引き続き減少したが、輸出が大幅に伸びたことがプラス成長につながった。


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[競争政策]

(1)米の鉄鋼セーフガード、日本など勝訴確定―WTO上級委(11/11) **

 総務省は、日本郵政公社が計画してきた、生命保険会社の主力商品である「定期付き終身保険」の発売を認可する方針を固めた。14日の審議会で適当との答申が得られれば、同日中にも認可する。公社の同保険の認可を巡っては、生命保険業界などの民業を圧迫するとして、生保業界やアメリカが反発してきた経緯がある。

 公社の同保険の加入限度額は、従来からの簡易保険法が定める1千万円で、入院時の費用が支払われる特約なども付けられる。

 生保業界は、「国の信用力を背景にした簡易保険事業の肥大化につながる」と主張している。アメリカ政府も、「税の免除などで優遇されている郵政公社の新商品発売は、公正な競争を阻害する」として、認可しないように求めていた。

(注)定期付き終身保険:保険加入者の壮年期は死亡保険金を高くし、それ以降は保険金を小さくする仕組みになっている。貯蓄型商品ではないため、月々に払う保険料が安いのが特徴である。


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[知って得する用語―セーフガード]

 輸入の急増により、国内産業が大きな被害を受けたときに、関税を引き上げ、輸入を制限し、国内のリストラや構造改革を実施する猶予を与える激変緩和措置である。発動規準は、WTOルールで定められている。


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