2月第4週(2/1〜2/7)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)円高一辺倒見直す動き(2/24) ***
為替相場は、過度の変動への懸念を示した先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)声明を無視する形でドル安基調が続いていたが、18日にユーロが対ドルで最高値を更新したのをきっかけに一転し、ドル高傾向となり、20日は円が1ドル=109円台まで売られた。政府・日銀は、1、2月とも、数兆円規模の円売り介入を実施しており、1ドル=105円の水準を死守する姿勢は極めて強い。
しかし、調整後は、再びドル安に向かうとの見方が依然として強い。円高・ドル安の流れは、長期的には変わらないとの声が多い。アメリカの経常収支赤字は急速に改善する見込みは薄い。欧州中央銀行(ECB)は利下げに踏み切っておらず、アメリカ連邦準備理事会(FRB)も利上げには慎重であるからである。
(2)産業再生機構とは?(2/25) **
産業再生機構とは、官民で設立した株式会社で、経営不振企業を支援し、金融機関の不良債権処理を加速し、金融と産業の一体的な再生を図ることを目指している。
経営不振企業を支援するかどうかは、企業の再建計画の妥当性などをもとに判断する。主に、非主力銀行から債権を買い取り、主力銀行と協力して再建を支援する。
昨年5月から業務を開始し、来年春までに債権を買い取り、設立から5年後の2008年春をめどに解散する予定である。それまでに再建にめどをつけ、スポンサー企業などに債権を売却する。債権の買い取り資金は10兆円が準備されたが、これまでに支援を決定した企業は、11件に留まる。カネボウの支援が決まれば、12件目となる。
(1)中国経済9.1%成長、加熱の兆し(2/23) ***
2003年の中国の実質GDP成長率は、9.1%となった。内訳は、個人消費が前年比9.1%増、固定資産投資が前年比26.7%増となり、輸出とともに成長のけん引役となった。しかし、住宅や製造業では、加熱の兆しも見られる。
過熱気味の象徴が、上海の住宅市場である。上海の新規分譲住宅の平均価格(約60万元)は、上海の一世帯あたり平均年収(約4万元)の15倍に達している。上海などの大都市の住宅ブームは、地方都市にも波及しており、急ピッチの開発による供給過剰の問題が顕在化し始めている。
製造業でも、設備投資の過熱現象が見られる。自動車、携帯電話、鉄鋼など多くの分野で、需要増を見込んだ大規模な投資が行われている。
このような中で、昨年の消費者物価上昇率は1.2%に留まった。インフレ圧力が見られないのは、豊富な労働力により賃金が上昇していないことや、耐久消費財などの供給過剰による価格引下げ競争が激化しているためである。
住宅市場や設備投資の過熱状態が強まれば、起こりうる調整局面が成長の下押し圧力となる可能性がある。特に、不動産バブルがはじけた場合、不動産関連貸出が急増している国有商業銀行を中心とする金融システムにとり、既存の巨額の不良債権に加え、新たな不良債権の発生につながるリスクがある。
今後も投資と輸出の二本柱をけん引役に、8%成長を続ける公算が大きいが、適度の金融の引締め策で景気過熱を抑制し、軟着陸を図るという微妙な舵取りが求められる。
最近の例でいえば、急激な円高を阻止するため、政府・日銀が外国為替市場で実施している巨額の円売りドル買いのことである。昨年1年間の介入総額は、20兆4,250億円と、それまで最高額であった99年の3倍近くに達した。しかし、大規模介入には、欧米を中心に反発が強く、「不当な円安誘導で、日本企業が輸出競争力を増している」と反発が強い。 |