1月第4週(1/18〜1/24)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)1月の月例経済報告−2ヶ月ぶり上方修正(1/19) ***
内閣府は、19日に1月の月例報告を公表するが、景気の基調判断を2ヶ月ぶりに上方修正する。前月までの「持ち直している」という表現に、「設備投資、輸出に支えられ着実に回復している」という文言を加える方針である。「回復」という表現は、2001年1月以来3年ぶりとなる。
景気のけん引役となる設備投資や輸出が堅調に推移しているため、このように判断を引き上げる方針である。一方で、GDPの5割を占める個人消費などは、ほぼ横ばいで、本格的回復とは依然としていえない。
(1)EU財政協定形がい化懸念(1/24) ***
ドイツとフランスがユーロ圏の「財政安定化・成長協定」に違反している問題をめぐり、欧州連合(EU)内の対立が激化している。両国の協定違反を事実上容認した財務相理事会の決定を不服として、執行機関である欧州委員会が、欧州司法裁判所に提訴したためである。しかし、理事会は最高決定機関であり、協定の形がい化は不可避である。
欧州委は、昨秋、独仏両国に対し財政赤字の追加削減を求めると同時に、それが守られなければ、協定により制裁金支払いの手続きを進めるとした勧告案をまとめ、意思決定機関である財務相理事会に提出した。しかし、理事会は、昨年11月に、財政赤字を容認し、制裁手続きを停止することを決めた。欧州委は、この決定が「赤字削減に対し効果的な措置が取られた場合に、制裁手続きを停止する」という理事会規則に違反するとし、提訴に踏み切った。欧州委が提訴した背景には、大国の論理が強く反映された理事会決定を黙認すれば、EU内の規律が維持できないという判断がある。特に、ドイツは、この協定の発案者であることが、欧州委の姿勢を硬化させた。
しかし、欧州裁判所が無効と判断しても、EUの対応を決める権限は理事会にあり、独仏が追加的な赤字削減や制裁金支払いを迫られる可能性は低い。一方、合法とされれば、欧州委の発言力は、一気に低下しかねない。
(2)アメリカ財政赤字削減見えず(1/22) ***
ブッシュ米大統領は、20日の一般教書演説で、就任以来の大型減税がアメリカ景気の回復に果たした役割を強調し、2013年までの時限立法である同減税の恒久化を議会に求めた。 財政赤字の拡大批判に対しては、今後5年間で財政赤字を半減させると明言したが、社会保障費の自然増や不透明なイラク情勢の先行きなど、赤字増の懸念材料も多く、赤字削減の行方は不透明である。
2001年から13年間で1兆7千億ドル(約182兆円)の大型減税に対しては、財政赤字の原因とされるなど、賛否両論である。
昨年9月に終わった2003年度の場合、当初の財政赤字見込み額800億ドルに対し、イラク戦費の累増などで、最終的な赤字額は、過去最大の3742億ドル(約40兆円)に膨れ上がった。
大統領が、財政赤字を5年間で半減するとしているのは、主に景気回復で税収が大幅に増えることを計算しているためである。米議会予算局の財政見通しでも、財政赤字は2004年度をピークに縮小に転じるとしている。その前提は、減税が予定通りなくなり、税収が回復することである。
早くも関係者の間では、大統領が減税の恒久化と財政赤字の削減の両立を集中していることには、実現不可能との見方が強い。