4月第3週(4/11〜4/17)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)企業物価上昇(4/14) **

 日銀によると、3月の国内企業物価指数は95.5となり、3年8ヶ月ぶりに前年同月比プラスに転じた。これは、景気回復のため、鉄鋼や非鉄金属など素材価格が上昇したためである。しかし、消費財メーカーが、原材料価格の値上がり分を製品価格に転嫁するのは難しく、消費者物価が上昇し、デフレが解消されるのには時間がかかりそうで ある。

 前年度に医療費の値上げなどの特殊要因があった消費者物価指数は、4月以降再び下落基調を強める恐れがある。日本経済の供給能力と実際の需要の差を示すGDPギャップが解消されず、デフレ圧力を生み出している状況には変わりはない。三菱総研の昨年10〜12月期の需給ギャップは3.9%で

、ピーク時の2002年1〜3月期の8.2%と比べれば改善したが、依然として需要不足の状態が続いている。

 日銀内には、2%半ばの実質成長が続けばデフレ脱却が可能であるとの見方もあるが、アメリカ、中国経済の景気動向など、日本経済には不確実な要素も多い。

注:国内企業物価指数・・・出荷、卸売段階での企業間の取引価格を示す物価統計で、2000年平均を100とする。2000年9月から2004年1月まで前年比マイナスが続いたが、2月は横ばいで下げ止まっていた。


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[世界経済]

(1)韓国経済、輸出好調だが消費低迷深刻(4/16) ***

 韓国の消費不振は、クレジットカードの過度な利用がもたらした影響が、依然として深刻なためである。カード会社の貸出競争を抑えるため、政府が2002年後半に与信枠を引き締めた結果、多重債務者は、返済に行き詰まった。3ヶ月以上返済が滞る信用不良者は、現在370万人に上る。消費の本格回復は、2、3年先と見られる。

 一方、外需は絶好調であり、主力の半導体、自動車、携帯電話などがけん引し、3月は前年同月比で約40%増と、単月で初めて200億ドルを超えた。1〜3月期の成長率は、輸出が内需不振を補う形で6%台が見込まれている。

 しかし、構造的問題は解消されず、ジョブリス・リカバリーが生じている。企業は通貨危機以降、設備投資を控えており、携帯・パソコンなどの部品の輸入依存度が高まった結果、輸出の内需への波及効果は、著しく低下した。生産の海外シフトや合理化、内需不振による業績不振などで雇用創出効果は弱く、特に若年層の失業率は9%前後と深刻である。韓国では、雇用創出が急務となっている。

[最近の韓国の実質GDP成長率]
2001年 3.1%
2002年 6.3%
2003年 3.1%
2004年 5.2%(予測)


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[規制緩和]

(1)規制改革―もう報告書はいらない(4/11) **

 規制改革の新3カ年計画が決まり、それを実行する新体制が生まれた。民間人がメンバーの規制改革・民間開放推進会議(旧総合規制改革会議)は、オリックスの宮内義彦が先頭に立つ。そして、小泉首相を議長として全閣僚が参加する規制改革・民間開放推進本部が新たにつくられた。このような二頭立ては、分かりにくく、改革が骨抜きにならないか心配である。閣僚は、官僚に操縦されてしまうところがある。同本部には、同会議から宮内氏が参加するが、民間委員の主張に水をかける場になりかねない。このような体制になったのは、規制改革が医療、福祉、教育、労働、農業という改革の本丸に迫ってきたからである。

 安全や健康など、場合によっては規制を強化する必要もある場合もある。しかし、これを隠れみのに規制緩和を逃れてきたケースも少なくない。前の3カ年計画で規制緩和に着手した総合規制改革会議は、最終答申で「大きな進展は見られていない」と認めた。一部の医薬品がコンビ二でも売られるようになったが、多くの課題が新計画に引き継がれる。

 病院への株式会社の参入も、所得格差=待遇の差となるという反対論がある。一方、患者の選択の幅が広がれば、サービスの質や量が高まり、雇用も増えるという意見もある。メスを入れにくい部門には、構造改革特区の活用も有効である。特定の場所での規制緩和がうまくいけば、全国に広げるというやり方で、同会議の成果でもある。4次に渡り募集され、全国で実験が行われている。 宮内氏は、規制改革を社会主義からの脱却と表現する。規制を振りかざす経済社会には、未来はないということであろう。


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