4月第4週(4/18〜4/24)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)主要企業賃上げ7年ぶり前年超す(4/19) ***

 日本経済新聞社の2004年賃金動向調査(一時金を含む)によると、主要企業の平均賃上げ率は、1.64%となり、7年ぶりに前年実績を上回った。年間一時金(ボーナス)は、2年連続で増加する見通しである。収益の拡大により、電機、機械など幅広い業種で賃上げ率が上昇しており、人件費抑制に歯止めがかかってきた。消費の改善を通じ、景気の下支えにもなりそうである。

 有効解答企業数は、265社であった。最も賃上げ率が高かったのが、電機の2.02%であった。デジタル家電の好調に加え、携帯電話機やパソコンの需要増で、部品メーカーも潤い、賃上げ率を上昇させた。

[最近の現金給与総額(全産業)の前年比伸び率]
2001年度 −2.1%
2002年度 −2.6%・・・最大の落ち込み
2004年2月 −0.4%


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(2)景気回復、地方にも広がり(4/20) ***

  日銀の支店長会議では、輸出や設備投資の好調、個人消費の持ち直しなどを背景に、主要11支店中、北海道を除く10支店で、景況感の改善が報告され、景気回復の動きが地方にも広がってきたことを示している。今後は、雇用の弱さや消費の息切れなどを懸念する声も強く、先行きは不透明感である。


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[世界経済]

(1)WTO農業交渉再開―欧米と途上国なお隔たり(4/21) **

 世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(新ラウンド)は、23日までの日程で、ジュネーブにおいて農業委員会特別会合を再開した。同会合後も、7月末までに会合を重ね、農業自由化の枠組み合意に達したい考えである。しかし、農産品の輸出補助金の削減や市場アクセスなどを巡り、欧米と開発途上国の間には、依然として隔たりがあり、進展するかどうかは不透明である。

 新ラウンドは、2003年9月のメキシコのカンクンでの閣僚会合で決裂した。焦点の農業交渉は、3月に再開したが、市場開放を求める途上国と、国内の農業保護を重視する欧米との間で、歩みよりは見られなかった。

 今回の特別会合の交渉で、日本は、市場開放に慎重な韓国やスイスなど10カ国のグループで、農産物の上限関税の設定に反対する立場を強調する方針である。


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(2)中国、知的財産の罰則強化(4/23) ***

 アメリカと中国の経済閣僚などによる初のハイレベル通商協議が、ワシントンで開かれ、中国側が知的財産権の保護や国内市場の開放で、思い切った譲歩を見せた。背景には、巨大な中国市場への参入を急ぐアメリカの圧力とともに、中国にとっても安定した対米通商関係の維持が、発展に欠かせないという現実がある。

 アメリカから見た貿易相手国としての中国は、2000年に日本を抜いて最大の貿易赤字相手国となった。中国にとっても、アメリカは最大の輸出相手国である。アメリカでは、中国からの輸入急増が国内産業を圧迫しているため、産業界が政府に働きかけを強めている。

 一方、中国であふれる海賊版や先進国ブランドの偽物など知的財産権の保護問題や爆発的な成長が期待されるIT関連市場での製品規格(コンピュ−タ―無線通信規格の採用義務付け)を巡る問題で、中国は具体的な行動計画を打ち出した。IT関連では、世界標準ではない独自規格を取り下げるなど、アメリカの要求に大きく歩み寄りを見せた。これらの問題に関しては、アメリカがWTO提訴も視野に入れ、米中通商摩擦の火種になりかかっていた。そのため、中国の決断は大きかったといえる。

 中国では、都市部での失業率が上昇し、農村部に約1億5千万人に及ぶ過剰労働者を抱え、財政赤字も拡大し、7%以上の成長を維持する必要がある。そのため、最大の輸出相手国であるアメリカとの摩擦を緩和し、良好な経済関係を構築する必要に迫られていたといえる。

注:知的財産権・・・発明などの特許権、デザインなどの意匠権、著作権や製造ノウハウなど、知的生産物の総称である。日本政府は、昨年3月に知的財産戦略本部を設置して、知的財産を戦略的に活用、保護することで経済の活性化を図ろうとしている。


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