9月第1週(8/29〜9/4)印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)進む長期金利低下(9/3) ***

 長期金利の低下が進んでいる。代表指標である新発十年物国債の流通利回りは、1.47%まで低下し、3ヶ月ぶりに1.5%を割り込んだ。背景には、日米で景気減速懸念が強まり、日銀が量的緩和政策を早期に解除するとの見方が遠のいたことである。

 長期金利は、6月17日に、一時3年9ヶ月ぶりに1.94%をつけたが、8月6日のアメリカ雇用統計で、非農業部門の就業者数が1月以降で最も小さい伸びに留まったことなどで、アメリカの長期金利が低下し始めると、日本の長期金利も連動して低下に転じた。さらに、日本の4〜6月期の実質GDP成長率が、前期比の年率換算で1.7%と市場の予想(4%程度)を大幅に下回り、金利低下の流れを決定づけた。

 また、消費者物価指数が、先行きマイナスで推移するとの見方が強まっていることも、量的緩和解除が遠のいたとの見方の主な要因である。7月の消費者物価指数は前年同月比0.2%の下落となり、前年同月比マイナスは5ヶ月連続となった。消費者物価指数の前年比伸び率が安定的に0%以上という日銀の量的緩和の解除条件満たすには、不十分な状況であるうえ、今後、電気料金やコメの前年比での値下がりが予想され、デフレ脱却は難しいとの見方が増えている。

 こうして、市場では、量的緩和策解除は、来年以降に先送りされたとの声が高まっている。


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[規制緩和]

(1)郵便事業の民営化(8/29) **

 郵政三事業(郵便、郵便貯金、簡易保険)の民営化論議が活発になってきた。郵便事業については、全国一律の料金で、はがきや手紙などの信書を配達しており、全国どこでも利用できるユニバーサル・サービスが行われている。郵便事業民営化反対派は、民営化すると採算の取れない地域への配達料金を引上げるか、配達を止めるかしなければならず、ユニバーサル・サービスを維持できなくなるとしている。

 民営化しても、ユニバーサル・サービスを維持できる方法はある。はがきや手紙の上限料金を規制し、その上限料金では採算割れのため民間会社が現れない地域については、政府が補助金を支給して、配達できるようにするのである。その際に、補助金額については、民間会社による入札方式を採用し、一番低い補助金を入札した会社に配達サービスを委託するようにする。実際に、この方法は、イギリスで、採算の取れない地域でのバスの運行を確保する手段として使われている。

 しかし、信書便法では、信書の配達料金は全国一律に規制されている。それでは料金競争は起きず、消費者の利益にならない。さらに、全国津々浦々にポストを設置しなければならない参入規制の下では、民間は事実上信書事業に参入できない。しかも、参入許可権を握っているのは、郵便を所管する総務省である。これでは、参入許可に当たり、中立性を欠き、不公正である。 民間が一般信書事業に参入しやすくなれば、民間企業は顧客獲得競争を始める。そうした競争により、配達サービスの質が改善され、採算の取れない地域での補助金額も減り、上限料金を引下げることも可能となる。

 政府は、参入規制を信書の秘密保持のための規制に留め、民間の信書便事業の参入を促すべきである。それによる競争下で生き残るのは、信書の秘密保持はもちろん、サービスがよく料金の安い会社なのである。


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(2)東電5.21%値下げ(9/4) ***

 東京電力は、電気料金を10月1日から平均5.21%引下げると発表した。原油価格や為替レートの変動を3ヶ月ごとに自動的に料金に反映させる燃料費調整制度と異なり、2002年4月以来の本格的な料金改定で、新規参入者に顧客が流出するのを防ぐ狙いがある。

 内訳は、家庭用が平均5.49%、業務・産業用が平均4.78%である。しかし、東電は、燃料費調整制度で、原油の値上がりにより、10月1日から家庭用では1%値上げすることなどを既に発表しており、値下げ幅は一部相殺される。


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