7月第3週(7/11〜7/17)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 景気判断上方修正(7/14)***
政府と日本銀行が、そろって景気判断を上方修正し、景気回復の力強さを追認した。好調な輸出だけでなく、好調なデジタル家電を火付け役に、個人消費の回復が鮮明になりつつあるためである。しかし、先行きについては、海外経済の減速懸念やデフレが解消されていないことがあり、課題も少なくない。
政府が、6ヶ月ぶりに景気判断を上方修正したのは、企業の利益が雇用・所得に回り、これが消費を回復させ、さらに企業に利益をもたらす景気回復の好循環が回り始めたと判断したためである。2003年に平均5.3%であった完全失業率は、5月には4.6%に低下した。総務省の家計調査によると、全世帯の実収入は5月まで5ヶ月連続で前年同月を上回り、消費支出額も4、5月と続けて実質5%を超える高い伸びとなった。このように、経済指標の伸びをみても、雇用、所得、消費をつなぐ回復の連鎖がつながっているように見える。
一方、日銀も、展望レポートで、景気判断を上方修正し、海外経済の好調が、投資や雇用の回復につながったとしている。
(2)三菱東京・UJF統合(7/17) ***
三菱東京フィナンシャル・グループとUFJホールディングスの経営統合で誕生する新金融グループは、総資産が約190兆円と世界最大の規模を誇るが、最初の課題は、UFJが抱える巨額の不良債権処理である。三菱東京は統合前の9月までに、UFJ向けの異例の増資に応じて、不良債権処理を加速させる方針で、UFJの大口融資先の再生計画の見直しは、かなり前倒しされる可能性が強い。また、統合で膨らむ人員と、重複する店舗などのリストラなど、課題は山積している。
(1)存在感を世に示した公正取引委員会(7/16) **
かつて吠えない番人といわれた公正取引委員会が、パソコンのOSを94%支配するアメリカのマイクロソフト社にかみついた。公取委によると、マイクロソフト社は、日本のパソコンメーカー15社とOSの使用許諾契約を結ぶ際に、特許権侵害でマ社を訴えないと誓約させる「非係争条項」を契約書に盛り込んでいた。公取委は、これを不公正な取引方法としてこの条項を破棄するように勧告した。しかし、マ社は、勧告は不当とし、全面対決する構えである。
一部の日本メーカーは、画像処理などの自社特許が、マ社のOSで侵害されている可能性を指摘するが、非係争条項で泣き寝入りさせられているのが実情である。非係争条項は、EUやアメリカの独禁当局から問題視されていることもあり、マ社も来月更新する契約から、この条項を削除することにしている。しかし、過去に結ばれた契約が残っているため、公取委は世界で初めて同条項を違法とする勧告を出した。
マ社は、日本メーカーは同条項を含まない契約も選べることなどにより、審判で自社の正当性を主張していく考えである。審判では、日本メーカーに契約選択の自由度がどの程度あったのかなどが、争点になるであろう。
2002年度平均 | 5.4% |
2003年度平均 | 5.1% |
2004年5月 | 4.6% |
[寸評]企業の業績向上とともに、雇用が回復し、失業率が低下している。これは、消費の回復に つながっており、本格的な景気回復となっている。 |