6月第2週(6/6〜6/12)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)GDP上方修正―在庫増加が要因(6/10) ***

 内閣府によると、2004年1〜3月期のGDPの改定値は、物価変動の影響を除いた実質GDPの成長率が前期比1.5%増、年率換算で6.1%増と、速報値の1.4%増(年率換算6.1%増)から上方修正され、景気回復の底固さを裏付けた。輸出増などに備えて、企業が在庫を増加させたのが主な要因である。

 実質GDPは、約14年ぶりに二・四半期続けて年率6%を超える成長率を記録した。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(2)企業物価指数1.1%上昇(6/11) **

 日本銀行によると、5月の国内企業物価指数は、前年同月比1.1%上昇した。3ヶ月連続の上昇で、97年10月以来、6年7ヶ月ぶりの高い伸びとなった。原油高により、石油・石炭製品が大幅に値上がりしたことが主な要因である。

 前月比でも0.1%上昇し、景気回復を背景に、企業間取引では価格の下落傾向に歯止めがかかりつつあることを示している。しかし、最終消費財への価格転嫁は進んでおらず、デフレ脱却には時間がかかりそうである。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(3)2003年度『土地白書』(6/12) ***

 石原国土交通省は、閣議に土地白書を提出した。全国平均の地価は13年連続で下落しているが、東京都心などで上昇地点が増加しており、利便性や収益性により、価値が定まる実需中心の土地市場へと、構造的に変化していると分析している。また、土地の有効利用を図るため、実際の取引価格を開示するなど、市場の透明性を高めるように提言している。公示地価など従来の指標だけでは実勢価格を把握しにくく、個人情報保護の確保の上での取引価格の開示が求められている。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

[世界経済]

(1)アメリカ経済復活の土台築くーレーガン元大統領逝く(6/7) ***

 レーガン元大統領がアメリカ経済に残した遺産は、極めて大きい。就任時のアメリカは、不況、インフレ、高失業など、まさにどん底にあった。その裏付けとなる政策は、単純だが一貫していた。減税と軍事力強化を二枚看板に、強いアメリカ復権を目指した。成果は、退任後の90年代に冷戦終結とアメリカ経済の復活という形で現れる。

 経済の再建策として提示したレーガノミックスは、「大きな政府」の考え方を一掃した。減税と規制緩和で民間活力を刺激することが、経済を回復させる唯一の道と説き、「小さな政府」を前面に打ち出した。減税が景気を回復させ、税収増となり、財政赤字も減るというシナリオを提示して見せた。しかし、任期中は、成果より問題の方が多かった。巨額の減税は、財政赤字の膨張となり、貿易赤字の急増と合わせて「双子の赤字」と呼ばれた。

 日本も、大きな影響を受けることになる。アメリカの双子の赤字は、ドル高是正のための85年9月の「プラザ合意」へとつながる。円高が進行し、必要以上の金融緩和を迫られ、バブルの膨張と崩壊という日本経済の進路を運命づける要因にもなった。

 レーガノミックスが花開くのは、大統領の任期の終盤である。政府は介入せずに市場メカニズムを重視する経済政策は、企業の競争力を回復させた。それが、90年代のアメリカ経済の長期好況の土台となった。冷戦崩壊とアメリカ経済の繁栄は、人、モノ、カネが自由に国境を越えるグローバル化を加速させたのであった。

 アメリカ国民に愛され続けた偉大なる大統領が、世を去った。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(2)サミット閉幕―米仏経済でも対立(6/12) ***

 10日閉幕した主要国首脳会議(シーアイランド・サミット)では、経済問題でも米仏の対立が目立ち、貿易自由化やイラク債務の削減問題などでは、原則論を確認しただけに終わった。

 世界貿易機関(WTO)の農業自由化問題では、アメリカは農産物輸出補助金の撤廃を求めたが、フランスは段階的な削減を主張して譲らず、貿易声明の原案から撤廃の文字を削除させた。アメリカが、欧州の景気回復の遅れは世界経済のリスク要因であると、批判したことに対して、シラク大統領は、アメリカの双子の赤字が、最大のリスクであると応酬した。

 5月からの欧州連合(EU)拡大で、経済的影響力を強めた欧州勢が、今後も経済問題でアメリカと対峙する機会は増えると見られる。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]