10月第4週(10/17〜10/23)印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)回復持続、大半の地域で−日銀支店長会議(10/19) ***

 日本銀行の支店長会議で、大半の地域で景気が回復基調にあることが確認されたが、回復の鈍化を指摘する声も出始めた。アメリカやアジアなどの海外経済の減速懸念や、厳しい雇用情勢が個人消費を冷え込ませる恐れなど、先行きの不透明要因が生じている。

 各地域の景気の現状認識では、デジタル家電や自動車などの輸出が依然好調で、地域にまで景気回復が波及している実態をうかがわせた。ただ、回復の減速を指摘する声も上がり始めた。回復をけん引してきた輸出は、3ヶ月前に比べると、テンポは幾分鈍化していると報告された。

 雇用情勢についても、回復が予想以上に遅く、雇用者所得の改善が良くなく、個人消費の改善の本格回復は望みにくいという意見もあった。

 先行きについても、最近の原油価格上昇が、企業収益の低下要因になると懸念する企業が増えていることから、原油高を不安視する報告が目立った。


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[世界経済]

(1)ユーロ圏回復に足かせ、失業率高止まりや原油高(10/20) ***

 ユーロ圏経済の足取りが重い。高失業率などで内需が伸び悩み、原油高が景気腰折れの懸念を高めているためである。史上最低の政策金利を維持する欧州中央銀行(ECB)も、景気とインフレの両にらみで、難しい判断を迫られている。

 ECBは、10月の月報で、今年前半の回復の動きが当面は継続するとして、4〜6月期まで四・四半期続いたプラス成長が、持続的な景気回復につながっていくとの見方を示した。

 しかし、足元の経済指標には陰りが見られる。ユーロ圏経済最大のドイツでは、製造業の景況感指数が、8、9月と2ヶ月連続で悪化した。特に、深刻なのは、高止まりしている失業率である。ユーロ圏の失業率は9.0%に達し、3年前に比べ1ポイント上昇した。背景には、5月の欧州連合拡大にあわせ、独仏などに比べ人件費の安い東欧への工場移転が加速してきたことがある。EUの欧州委員会も、今月初めの四半期報告書で、個人消費は引き続き弱く、設備投資も伸び悩んでいるとし、懸念を表明した。

 また、史上最高値を更新する原油価格も、先行きの懸念材料となっている。ホアキン欧州委員も、現在の原油価格が続けば、EUの成長率が0.3%押し下げられるとの見方を示した。原油高が物価上昇につながれば、ECBは利上げせざるを得ず、その場合、EU経済への打撃は大きい。


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(2)中国のGDP伸び率微減、過熱抑制本物か(10/23) ***

 中国が発表した第三・四半期(7〜9月)の国内総生産(GDP)の実質伸び率は、前年同期比9.1%増と依然高い成長を維持したが、1〜3月期の同9.8%増、4〜6月期の同9.6%増よりはわずかに減速した。中国政府が、行政命令で建設プロジェクトを中止させるなど、強権的な投資抑制策の効果と見られる。

 政府系シンクタンクは、過度に行政的な手法に頼った場合、反動が生じたり、景気の腰折れを招くとして、政策金利の引上げなど市場経済的手法を多く取り入れるべきであると提言している。


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[競争政策]

(1)原油高のため国内線値上げへ(10/21) **

 原油高がコストを押し上げているため、日本航空と全日本空輸が旅客運賃を5%前後値上げする方針を決めた。しかし、航空業界では、大手2社の寡占体制の中での相次ぐ値上げとなる。公正取引委員会は、両社に値上げの根拠を明確に示すように求めており、利用者の理解が得られるかは不透明である。

 日本航空は、当初、今年度の燃料価格を1バレル当たり34ドルと想定していた。現在は、50ドルを超え、収支への影響は450億ドルに上る。全日空も、当初、1バレル当たり27ドルと見ていたため、収支への影響は拡大するばかりである。全日空の大橋社長は、「増収努力やコスト削減などの努力で賄えない部分がある」と強調している。

 公取委は、値上げの打診を受けているが、容認する意向である。ただ、日本航空と旧日本エアシステムの統合の際に、3年間値上げをしないなどの条件を付けており、今回の値上げには一定の注文を付けた。具体的には、原油高によるコスト上昇の計算根拠と、どの程度を価格に転嫁するかなど、値上げの明確な裏付けを示すように、条件を付ける考えである。この説明が十分でなければ、公取委が値上げに待ったをかける可能性も残されている。


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