12月第4週(12/16〜12/22)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 月例報告−景気判断据え置き(12/17) **
竹中経済財政担当相は、12月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。景気の現状は「悪化を続けている」とし、基調判断を2ヶ月ぶりに据え置いた。企業収益や物価の判断は下方修正したが、ぜんたいの景気認識を変えるほどではないと判断した。
(2) 流通・不動産・建設への融資圧縮を加速−大手行(12/19)***
大手銀行が、流通・不動産・建設の三業種向け貸し出しの圧縮を急いでいる。主要13行のこの三業種への貸出残高は、9月末で84兆6千4百億円と3月末に比べ3兆5千百億円、4.0%減った。全体の貸出残高の1.6%の減少に比べ、2倍以上の減少である。この背景には、金融庁の11月からの特別検査がある。各行は、検査を控え回収に注意を要する「要注意先債権」などの査定を厳しくした。例えば、要注意先債権を破綻懸念先債権に分類しなおせば、新規融資はできなくなり、既存の融資も回収せざるを得ない。また、メーンバンクではない融資先には借り換えに応じず、融資を回収するという例も出てきた。
一方、9月末の三業種向けの不良債権残高は、11兆9百億円であり、貸出残高に占める不良債権比率も、3月に比べ2.5%上昇の13.1%となった。大手各行は、融資のリストラを一段と進める予定である。
(3) 日銀量的緩和を拡大(12/20)**
日本銀行は、19日の政策委員会・金融政策決定会合で、金融の量的緩和策を一段と拡大することを決めた。金融機関の手元資金である日銀当座預金の残高目標を、現行の6兆円を上回る水準から10〜15兆円程度に引き上げる。長期国債の買い入れ額も、月6千億円から8千億円に増やす。企業の破綻を背景にした金融不安の再現を防ぎ、景気の落ち込みを防ぐのが目的である。
(注)日銀当座預金:金融機関が日銀や他の金融機関と資金を決済するために日銀に開設する預金である。この口座には、準備預金も含まれる。
(4) 景気の山は昨年10月(12/22)***
内閣府は、「景気動向指数研究会」を開き、景気の拡大局面から後退局面の転換を示す「景気の山」を、2000年10月と判定した。99年2月からの景気拡大局面の期間は、21ヶ月と戦後最短の景気拡大に終わった。この景気拡大は、国内需要は弱く、アメリカ経済の減速とともに、景気は後退期に入った。また、成長率も低く、拡大期に重なる99〜2000年度の実質GDP成長率は、単純平均で1.8%、名目成長率はデフレのためマイナス0.1%であった。
研究会は、また、前回の景気の山を97年5月と確定した。このため,バブル崩壊後の景気拡大期は、43ヶ月と、回復の実感が乏しかったのに、戦後3番目の長さとなった。
(1) 特殊法人整理合理化計画を決定(12/19) *
政府は、163の特殊法人と認可法人の約4割を廃止・民営化する整理合理化計画を決定した。石油公団、住宅金融公庫などが廃止される。構造改革が一歩踏み出したが、実質的に組織が存続する例や結論先送りも目立っている。民間主導で、日本経済を再生させるという特殊法人改革を貫徹させる必要がある。