12月第1週(12/1〜12/7)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1) 優先株の仕組み(12/1) **

 普通株は、株主が配当を受け取り経営者の選任など経営の重要事項に議決権をもつ。しかし、優先株は、株主が経営には口出しが出来ず、配当などの分け前が多いのが特徴である。会社が解散したとき、残る財産を優先的にもらえる。投資家には魅力的なため、お金を集めやすい利点がある。最近は、金融機関の経営を立て直す手段としても使われている。98年に、国は、自己資本比率が基準より下回る銀行の優先株を大量に買い、資本を増やし、金融不安を防いできた。大銀行の一部は、優先株を買い戻して、お金を返した。それ以外の銀行は、優先株を持っており、一部は普通株に転換できる時期を迎えている。転換されると、国は議決権が使え、銀行の経営に口が出せるようになる。国が普通株の半分以上を持つと、実質国有化となる。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(2) 銀行融資、中小・中堅向け3割減(12/3) ***

 銀行が経営改善のために進めている融資圧縮の対象が、中小・中堅企業に集中している。9月末の企業向け融資残高は、合計で約315兆円である。97年末からの減少額は、約92兆円で、その大半を中小・中堅企業向けが占めた。99年の公的資金注入時に、政府は中小企業向け融資の目標設定を義務付けたが、UFJとあさひ銀行が融資を激減させたとして業務改善命令を受けた。しかし、銀行が不良債権処理を急ぎ融資先の選別を強めれば、いずれ中小・中堅向けを減らさざるを得なくなるとの見方が大勢である。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(3) 地銀・第二地銀大手20行、9月中間―不良債権残高5.2%増(12/4)***

 地方銀行・第二地方銀行の大手20行の今年の9月中間期決算は、不良債権残高が6兆3259億円と前年同期比5.2%増えた。景気の悪化で、中小企業の財務内容が悪化したほか、資産査定が厳格化したため、12行で不良債権残高が増加した。しかし、最終損益は、債権売買益などにより17行が黒字となった。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(4) 民営化委、高速道建設に歯止め(12/7) **

 政府の道路関係四公団民営化推進委員会は、多数決の結果、高速道路の新規建設の抑制を主張する5委員の案を最終報告として決定し、首相に提出した。その骨子は、次のとおりである。

[最終報告]

a.10年後をメドに道路買い取り2005年4月発足予定の新民営化会社は、発足後10年後をメドに「保有・債務返済機構」から、道路財産を買い取る。資産買い取り後、機構は解散し、新民営化会社は、早期に上場する。

b.民営化と同時に、通行料平均一割値下げ

c.通行料依存の建設認めず国の施行命令により高速道路の建設を強制する仕組みは廃止する。

d.新民営化会社が保有機構に払うリース料の年額は、約40年間の元利金等返済で算定する。従来50年とされていたため、新規投資にまわせる額が少なくなり、高速道路の建設に歯止めがかかる。

f.道路4公団は、5地域に分割する。

 新民営化会社は、通行料金収入の大半を債務の返済に当て、採算性の低い路線の建設を拒否できる。建設すべき路線を選び、それ以外は国や自治体が必要に応じ直接手がける。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]


[世界経済]

(1) 欧州企業、業績回復鈍る(12/5) ***

 欧州企業の業績回復の歩調が鈍ってきた。2002年のイギリス企業の利益は、前年より5%減りそうである。2001年も1%減益であり、2年連続で減益になる可能性が高い。イギリス以外の欧州企業も、5〜6月時点の34%増益予想を頂点に下方修正が続き、11月時点では、6%増益に留まる見通しである。ドイツを中心に欧州景気が減速している上、今春からのユーロ高・ドル安の影響もはっきりしてきた。EU統計局によると、ユーロ圏12カ国の7〜9月期の実質GDP成長率は前期比0.3%増に留まった。独仏伊などの主要国の財政が悪化し、政府による需要創出は限界にきている。そのため、5日、欧州中央銀行(ECB)は0.5%の利下げに踏み切った。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

(2) アメリカ失業率悪化6%に(12/7) ***

 アメリカの雇用情勢が悪化してきた。アメリカ労働省によると、11月の失業率(軍人を除く)が警戒水域の6.0%となり、前月より0.3%の上昇であった。7ヶ月ぶりに6%台に乗せた。非農業部門の雇用者数も4万人減少しており、雇用問題が近く発足するブッシュ政権の新経済政策チームの最大の課題になる。イラク情勢が不透明ななかで、企業は新たな設備投資や新規雇用に消極的なままである。このような情勢も、製造業を中心とするリストラの厳しさの一因となっている。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]


[知って得する数字―GDP確報値]

2000年 2001年
名目GDP(兆円) 515.4 502.6
同上の伸び率(%) 1.1 −2.5
(以下実質伸び率)
実質GDP成長率 3.2 −1.4
個人消費 1.1 1.5
住宅投資 −0.2 −8.2
設備投資 10.0 −4.8
公共投資 −7.4 −5.3
輸出 9.5 −7.9
輸入 9.1 −4.8

[寸評] 2001年に入り、デフレの進行が明らかであり、個人消費を除き各指標とも悪化している。  


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]