12月第4週(12/22〜12/28)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 税の控除の役割(12/22) *
収入を得た人は、所得税を払う。所得とは、収入から経費を差し引いた額である。所得に所得税率をかけて、所得税の額を出す。しかし、人により生活環境は様々である。この違いに配慮したのが、「控除」である。例えば、妻子のいる家庭は教育費などがかかり、独身者に比べ自由に使えるお金は少なくなるのが普通である。この両者に一律同率の課税をすると、妻子のいる家庭は、独身者に比べ、負担感が重くなる。控除とは、このような負担感の相違を調整するために、設けられている。つまり、実際に払う税金は、所得額から控除を引いた額に税率をかけることになる。控除分を引けば、課税所得も小さくなり、税額が減る。
控除には、様々なものがある。サラリーマンが裕福な人に比べ税の支払能力が低いことに配慮した給与所得控除、家族を持ち出費の多い人に配慮したものとして、配偶者控除、2004年から原則廃止になった配偶者特別控除、扶養控除などがあり、社会的な弱者への控除として、障害者控除、老年者控除などがある。
(2) 産業再生法企業の合併・統合の審査短縮(12/23) **
政府は、来年4月から企業合併や統合が独占禁止法に抵触するかどうかを審査する期間を、かなり短縮する方針である。統合後のシェアが25%以下だったり、有力な競合企業が存在すれば、公正取引委員会の「事前相談」を15日程度にする。ただし、対象は、産業再生法の認定企業とする。同法を利用する企業は、ほとんど過剰供給業種で、独禁法に違反する恐れが少ないためである。
(3) 2003年度政府予算案決定(12/25) ***
24日決定した政府予算案は、前年度に歳出削減効果を挙げた国債発行30兆円枠を放棄した結果、財政健全化への道は遠くなったと言わざるを得ない。国債に絡む収支を除いた財政のプライマリーバランス(基礎的収支)は、政府案では6兆円以上増え約19兆6千億円に達する。プライマリーバランスの黒字化の目標時期は、2010年代初頭であるが、デフレ進行などをみると、実現は非常に難しい状況である。
アメリカは、包括財政調整法により、欧州連合(EU)諸国はマーストリヒト条約により、財政の立て直しに成功した。日本が、財政健全化を実現するためには、実効性ある目標を立てることが急務である。
(4) 中小企業向け貸し出しの大幅減少(12/26) ***
金融庁によると、公的資金の注入を受けている都市銀行、信託銀行、地方銀行など17行と、6つの持ち株会社(グループ)について、今年9月末の経営健全化計画の達成状況を発表した。貸し渋りや貸しはがしが指摘される中小企業向け貸し出しは、資金需要の低迷なども影響して、大手6行・グループを含む21行で、3月末の実績を下回った。特に、みずほグループは5兆円あまりも減少した。全体では、中小企業向け貸し出しは9兆8千億円減少した。各行に融資の実態に関する報告を求め、銀行によっては、業務改善命令を出すことも検討する。
国内銀行の大企業向け貸出金は、97年7〜9月期の93兆円から、2002年7〜9月期の95兆円へと増加したが、中小企業向け貸出金は、254兆円から199兆円へと55兆円減少した。
銀行の不良債権処理の加速と中小企業への融資拡大は、容易に両立しない。悪循環を断つ景気対策が必要との声は、根強い。
(5) 2002年の株価18.6%の下落(12/28) ***
バブル経済崩壊後の最安値をつけ、低迷を続けた2002年の東京株式市場の日経平均株価は、1年の下落率が18.6%で、3年連続の下落となり、3年間の下落率は54.7%に達した。
2001年末の青木建設やエンロンの破綻を受け、日経平均が1万800円台で始まった市場は、2002年1月末には1万円を割り込んだ。2月には、小泉首相のデフレ対策に具体性がないとして、株、円、債券がそろって下落した。その後、「空売り」に対する金融庁の規制が市場に評価され、3月末の株価は1万1千円台となり、うわさされていた「3月危機」は乗り切った。輸出拡大を背景に企業業績が改善する見通しが強まった4月以降、株価は上昇基調に入ったかに見えた。政府も、5月に月例経済報告で景気底入れを宣言したが、その直後の5月23日の1万1979円が2002年の最高値となった。5月末に、米格付け会社が日本の長期国債格付けをチリ等より低水準に格付けした。これを象徴として、外人投資家は夏休み後も市場に戻らず、売買は細る一方となった。そして、株価下落を加速させたのが、小泉改造内閣であった。不良債権処理の加速を打ち出した竹中経済財政相と木村剛氏の存在が株価下落につながった。株価が、83年以来の低水準に落ち込んだ。不動産や流通などだけでなく、これに融資している銀行株も軒並み下落した。日経平均は、11月14日にバブル経済崩壊後の終値での最安値を更新した。12月24日に決まった来年度予算の政府案が緊縮型であったため、年末も株価はずるずると値を下げた。