1月第5週(1/27〜2/2)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) WTO新ラウンド明日始動(1/27) **
世界貿易機関(WTO)は、28日貿易交渉委員会(TNC)の初会合を開き、新多角的通商交渉(新ラウンド)を開始する。まず、農業、サービス、非農産品の市場開放、WTO既存ルールの見直し、環境保護と貿易の5つの交渉グループの設置に向け、調整を急ぐ。 そして、2005年1月1日の最終合意を目指す。「既存ルール」の交渉には、日本が重視する反ダンピング措置の発動条件の見直しが含まれる。また、日本が優先したい直接投資の自由化の多国間ルール作りは、欧州連合(EU)の求める競争政策の国際調和と並び、途上国の反対が強い。
(2) 雇用ミスマッチによる失業率過去最悪の4.1%(1/28) ***
求人企業と求職者の条件が折り合わなかったり、職に就いてない人が新たに仕事探しを始めたりするときに生じる「構造的・摩擦的失業率」が上昇し、昨年11月に4.1%と過去最悪を更新し、全体の完全失業率(5.5%)と連動した動きを示した。一方、景気循環に対応して求人需要が変動することに伴う失業率を「需要不足失業率」という。構造的・摩擦的失業率が増えると、一人当たりの失業期間が長期化する可能性がある。また、世帯主の収入減を補うために働きに出ようとする専業主婦が増えた事情も、構造的・摩擦的失業率が増えた背景にある。
(3) 昨年12の失業率5.6%過去最悪に(1/29) ***
総務省によると、昨年12月の完全失業率は、5.6%と前月より0.1ポイント上昇し、4ヶ月連続で過去最悪を更新した。2001年の平均も、前年比0.3%上昇し、5.0%と過去最悪となった。12月の男性失業率は、5.8%,女性失業率は5.1%であった。12月の完全失業者数は、337万人と9ヶ月連続で前年同月比で増えた。このうち、非自発的失業者は、前年同月比31万人増の125万人と過去最多となり、前月に続き自発的失業者(101万人)を上回った。12月の有効求人倍率も、0.51倍と6ヶ月連続で悪化した。ただ、2001年平均の有効求人倍率は、0.59倍と前年と同水準であった。
(4) 銀行利回り高水準(1/29) *
銀行の資金調達手段である普通社債や金融債の利回りが上昇している。銀行の不良債権処理の遅れや信用力の低下を懸念する声が強く、市場での投資が慎重なためである。銀行にとり、資金調達コストの上昇となり、住宅ローンなど長期の貸し出し金利の引き上げに波及始めている。この傾向が長引くと、銀行収益が圧迫されるほか、景気回復の足かせとなる恐れがある。
(5) 低迷景気底探る(1/30) **
日本の景気が後退を続けながら、底を探る局面に差しかかろうとしている。雇用など厳しさを増しているものの、在庫調整が進展し、生産の下げ止まりの兆しもうかがえるためである。しかし、底を打ったとしても、けん引役は外需以外に期待しにくく、消費、設備投資などは弱いままである。構造問題も引き続き重しとなり、底ばいが続く公算が大きい。
(6) 2001年の住宅着工18年ぶり低水準(2/1) **
国土交通省によると、2001年の新設住宅着工戸数は、前年比4.6%減の117万3858戸と3年ぶりに前年水準を下回った。83年以来、18年ぶりの低水準である。持ち家の不振に加え、分譲マンションが3年ぶりにマイナスに転じたことが影響した。
(7)全国銀行の昨年9月期の不良債権36兆円の最大に(2/2) ***
金融庁によると、2001年9月中間決算期の全国銀行の不良債権残高は、36兆8千億円で、同3月期に比べ3兆1千億円増えた。不良債権の開示を始めた99年3月期以来、最大となっている。デフレや業況悪化などで、新たな不良債権が発生し、直接償却を進めても追いつかない状況である。大手銀行の貸し出しに対する不良債権の比率も、昨年3月期の5.3%から6.2%に悪化した。
(8) 東京市場トリプル安(2/2) **
アメリカ経済が底を打ちつつあり、回復が鈍い欧州、低迷の続く日本との景況感格差が鮮明になりつつある。外国為替市場では、円よりユーロ、ユーロよりドルが買われている。特に、不良債権問題などを背景に、日本売りが加速し、一日の東京市場では、国債,株式、円の相場が揃って下落するトリプル安の展開となった。トリプル安は、バブル崩壊期や98年の金融不安のときも見られた。
(1) 米経済10〜12月期プラス成長、底打ち観測広がる(1/31) **
アメリカ経済が、昨年末で最悪期を脱したとの見方が広がってきた。昨年10〜12月期の前期比年率の実質GDP成長率が0.2%のプラス成長になったのは、個人消費(5.4%増)と政府支出(9.2%増)が大きく伸びたためである。また、10〜12月期の在庫調整減少が1206億ドルと過去最高となり、在庫調整の終了が近いとの見方が広がっている。しかし、設備投資(前期比12.8%減)は、低迷が続き、企業部門の持ちなおしが本格回復の鍵を握る。
(2) 欧州委員会,ドイツ・ポルトガルに財政赤字拡大で初警告(1/31) *
EUの欧州委員会は、ドイツ、ポルトガルに財政赤字の拡大を回避するため、財政均衡政策をとるように警告することを決めた。EU各国は、ユーロ相場を安定させるため、財政赤字の対GDP比(2001年のドイツは2.6%)が3%以内に維持する安定化協定を結んでおり、97年に発効している。EU15カ国の財務省は、2月12日の理事会で欧州委員会の決定を協議する。最大のGDPをもつドイツが3%以内のユーロ参加条件を満たせなければ、ユーロは信認を失い相場への悪影響は避けられない。