7月第2週(7/7〜7/13)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 市場介入の仕組み(7/7) *
企業が海外にモノを売って受け取った外国通貨は、国内通貨に交換する必要がある。海外からモノを買う場合には、国内通貨を外貨に換えて代金を払う。このように、異なる通貨をそのときの交換レートで売買する市場を外国為替市場という。「市場介入」とは、財務省や中央銀行が国の資金を使って、外国為替市場で通貨を売買し、交換レート(相場)に影響を与えるのが目的である。実施するかどうかは、財務省が決める。財務省は、昨年、91年度から10年間で200日に渡り円ドル相場に介入したと発表した。
(2) 7月月例報告−景気一部に持ち直し(7/12) ***
政府の7月の月例経済報告によると、景気の現状は「依然厳しい状況にあるが、一部に持ち直しの動きがみられる」との判断である。設備投資に下げ止まりの兆しがあるため、2ヶ月ぶりに基調判断を上方修正した。世界経済については、先行き不透明感が強まっていると判断した。会計不振などで米国株が下落し、円高進行も加わり、輸出頼みの日本経済に先行き不安感が漂っている。基調判断の材料は、大半が5月時点のもので、必ずしも足元の動きに対応しきれていない。
(1) 付加価値税調和にフランスが反旗(7/9) **
経済統合を進める欧州で、欧州委員会と各国の間で税制や財政の調整を巡る不協和音が浮上している。レストランの飲食代にかかる付加価値税(日本の消費税に相当)の大幅引下げ方針を決めたフランス政府に対して、欧州連合(EU)内の税の調和を進める観点から、EUが待ったをかけた。フランスの付加価値税は19.6%であるが、生活必需品の一部に5.5%の優遇税制を採用している。フランス飲食店全体への5.5%税率の適用は、先の大統領選・総選挙のシラク大統領の公約であった。フランス政府は、来年1月からの税率引き下げをこのほど正式に打ち出した。しかし、EUの制度上、付加価値税の見直しは加盟国15カ国の全会一致が原則である。フランスは、EUが共通ルールとして定めた2004年の財政均衡達成でも、先送りを主張して足並みを乱した。 各国の事情がもたらすあつれきは、経済市場を統合した現在の方が際立ってきた。
デンマーク | 25 | オランダ | 6 |
スウェーデン | 25 | ルクセンブルク | 3 |
フィンランド | 22 | ||
ベルギー | 21 | ||
オーストリア | 10〜20 | ||
フランス | 19.6 | ||
ギリシャ | 8〜18 | ||
英国 | 17.5 | ||
ドイツ | 16 | ||
アイルランド | 12.5 | ||
ポルトガル | 12 | ||
イタリア | 10 | ||
スペイン | 7 |
(2) BIS年次報告−邦銀・生保「持ち合いでリスク増大」(7/8) ***
国際決済銀行(BIS)は,8日加盟する世界50あまりの中央銀行総裁を集め総会を開き、世界経済の現状を分析した年次報告を公表した。そのなかで、日本の金融システムに言及し、銀行と生命保険会社の間の資本持ち合いが、危機の連鎖リスクを増大させていると警告した。銀行が生保発行の劣後債を持つ一方で、大半の銀行が上位五株主のうち、二つ以上が生保になっている。銀行株下落による巨額の損失発生が、日本の生保を弱体化させていると指摘している。加えて、資本持ち合いが、生保による銀行へのチェック機能を弱めている点も重視している。これが、日本の企業統治(コーポレートガバナンス)を弱め、構造改革を遅らせる要因にもなっているとしている。
さらに、日本の銀行の多額の株式保有自体も国際標準から異常であり、株価下落により銀行の低い収益性の一因にもなっているとしている。
注:劣後債・・・返済順位が通常の債務に劣後する債権である。自己資本的な性質をもつため、BIS基準の自己資本に一定の制約の下で参入できる。一般に、通常の債権より利回りは高くなる。
(3) 中国上期の輸出14%増(7/12) **
中国の今年上半期の輸出は、前年同期比14.1%増の約1421億ドルと好調な伸び率であった。二輪車、家電製品などがけん引した。輸入も10.4%増の約1287億ドルであった。日本への輸出は、1.1%増の約216億ドルにとどまったが、日本からの輸入は10.1%増の約232億ドルであった。日本企業が中国での生産を強化したため、生産財や組み立て用部品の輸入が増えたためと見られる。また、対米貿易黒字が一段と増えた。
(4) 米財政赤字が大幅拡大(7/13) ***
米ホワイトハウスが発表した年央経済改定見通しで、2002会計年度(2001年10月〜2002年9月)の財政赤字が1650億ドル(約19兆円)に達すると予想した。2月の予想より、56%も赤字が膨らむとみている。この大幅な修正理由について、「株安のため株式売却益税が大幅に減ったことなどが主因」と指摘している。税収は前年度より6%減る見通しである。財政赤字の増加が続けば、内外の投資家の信頼を低下させ、資本流出を促進させる恐れがある。