6月第5週(6/23〜6/29)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1) 名目と実質(6/23) *

 「名目」という言葉を経済で使う場合、額面どおりのみたままという意味がある。普段、生活の中で目にする値といってもよい。「実質」は、実際の価値を表し、お金の価値が不変であったと仮定したときの値である。この30年間で、名目の給料は6倍になっているが、物価は3倍になっており、実質の給料は2倍になったことになる。通常は、名目の値の方が、実質より大きいのであるが、逆転することがある。これは、最近日本で起きていることであり、物価が下がるデフレが続き、お金の価値が上がっている。最近は、物価が2%近く下がっているため、ゼロ金利で名目の金利は0%でも、実質で2%の金利がつくのと同じである。

 最近のように物価が変動しているときには、名目と実質の両方に目配りする必要がある。


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(2) 5月の失業率5.4%に悪化(6/28) ***

 総務省によると、5月の完全失業率は5.4%となり、前月比0.2%上昇した。完全失業者数は、375万人と14ヶ月連続で前年同月を上回った。男性が中心であった正社員の削減が女性にも波及し、女性の完全失業率は5.3%と過去最高となった。また、求職者一人当たりの求人の割合を示す有効求人倍率は、0.53倍と3ヶ月連続で改善した。雇用形態別に見ると、正社員が前年同月比126万人減少し、過去最大となり、雇用期間の短い人は増えており、正社員を減らしパートを増やす動きが加速している。


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[世界経済]

(1) アメリカ景気懸念し、ドル安加速(6/23) **

 アメリカで、株安とドル安が進行し、アメリカ経済に対する懸念が広がっている。景気は回復傾向にあるが、今年1〜3月より勢いが鈍化している。テロ再発への懸念と相次ぐ企業スキャンダルにより、アメリカ経済への信頼も揺らいでいる。市場の「米国売り」が続くと、本格的景気回復に影が差しつつある。このため、円高が加速し、東京市場では1ドル=120円を突破する可能性も出てきた。市場関係者の多くは、国内景気に配慮して、政府・日銀が円売りの市場介入に踏み切ると見ており、120円を巡る攻防が激しくなりそうである。


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(2) ユーロ2年4ヶ月ぶり高値(6/25) ***

 ユーロは、24日ロンドン市場で、1ユーロ=0.98ドル台に上昇し、2年4ヶ月ぶりの高値をつけた。99年1月の通貨統合により、1ユーロ=1.175ドル程度で取引を開始したが、米欧経済の成長力の格差やユーロ圏の構造改革の遅れなどを背景に、3年以上に渡り下落傾向が続いていた。ユーロ圏の産業界と通貨当局は、最近のドル安・ユーロ高が、輸出への悪影響よりも輸入物価の下落を通じインフレを抑制する効果をもつものとして、その効果に期待している。


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(3) 瀬戸際のアメリカのワールドコム(6/27) **

 アメリカ第二位の長距離通信会社ワールドコムが、五・四半期に渡り総額38億ドル強もの利益をかさ上げしていた粉飾決算が発覚した。同社の株価は、1ドルを割り込み、破綻回避へ銀行団とのぎりぎりの交渉が続いている。決算操作の発覚は、投資家の企業不振を一段と強めるのは必至である。低迷が長期化する米株式市場の回復がさらに遠のく懸念が強まっている。


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(4) 通信株、世界株安を主導(6/28) ***

 全世界の株価指数は、年初来約一割下げたのに対し、通信の下落率は約3割強に達した。通信企業の株価下落が、世界的な株安を主導している。米のワールドコムの粉飾決算の発覚を機に、フランステレコムなど欧州の主要通信会社の財務にも厳しい目が向けられており、通信株への懸念は世界的なものとなっている。


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[環境問題]

(1) 東電、風力発電に本格参入(6/26) *

 東京電力は、二酸化炭素(CO2)排出規制の強化に備え、風力発電事業に本格参入する。トーメン全額出資のトーメンパワーホールディングスに50%出資し、投資額は100億円程度と見られる。風力による国内総発電出力は約30万キロワットで、全体の発電設備能力の約0.1%にすぎない。しかし、2010年度には、300万キロワットに拡大する見通しである。トメングループがもつ風力発電所の総出力は、世界全体で約65万キロワットで、世界シェアは5%程度と見られる。


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  [知って得する数字]

2001年の東アジア諸国(%)
実質GDP成長率 失業率
中国 7.3 3.6
香港 0.2 5.1
台湾 −1.9 4.6
韓国 3.0 3.7
シンガポール −2.0 3.4

[寸評]2001年の世界的不況の下で、台湾,シンガポールがマイナス成長となった。そのなかで、世界からの直接投資が集中している「世界の工場」である中国の高い成長率が際立っている。


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