5月第4週(5/19〜5/25)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 円急伸、一時125円台(5/19) *
17日の海外市場では、5ヶ月ぶりの円高・ドル安水準となる1ドル=125円台半ばをつけた。背景には、日本の景気回復への期待がある。市場では、政府の景気底入れ宣言で円の先高観が強まっていた上、外国人投資家の日本株買いによる円買いも目立っていた。急激な円高は、輸出企業の採算悪化を通じ景気を冷やしかねなく、財務省首脳も「行き過ぎた円高には適切な対応をする用意がある」としている。(そのため、22、23日と円相場が1ドル=123円台後半に上昇した段階で、政府・日銀は円売り・ドル買いの市場介入に踏み切った)。
(2) 設備投資2年連続減少(5/21) **
2002年度の設備投資は、2年連続で減少する見通しである。日本経済新聞社が主要3018社を対象に実施した設備投資動向調査によると、全産業の当初計画額は、約13.4兆円で、前年度を4.4%下回る。内需低迷と国際競争の激化が影響していると思われる。なお、2001年度の設備投資は、約14.0兆円で前年度比9.0%減であった。
注:民間設備投資・・・民間企業が機械を購入したり、建屋を建設したりする投資のことである。日本では、国内総生産(GDP)の15%前後を占める。日本企業は、現在設備合理化や情報化投資に重点を置く。企業の景況感を敏感に反映するため、景気の重要な指標となる。
(3) 企業向け貸出残高、減少率最大7.2%(5/21) ***
経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会によると、2001年の政府開発援助(ODA)の供与額で、アメリカが日本を抜いて首位になった。日本のODA額は、前年比28.4%減の96億7800万ドルに落ち込み、91年から10年間に渡り維持していたトップの座を明渡した。日本は、ODA大国の道を突き進んできたが、財政悪化の中で供与額は減額を迫られる。アメリカ同時テロを受け、欧米諸国は貧困解消のため、ODA拡充に動く構えである。
(4) 大手13行、不良債権47%増加−全グループ最終赤字(5/25) ***
大手銀行13行の2002年連結決算によると、不良債権残高は、27兆1700億円で、1年前に比べ47%増加した。不良債権残高が減ったのは、三菱東京グループだけである。8兆円以上の不良債権処理を進めたが、景気悪化や査定の厳格化で新規の発生が膨らんだ。また、13行のうち、12行が連結最終赤字となった。
(1) ドイツ、アメリカ頼みで景気底入れ(5/24) ***
ユーロ圏経済の約3分の1を占めるドイツで景気の底入れが確認された。1〜3月の実質GDP成長率は前期比0.2%となり、半年振りにプラス成長となった。しかし、景気を引っ張るエンジンは輸出だけであり、アメリカ経済頼みの側面が強く、内需は依然として弱い。
GDP | 0.2% |
個人消費 | −0.3% |
企業設備投資 | −2.7% |
輸出 | 1.9% |
輸入 | −2.9% |
(1)温暖化防止条約・京都議定書批准(5/25) **
衆議院が21日に地球温暖化防止条約・京都議定書の批准を承認し、政府は6月にも議定書を批准する見通しである。
議定書は、日本に2008〜2012年の温暖化ガスの排出量を1990年比で6%削減するよう義務付けている。99年の排出量は、90年比で約7%増加しており、このままでは実質13%程度の削減が必要となる。
企業の排出削減を促すには、事業所や企業ごとに排出枠を割り当て、達成分と未達成分を売買取引する排出権取引の仕組みが有効といえる。イギリスは、この制度を導入し、欧州全域で2005年から試験的に始まる予定である。