11月第3週(11/10〜11/16)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1) BIS改正案、銀行に資本増強迫る(11/10) *

 日米欧の銀行監督当局で構成されるバーゼル銀行監督委員会(BISに事務局がある)は、自己資本比率の国際決済銀行(BIS)規制を現在より厳しくする改正案を各国に提示した。リスクの大きい資産を抱えるほど強い財務基盤を要求する仕組みで、不良債権はこれまでの最大5.6倍の自己資本が必要になる。同委員会は、来年後半に正式決定し、2006年末から一斉に適用する方針である。


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(2) 産業再生戦略本部が発足(11/13) **

 不良債権処理を急ぎながら、企業の再生・整理と雇用対策に対処する「産業再生・雇用対策戦略本部」が12日発足した。産業再生の基本指針は、今後検討されるが、この指針は多額の借り入れを抱えた企業が再生可能かどうかを判断する重要な基準である。再生不可能なら、整理回収機構(RCC)が引き取り債権回収を進める可能性が大きい。塩川財務省は、戦略本部の席上、具体的で客観的な基準を示すべきであるとする。


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(3) 7〜9月期実質GDP成長率3.0%(年率)−減速鮮明に(11/13) ***

 内閣府によると、7〜9月期のGDPが実質で前期比0.7%増、年率換算3.0%増になったと発表した。個人消費の伸びや民間在庫品の増加で、三期連続のプラス成長となったが、けん引役である輸出は伸び悩み、成長は鈍化した。設備投資は、前期比0.9%減で、再びマイナスの伸びに転じ、設備投資の低迷ぶりを表している。また、デフレに歯止めがかからず、名目成長率が実質成長率を下回る名実逆転は変わっていない。総合的な物価変動を示すGDPデフレーターは、前年同期比で1.6%のマイナスで、4年半(18期)連続で下落しており、下落幅も昨年4〜6月期以来の大きさである。

[GDP増減率の内訳](実質の前期比%)
4〜6月期 7〜9月期
GDP 1.0 0.7
(年率換算) 4.2 3.0
個人消費 0.5 0.8
住宅投資 −0.9 −0.2
設備投資 0.2 −0.9
政府支出 0.6 0.9
輸出 5.9 0.5
輸入 3.4 1.8


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(4) 税収不足、国・地方で4兆円(11/14) ***

 景気低迷で、今年度に国・地方合計で約4兆円の税収不足が生じることが確実となった。法人・所得税収がともに振るわず、予算に比べ、国は2兆8千億円、地方は1兆円強の不足となる。政府は、この不足分のため今年度補正予算の編成に着手し、国債発行は30兆円枠を突破する。与党や経済界からは、需要追加策の要求が強まっており、補正規模がこれからの焦点になる。


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(5) 補正予算、雇用増へ技術創業支援(11/16) ***

 22日での閣議での今年度の補正予算の全容が明らかになった。科学技術振興のための創業支援策、雇用支援など安全網強化で1.5兆円、都市再生や環境分野などの公共事業を1兆円上積みする。社会保障などの財源補てんで1兆円など、歳出総額は4兆円程度となる公算が強い。


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[世界経済]

(1) ドイツの財政赤字比率3%超予測、EU改善要求へ(11/14) ***

 欧州連合(EU)の欧州委員会は、ドイツの2002年の財政赤字の対GDP比が3.8%となり、ユーロ参加国の上限基準である3%を突破するとの見通しをまとめ、EUの赤字是正手続き(事実上の監視下となる)を発動すると発表した。フランスは3%近くに達すると見られ、フランスにも警告発動手続きに入る。ユーロ参加国は、ユーロ導入に際し結んだ「安定・成長協定」により、毎年の財政赤字をGDP比で3%以内に抑える必要がある。上限を超えると、EUは是正手続きを発動し、赤字削減策の提示を求める。それでも違反状態が続けば、最大でGDPの0.5%に相当する罰金が検討される。

[欧州委のユーロ圏経済予測](2002年,%)
GDP伸び率 0.8
失業率 8.2
消費者物価上昇率 2.3
財政赤字のGDP比 2.3
同上・ドイツ 3.8
同上・フランス 2.7


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[競争政策]

(1) 送電線利用料に上限−参入企業の負担軽減(11/10) **

 経済産業省は、電力市場に参入する企業が、送電線の利用料金として大手電力会社に払う料金に上限を設ける方針である。期間を二、三年に限定して、現在の届け出制を認可制に改め、上限を段階的に引下げる。送電料の負担が、参入障壁となっているのを防ぐためである。現在、送電線を借りる参入企業の送電料は、一キロワット時当たり2〜3円程度である。これは、参入企業の電力小売価格の2〜3割を占め、アメリカの7倍に当たる。送電料をコストとして小売価格に上乗せするので、価格競争力が低下し、新規参入を抑える要因となっている。


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