11月第4週(11/17〜11/23)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1) 長期金利、1%割れー経済停滞の長期化のため(11/17) **

 期間1年以上のお金を借りるときの年率の金利である長期金利は、13日に0.940%まで低下した。1%割れは、98年11月以来で、背景には日本経済の停滞が長期化していることがある。長期金利の水準の指標となっているのが、国の10年物国債の利回りである。十年物国債は、金融機関などが頻繁に売買しており、売る人が増えると価格は下がり、利回りは上がる。現在のような景気の低迷期には、株式などが低下しているため、安全な投資対象といえる国債を買う人が増えるため、国債価格は上昇し、利回りは低下する。


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(2) 日銀、29日銀行保有株の買い取り開始(11/19) **

 日本銀行は、金融安定化策のための銀行の保有株式の買い取りを29日から始めると発表した。2004年9月末までに、最大2兆円の株式を銀行から直接買い取る予定である。大量の株式保有が銀行経営を不安定にしている実態を重視し、日銀が売却の受け皿になることで株式市場の売り圧力の緩和を狙う。

 日銀は時価で銀行保有株を買い取るため、含み損(買値と時価の差額)を抱える銀行は、売却すれば損失が表面化し、自己資本が減少するジレンマを抱えている。


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(3) 景気拡大、最短命の見方(11/21) **

 大幅な株安やアメリカ経済の減速で、2003年度中に景気後退に入るとの見通しが強まってきた。現在の景気拡大は、戦後最短に終わるとの見方も出ている。民間16社の平均の来年度予測は、実質GDP成長率が0.3%、名目は0.9%のマイナス成長となり、成長鈍化は避けられない。景気は停滞しており、日銀は景気判断を11ヶ月ぶりに下方修正した。


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(4) 補正予算―歳出追加4兆2千億円(11/22) ***

 政府・与党は、今年度の補正予算の骨格を固めた。都市再生やリサイクル推進などの公共投資に、1兆5千億円を充て、雇用保険制度の見直しや中小企業支援などに同じく1兆5千億円を充てるなど、約4兆2千億円の歳出を追加する。税収減により、地方交付税交付金が減ることを考慮しても、約2兆円の歳入不足が生じる。予算の節約や税外収入で約1兆円を捻出し、国債の発行は5兆円程度と見られる。そのため、国債発行30兆円枠は突破する。


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(5) 上場企業42%経常利益増益(11/23) ***

 日本経済新聞社によると、上場企業の2002年9月中間決算は、連結経常利益が前年同期に比べ42%増えた。自動車、電機、鉄鋼、商社などの業績が回復した。集計対象は、1368社で、3月決算企業の全体の8割に当たる。2003年3月期の通期の経常利益は、前期比74%となる見通しである。前期の大幅な落ち込みの反動で急回復となるが、アメリカ景気の変動など不透明要因も多い。


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[競争政策]

(1) 電力自由化―送電分離を見送り(11/20) **

 経済産業省は、大手電力会社の送電部門を、発電や小売り部門から分離し、別会社にすることを見送る方針である、発送電の完全分離は時期尚早と判断した。しかし、発電や小売りに新規参入する会社との競争を公平にするために、送電部門の会計を分離する方策を導入し、送電部門の利益を電力料金引下に使えないようにする。他の自由化策とともに、2003年の実現を目指す。


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[知って得する用語―景気循環]

 経済活動は、上昇と下降を繰り返しており、その変動を景気循環と呼ぶ。景気循環は、あくまで方向性で判断し、上向きなら景気拡大、下向きなら景気後退という。したがって、経済活動の水準自体を念頭においた言葉ではない。生産や販売などの指数を合成した景気一致指数は、今年1月から上昇しており、現在は景気拡大局面にあるといえる。ただ、水準はかなり低く、景気拡大の実感は薄い。一度上向いた景気が停滞する状況を「底ばい」といい、再び悪くなる事態を「底割れ」と呼ぶ。


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