11月第5週(11/24〜11/30)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 補正予算の役割(11/24) **
政府は、毎年末に来年度の予算を編成し、国会に提出して審議を経て成立させ、予算の内容どおりにお金を使う。補正予算とは、最初に作った予算内容を、その年度中に変更する予算を指す。補正予算は、毎年度編成され、多いときは1年に三度組まれることもある。組まれる理由は、景気対策などのためや、天災などが起きたときに、その対策のためにお金が必要になるからである。予算には、そうした緊急なときに備えて予備費が組まれているが、それでは足りないときに補正予算を組み、改めてお金の集め方と使い方を決める。今回、政府が補正予算を編成するのも、景気が予想以上に悪くなり、税収が2兆円以上当初の見込みより下回るためである。このように、税収が見込みを下回り、お金の集め方を変更するのにも、補正予算が必要になるのである。ただし、今回は、国債を発行し税収分を穴埋めするだけでなく、景気対策のため、公共事業や失業対策などの支出を増やすことも決めている。
(2) 大手銀行、不良債権処理大幅上積みー3兆円超処理損(11/26) ***
大手銀行は、2002年9月中間決算を発表したが、そのなかで今後、不良債権処理を加速し、2003年3月期通期で最低3兆2千億円の不良債権の処理を検討しており、さらに上積みも行う方針を明らかにした。通期で赤字となる銀行も相次ぐ見通しで、大手銀行の財務力の低下が鮮明になっている。
大手行の全体の不良債権残高は、3月末比10%減の24兆4千億円超と減少に転じたが、大手各行は、通期の業績見通しを厳しく見ている。不良債権の最終処理を加速するなかで追加損失(新たに積みました貸倒れ引当金や、不良債権売却時に引当金や担保でカバーし切れなかった額)が出る上、政府の金融再生プログラムに沿って、不良債権の査定が強化される見通しのためである。
[2002年9月中間期決算―連結最終損益] | (億円) | |
みずほホールディングス | 390 | |
三井住友銀行 | 551 | |
三菱東京グループ | −1880 | |
UFJホールディングス | 725 |
(3) 金融再生工程表明らかに(11/28) **
金融システム安定化のために政府が打ち出した金融再生プログラムの実施手順を示す「作業工程表」が、明らかになった。不良債権の処理過程で経営難の銀行に公的資金の投入が必要かどうかを判断する銀行監視チームを12月中に発足させる。また、資本不足に陥った銀行を対象とする早期是正措置も厳格化し、一年で経営改善を達成するように銀行に求める。
経営難に陥った銀行で政府・日銀が管理下に置く「特別支援行」は、金融庁が認定し、 銀行監視チームは認定を受けた銀行の経営を監査し、早期の健全化が難しい場合には、公的資金による資本注入などを金融相に進言する。
また、政府が98年と99年に資本注入で引受けた優先株の普通株への転換についても、どういう場合に議決権のある普通株へ転換するかの基準を盛り込んだ指針を12月中に作る。金融庁は市場の信認が著しく低下した場合などに転換を限っているが、新指針は、例えば予定した利益を上げられない決算が続いた場合も転換するなど、基準を緩和する方向である。
そして、健全性の目安になる自己資本比率が一定の基準を下回る銀行を対象に、金融庁が発動する早期是正措置は、11月中に見直す。例えば、国際業務を営む銀行が8%を下回った場合に、現在は3年間で資本増強などの経営改善を達成するように求めているが、この猶予期間を1年に短縮し、早期の健全化を要求する。
次に、資産査定を厳格化し、不良債権処理を加速させるための措置は、2003年3月期決算に導入する。企業が将来手にする収益に基づき資産査定する「ディスカウント・キャッシ・フロー(割引現在価値)」方式を取り入れる。
(1) アメリカ成長率7〜9月期4%に上方修正(11/27) ***
アメリカ商務省によると、アメリカの7〜9月期の実質GDP成長率の改定値は、4〜6月期に比べ年率換算で4.0%増で、4期連続のプラスとなった。速報値に比べ0.9%の上方修正である。内訳をみると、内需の7割を占める個人消費は4.1%増で、好調を保った。住宅投資が前期比プラス修正されたほか、貿易赤字が縮小し、外需の成長率押し下げ効果がなくなったことが寄与した。
[7〜9月期の伸び率改定値] | (%) | |
GDP | 4.0 | (GDPは、9兆4,840億ドル) |
個人消費支出 | 4.1 | |
民間設備投資 | −0.7 | |
民間住宅投資 | 2.1 | |
輸出 | 3.3 | |
輸入 | 2.3 | |
政府支出 | 3.1 |