10月第3週(10/13〜10/19)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1) 公的資金の注入(10/13) **

 公的資金とは、最終的に国民の税金で負担する可能性があるお金の総称である。国は、1998年と99年に合計約9兆円の公的資金を大手銀行に注入した。不良債権(期限が過ぎても戻らない貸出金や金利の支払いが滞っている融資)を抱えて、経営の不安定な銀行が日本経済全体の足を引っ張っていたためである。しかし、その後も不安が払拭されないため、再度注入問題が浮上している。

 大手銀行は、巨額の不良債権を抱え融資に慎重になっており、お金の流れが滞っている。これが、モノや株式・土地の値段が下がるデフレを加速し、経済活動を停滞させている。デフレの進行により、不良債権がさらに膨らむ悪循環となっている。このため、政府は、不良債権処理を急ぐ必要がある。代表的な処理方法は、不良債権による損失に備え引当金を積むことである。銀行が引当金を積むと、自己資本の減少とみなされ、資本不足に陥った場合には、公的資本の注入が必要になる。この場合には、預金保険機構など国の機関が、銀行の発行する株式や債券を買い入れ、銀行は得た資金を自己資本に計上する。一方、国の資金で民間銀行を救うことになるので、経営者、株主の責任が問われることが前提となり、経営改善計画の提出も求められる。


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(2) 自由貿易協定(FTA)、中国との交渉視野(10/13) **

 外務省は、貿易障壁の撤廃や投資自由化を目指すFTAの締結を急ぐため、国・地域別の戦略計画をまとめた。韓国や東南アジア諸国連合(ASEAN)との締結を最優先課題とし、中国との交渉に入る方針を明記した。経済活性化に向け、世界的に出遅れたFTAの凍結を目指す。


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(3) 不良債権処理―残高膨張27兆円(10/17) ***

 1999年3月期以降、減少傾向にあった不良債権の残高は、再び増え始めた。2002年3月期末の大手銀行の不良債権は、1年前より49%増えて27兆円弱となった。景気低迷が長引いているうえ、金融庁が検査で不良債権を厳しくチェックするようになったためである。

 銀行は、不良債権を次の3つに分類している。

a.破産更生債権・・・事実上倒産した企業向けの貸し出しを指す。ほとんど回収困難となった債権である。

b.危険債権・・・倒産する懸念が大きい企業に対する貸し出しである。業績回復のメドが立たず、利払いが滞っている企業への融資が、これに当たる。こうした、企業は、手持ちの資産を売っても返せないほど多額のお金を借りているケースが多い。

c.要管理債権・・銀行が貸し出し債権を放棄したり、金利を軽減・免除したりして経営再建を支援している企業向けの貸し出しである。流通・建設・不動産などの経営不振企業の大半が、ここに入っている。

 3月末の分類では、aが横ばいの3兆2千億円、bが44%増の12兆2千億円、cが80%増の11兆3千億円であった。cは、経営再建が失敗すれば、a、bにもなりうる。政府も、この要管理債権をどうするかがポイントになりそうである。


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[世界経済]

(1) 仏財政政策にユーロ圏動揺(10/13) **

 赤字削減より景気を優先するフランスの財政政策が、ユーロ圏で波紋を広げている。12ヶ国で唯一、2003年から毎年財政赤字の対GDP比を0.5%ずつ減らす財政赤字削減計画に反対している。フランス政府は、財政赤字を3%以内に抑えるが、財政均衡への赤字削減速度は遅らせるという方針である。EUは、財政均衡の目標年次を設定できずにいる。財政赤字を削減する共通目標からの逸脱を許せば、インフレ期待を醸成して通貨ユーロの信任が低下しかねない。


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[知って得する用語―自由貿易協定]

 関税の相互引下げや撤廃など自由な貿易を目指し、主に二国間で締結する協定である。欧米を中心に、世界で140件が成立している。日本は、WTO(世界貿易機関)での多国間交渉を優先してきたことや、農産物の輸入拡大を阻止したい農水省の抵抗もあり、他国に比べ交渉が遅れていた。締結されたのは、今年1月のシンガポールとのFTAのみである。また、現在、メキシコと交渉中である。 


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