2月第4週(2/16〜2/22)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)FTA協議活発化(2/19) **

 自由貿易協定(FTA)は、国と国の間で互いに関税を撤廃し、貿易の垣根を無くすことである。関税の撤廃や削減への取り組みは、WTOの下で関税以外の分野も含めて続けられている。ただ、WTOは、加盟国・地域が140以上にのぼり、利害が錯綜するため、意見をまとめることが難しくなっている。このため、各国は、貿易を通じた利害が一致した相手と素早く協定を結べるFTAに注目するようになってきた。FTA第一号は、1958年に発足した欧州経済共同体(EEC)で、現在はEUに発展している。現在は、北米自由貿易協定(NAFTA)など、約130のFTA締結が、WTOに報告されている。

 日本が結んだFTAは、昨年の対シンガポールだけである。農業保護を重視する日本は、農産物輸入がほとんどなく、工業製品の関税もほぼゼロのシンガポールは、格好の相手であった。ただ、日本が協定で得た利益は、ビールの関税が撤廃された程度で、大きな効果には結びついていない。


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[世界経済]

(1) WTO農業一次案巡り「ノーの応酬」(2/15) **

 15日の世界貿易機関(WTO)の新ラウンドを巡る非公式閣僚会合は、コメなどの協議で、日本やEUなど自由化慎重派とアメリカやオーストラリアなど急進派との主張の相違が明白となった。農業交渉の自由化の一次案を巡り、交渉期限の3月末にまで合意する方針で一致したが、対立は根深い。国内では、コメ市場の一層の自由化に警戒感が強く、農業団体などの反対行動が活発化している。

 日本に輸入されているコメは、現在1キログラム当たり341円の関税が課されている。このため、現在1キログラム当たり100円前後の米国産米や中国産米は、関税込みの輸入価格で、437円から450円になっている。しかし、一次案が採用されると、上記の外国産米の輸入価格は300円以下になる。国産米の平均卸売価格は、299円なのでほぼ同価格となり、コメの競争が激化するのは必至と見られる。

<新ラウンドの今後のスケジュール>
2003年
3月末 農業自由化枠組み合意期限
非農産品自由化の枠組み大枠合意期限
サービス分野の各国の第一次回答提出期限
5月末 非農産品自由化の枠組み最終合意期限
6月頃 非公式閣僚会合(エジプト)
9月 第5回閣僚会合(メキシコ・カンクン)
2005年
1月 交渉期限


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(2) アメリカの相手国別輸入額、中国が日本を上回る(2/19) ***

  昨年のアメリカの相手国別輸入額で、中国が日本を上回り、カナダ、メキシコに次ぐ第三位になる見通しであることが分かった。中国は、昨年アメリカを抜き日本の最大の輸入相手国にもなっており、世界の工場としての存在感を高めている。ただ、輸入品目別にみると、中国からの輸入品は、ラジオ、暖房器具やおもちゃなどが多く、自動車などが多い日本より、付加価値の低い製品が多い。


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(3) 2002年のアメリカ貿易赤字最大4352億ドル(2/19) ***

 アメリカ商務省によると、2002年のアメリカ貿易赤字は、前年比21.5%増の4352億1600万ドルと初めて4千億ドルを突破し、2000年を上回り過去最大となった。日本への貿易赤字は、700億5500万ドルと、中国,EUに次ぎ、3位となり、前年の2位から後退した。

 アメリカの貿易赤字の拡大は、輸入が伸びたが、輸出が減少したためである。対日貿易では、輸出入額とも減少し、日米貿易は縮小した。日本企業がアメリカでの現地生産を拡大したことや、中国へ進出し米中貿易に変形したことが背景にある。


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[規制緩和]

(1) 規制改革12項目了承−経済財政諮問会議(2/17) **

 政府の経済財政諮問会議は、総合規制改革会議が提出した、株式会社の病院・学校経営への参入など12の重点検討事項を盛り込んだ「規制改革の推進のためのアクションプラン(行動計画)」を了承した。6月までに所管省庁と折衝し、2年以内の規制緩和の実施を目指す。

 行動計画は、医療、福祉、教育、農業の四分野を特に規制の強い官製市場と指摘し、医薬品の薬局以外の販売解禁や株式会社の農地取得などを盛り込んだ。規制改革会議は、今後所管省庁と折衝する。全国実施が出来ない場合は、構造改革特区としての実現も視野に入れている。この折衝の結果は、6月に緊急答申として取りまとめる。経済財政諮問会議は、これを受け2003年度の「経済財政運営の基本方針」に答申で得られた成果と残された課題を反映させ、政府全体の取り組みとする方針である。ただ、省庁側の抵抗が強く、実現には曲折が予想される。 


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