1月第5週(1/26〜2/1)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 鉱工業生産、4ヶ月連続減少(1/29) **
経済産業省によると、昨年12月の鉱工業生産指数は、96.1と前月比0.1%低下し、4ヶ月連続の減少となった。半導体製造などの一般機械の生産が低下した。昨年前半に回復基調であった生産は、夏をピークに下降に転じたことが鮮明になり、景気の息切れが濃厚となってきた。
同時に発表した2002年の生産指数は、前年比1.4%減の95.4であった。88年以来の14年ぶりの低水準となった。自動車と鉄鋼が上昇したものの、建設機械や半導体製造装置などの低下が響いた。
(2) 失業率最悪、2002年5.4%(1/31) ***
総務省によると、昨年12月の完全失業率は、5.5%と前月より0.2%上昇し、過去最悪の水準に並んだ。2002年の平均も5.4%と過去最悪である。倒産や解雇などによる失業が、依然高水準であった。また、2002年の有効求人倍率は、0.54倍と前年比0.05倍低下した。雇用悪化で、家計(勤労者世帯)の消費支出も、昨年の平均で前年比0.2%減となった。消費者物価物価も、昨年の平均で前年比0.9%減であり、デフレが続いている。
(3) 首相施政方針演説、改革加速を強調(1/31) **
小泉首相は、31日衆議院本会議で、就任後2回目の施政方針演説をする。低迷する日本経済再生のため、あらゆる政策手段を動員し、歳出、税制、金融、規制の4つの改革の加速を強調する。金融機関の不良債権処理は2004年度に終結させると明言し、金融危機は起こさせないという強い決意を示す。また、雇用機会の拡大を狙い、2008年をメドに海外からの直接投資残高を現在の2倍の13兆円程度に増加させる方針を新たに打ち出す。
(1) アメリカ「双子の赤字」急拡大(1/27) ***
アメリカでは、経常収支と財政収支の「双子の赤字」が急拡大している。昨年の経常収支の赤字は、4600〜4900億ドルと見られ、過去最高である。対名目GDP比でも5%に迫り、プラザ合意によるドル高是正が行われた80年代でも3%台であったのに比べると、高水準である。一方、財政収支は、景気後退による税収の減少や同時テロによる国防費の膨張から、2002会計年度(2001年10月から2002年9月)は、1500億ドルあまりの赤字となった。97年度以来の赤字である。ブッシュ大統領の減税政策やイラク攻撃の戦費などにより、当面財政赤字は続く見通しである。
(2) アメリカ、景気判断やや上向き(1/30) **
アメリカ連邦準備理事会(FRB)は、短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、現在の年1.25%に据え置くことを決めた。当面の政策方針も、景気の過熱と下降の両にらみでいく中立型を続けていく。アメリカ景気は、回復力が弱く超低金利による下支えが必要であるが、下降する危険性は低いとの判断に基づくものといえる。
完全失業率 | 5.4% |
完全失業者 | 359万人 |
有効求人倍率 | 0.54倍 |
消費者物価指数 | −0.9%(前年比) |
家計消費支出 | −0.2%(前年比) |
[寸評]デフレの下で、倒産・リストラにより、完全失業率は上昇し、家計消費も減少し、景気拡大を抑制している。