3月第2週(3/2〜3/8)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1) 東電、電力供給3月下旬に余力ゼロ(3/4) ***

 経済産業省は、月ごとの電力需要のピークに対し、供給余力がどれだけあるかを示す「電力供給予備率」が、東京電力管内で、3月下旬に初めて0%になることを明らかにした。原子力発電所の不正問題で、停止原発が全17基のうち3月中に16基になるためである。東電は、他の電力会社から供給を受けたり、試運転段階の火力発電所の電力を活用し、計350万キロワットの電力を臨時に確保する準備を整えている。このため、直ちに停電が起きる可能性はないが、経産省と東電は、節電キャンペーンなどで理解を求めていく方針である。 

 予備率は、通常8〜10%程度であり、2月の予備率は4%であった。3月は、ピーク需要、供給とも5100万キロワットで均衡するという。原発再開のメドガ立たないと、4月には全原発が停止し、電力供給は5000万キロワットを割り込む。そのため、4〜6月の予備率は、マイナスになる可能性がある。


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(2) 日銀、当座預金残高引き上げー20〜25兆円程度へ(3/5) **

 日本銀行は、量的金融緩和の目標である日銀当座預金の残高目標を、現在の15〜20兆円程度から引き上げることを決めた。4月1日に発足する日本郵政公社が、日銀に当座預金口座を開設するのに対応した措置で、5日の政策委員会・金融政策決定会合で決定する見通しである。市場では、日銀が当座預金残高を20〜25兆円程度に引き上げ、4月からそれに沿った金融調節を行うとの見方が出ている。


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(3) 株最安値、銀行・生保に深刻な打撃(3/8) ***

 7日の東京株式市場で、日経平均株価の終値がバブル崩壊後の最安値を更新し、約20年ぶりの水準に落ち込み、大量の持ち合い株式を抱える銀行や生命保険各社の財務に深刻な影響を与える可能性が出てきた。銀行界は、大手行全体で2兆円を超える資本増強や不良債権処理の進行で一息をついていたが、株価急落にブレーキがかからなければ、金融システム不安が再燃する可能性もある。


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[世界経済]

(1) 朱改革道半ば−らつ腕でWTO加盟も(3/6) **

 卓越した指導力で5年間で平均約7.6%の高成長を達成した朱首相が今回の全人代(国会)を最後に引退する。国有企業、金融制度、行政機構の三大改革を打ち出し、市場経済への転換を図り、WTO加盟という第二の改革・開放に踏み出したのが、朱首相であった。しかし、雇用不安や年と農村の格差拡大など、残された課題も多い。

 一昨年末のWTO加盟は、最大の試練であった。WTOという外圧を利用して改革に弾みをつけようとし、抵抗勢力の強い圧力があったが、加盟を実現できたのは江主席の強大な政治力があり、江―朱体制がうまく機能したとの見方が強い。


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(2) 全人代で2003年国家予算案を報告(3/7) **

 中国の全国人民代表大会(国会)で、2003年の国家予算案が報告された。これは、承認され、すぐに執行される。日本のように、国会の議論が長期化されることはない。歳入総額は前年比8.4%増の2兆501億元(約30兆7千億元)、歳出総額が同7.7%増の2兆3699億元(約35兆5千億元)である。建設国債を1400億元発行して、公共投資を拡大する積極政策を維持する結果、財政赤字が前年比3.2%拡大し、過去最大の3198億元(約4兆8千億円)に膨らむのが特徴である。財政赤字拡大を覚悟で、公共事業を拡大し、景気を下支えしようという狙いである。中国の積極財政の発端は、97年のアジア通貨危機であった。そのとき以来、昨年までの建設国債の発行総額は、6600億元(約9兆9千億円)に及ぶ。そして、現在都市部の失業率が4.0%、失業者が770万人に達しているため、今年も積極策が採られた。

 2002年の財政赤字の対GDP比は、3.0%でちょうど警戒ラインである。2003年は、計画どおり7%成長を達成した場合、同比は2.9%になる。経済成長している今こそ財政建て直しの好機という見方もあるが、中国政府がいつ積極的財政路線の転換を図るかは、今後の焦点である。


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