3月第4週(3/16〜3/22)*印が多いほど頻出(最高3つの*)


[日本経済]

(1)「景気横ばい」上方修正―3月月例報告(3/18) ***

 竹中経済財政・金融相は、3月の月例経済報告で、「景気はおおむね横ばいとなっているが、イラク情勢等から不透明感が増している」とした。2月の報告の「景気はこのところ弱含んでいる」から、8ヶ月ぶりに上方修正した。上方修正したのは、設備投資が2月の「下げ止まっている」から「持ち直している」に引き上げられたことが、大きな理由である。法人企業統計季報で、設備投資が10〜12月期に前期比3.9%増となり、八・四半期ぶりにプラスに転じた。


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[世界経済]

(1) 対イラク攻撃、アメリカ経済の消費・財政に重荷(3/19) ***

 アメリカでは、イラク情勢の緊迫化を背景としたガソリン価格の高騰が、家計や企業収益を圧迫し、企業の設備投資が低迷し、雇用情勢も悪化を続けている。一方、財政も赤字に転落している。さらに、戦争に合わせ、米本土でテロなどが起きれば消費者心理や企業の設備投資が急速に冷え込み、雇用悪化に歯止めがかからなくなる懸念がある。攻撃が短期で収束しても、戦後のイラク統治のため巨額の費用が必要なことにより、アメリカの財政赤字を深刻化させ、長期金利の上昇(クラウディング・アウト)を招く可能性もある。


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(2) WTO農業交渉2次案、自由化合意難しく(3/20) **

 世界貿易機関(WTO)は、農業分野の自由化の枠組み2次案を加盟国・地域に示した。日本のコメを含む高関税品目の関税率を最低でも45%引下げるなど、主な内容は1次案とほぼ同じ内容で、一部の修正に留まった。日本やEUだけでなく、アメリカなど農産物輸出国からの批判も強く、目標の3月末までの枠組み合意は難しい状況となった。

 2次案では、関税率が90%を超える品目は最低でも45%、平均で60%削減する。このため、日本のコメは、現在の関税率490%から270%に引下げられる。ミニマムアクセス(最低輸入制限枠)は、現行消費量の7.2%から8〜12%に引き上げる内容である。これは、日本のコメでは、76万トンから78万トンの微増となる。


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(3)イラク戦争、耐久度弱い日本、米も楽観できず(3/21) ***

 91年の湾岸戦争のときは、日本はバブル経済の最終局面にあった。失業率は2.0%と低水準であり、日経平均株価も2万3千円超であり、財政赤字も約6兆7千億円にすぎず、国際的な戦費負担に応じる余裕があった。しかし、現在の日本は、4年に及ぶデフレに状況であり、完全失業率は5.5%の高水準であり、株価も20年ぶりの低水準であり、外的ショックを受け止める余力は乏しい。しかも、景気回復は外需頼りのため、イラク戦争によりアメリカ向け輸出が減少し、消費が冷え込めば、景気が下ぶれする可能性は小さくない。

 一方、湾岸当時のアメリカは、三・四半期連続のマイナス成長となり、連邦準備制度理事会(FRB)が湾岸危機発生後の半年間で6回利下げし、戦争終結後に、緩やかに景気は回復に向かった。現在のアメリカ景気は、昨年10〜12月期の実質GDP伸び率が1.4%増と、前期の4.0%増に比べ急減速している。個人消費が息切れし、失業率に悪化の兆しが著しい。しかも、フェデラル・ファンド金利(最優遇貸し出し金利)が、現在は1.25%と、金融政策発動の余地は少ない。また、テロ再発懸念が消費者や企業のマインドを冷え込ませ、回復を阻むとの懸念があり、楽観はできない。


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[規制緩和]

(1) 構造改革特区、族議員・省庁骨抜きへ動く?(3/18) **

 政府は、18日の閣議で構造改革特区法改正案を決定する。改正案は、各省庁と合意した124項目の規制緩和のうち、学校経営に株式会社参入を認める学校教育法の特例など8特例措置を盛り込む。残る116項目は、全国的な規制緩和で対応する。しかし、族議員や関係省庁は、合意の骨抜きを目指し、効果的な規制緩和が実現するのか不透明である。早くも骨抜きを図る動きが表面化している。例えば、日本に居る外国人医師が同国籍の患者に限り診療できるようにする規制緩和について、厚生労働省は健康保険の適用外という厳しい条件をつけている。風邪でも数万円かかり、規制緩和を認めないも同然であるとの指摘がある。また、政省令改正で特区を実現するとした38項目について、逆に規制が強化されたケースもある。特区推進室は、政省令改正は国会審議が不要なため、省庁側の本格的な抵抗を警戒している。


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