4月第1週(3/30〜4/5)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1) 株安、金融・企業を直撃(4/1) ***
31日の東京株式市場では、日経平均株価が急落し、年度末では21年ぶりに8000円を下回った。イラク戦争の長期化を懸念し、売りが急増した。過去1年間の下落率は27.6%に達し、東証第一部の時価総額は70兆円強減少した。大手銀行の自己資本比率は10%割れが相次いだ。銀行は国際決済銀行(BIS)の基準で、自己資本比率8%を経営の目安としている。また、生命保険会社も全体で含み損に転じた。生保の3月期末の株式含み損は、大手7社で2兆円程度と見られる。
大手銀行の自己資本比率(2003年3月末) | |
[グループ] | [自己資本比率] |
みずほ | 9%程度 |
三井住友 | 10%程度 |
UFJ | 9%台半ば |
三菱東京 | 10%台半ば |
りそな | 6%程度 |
住友信託 | 10%台前半 |
三井トラスト | 8%台半ば |
(2) 日銀短観、大企業製造業5期ぶり悪化(4/1) ***
日銀の3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業でマイナス10となり、前回の12月の調査に比べ1ポイント下落し、5期ぶりに悪化した。イラク戦争で世界経済の先行き不透明感が強まるなか、企業の景況感の改善にブレーキがかかった。生産や輸出は伸び悩んでおり、景気の停滞感が鮮明になった。そして、大企業非製造業の業況判断指数はマイナス14と二期ぶりに改善した。通信などで改善が見られた。中小企業製造業は、マイナス29で4ポイント改善し、中小企業非製造業はマイナス36で横ばいであった。
注:DIとは、景況感が良いと答えた企業の割合から、悪いと答えた企業の割合を差し引いた値である。
(3) 産業再生機構法が成立―支援企業選定加速へ(4/3) **
銀行などから不良債権を買い取り、企業の再建を後押しする産業再生機構の設置関連法が成立し、産業再生委員会の委員などが発表された。これを受け、同機構は今月中に設立され、5月に実務が開始される。政府は、夏までに産業再生機構の支援企業第一号を決定したい考えで、スタッフが決定次第、本格的な詰めの作業に入る。有望な中核事業を抱えながら、過去の債務が重荷となり力を発揮していない企業が、支援の対象となりそうである。例えば、バブル以降の過剰債務があだとなり、積極経営に転じられない企業が少なくない流通や不動産業界である。
しかし、支援企業の候補に擬せられた企業の大半が、経営が悪化しているとの印象を与え、株価や取引のマイナス材料となりかねないとし、再生機構活用に難色を示している。
(4) 優先株の普通株転換、金融庁指針(4/3) **
銀行への公的資金注入時に、国が引受けた優先株を普通株へ転換する条件を定めた金融庁の指針が判明した。銀行が約束した経営健全化計画の目標を大幅に下回れば、頭取を退任させ、国が大株主として管理化に置く。また、個別行の経営難から金融システム危機の恐れが生じた場合、日銀特融などとともに、その銀行の優先株の普通株への転換を検討する。
指針によると、健全化計画の目標を3割以上下回るか、優先株が無配になると、金融庁が語生む改善命令を出し、それでも改善しなければ、頭取や役員の解任、給与の見直しなどの厳しいリストラを求める業務改善命令を再び出す。その上で、以下の場合に、原則普通株に転換する方向で検討する。
ア. 二期連続無配か二期目も無配見込み
イ. 自己資本比率が国際業務行で4%未満、国内基準行で2%未満の著しい過小資本
ウ. 収益基調が二期連続で相当悪化
エ. 早期是正措置でも改善しない。
指針は、主要行を対象に今3月期から適用するが、地域金融機関には別の指針を定め、来年3月期から適用する。