インフォーメーショーン・サービス67
独占の差別価格(改訂版)

 ある企業が、2つの市場で独占状態にある場合に、通常2つの市場の需要曲線は異なるため、2つの市場において付けるこの企業の独占価格は異なる。これが、独占の差別価格である。

 例えば、ある企業が、独占状態にある2つの市場が、図のとおり、国内市場と外国市場であるとする。国内市場の需要曲線と限界収入曲線が、それぞれD1、MR1であるとする。外国市場の需要曲線と限界収入曲線が、それぞれD2、MR2であるとする。同一の企業が生産するので、限界費用は、図のとおり一定であるとする。

 国内市場では、MR1=MCにより、利潤最大化が達成され、生産量はX1に決定される。このときの利潤最大化価格は、D1に沿ってP1となる。

 一方、外国市場では、MR2=MCにより、利潤最大化が達成され、生産量はX2に決定される。このとき利潤最大化価格は、D2に沿ってP2となる。

 このように、同一の企業が、2つの市場で独占である場合には、通常、それぞれの市場での独占価格は、異なるのである。これが、独占の差別価格である。 ただし、両市場の需要曲線が、全く同一である場合には、両市場の独占価格は一致し、この限りではない。


[演習問題] 独占企業が2つの市場をもち、それぞれの市場の需要関数が、P1=90−5Q1,P2=190−10Q2である。この企業の総費用関数が、TC=60+50(Q1+Q2)であるとすると、それぞれの市場での独占企業の生産量は、いくらになるか(Pi:i市場の価格,i=1,2、Qi:i市場の数量,i=1,2、TC:総費用)。

P1  P2 
1  4  6 
2  4  7 
3  6  7 
4  7  8 
5  7  9 


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