12月第2週(12/7〜12/13)*印が多いほど頻出(最高3つの*)
(1)税源移譲―来年度、まずたばこ税(12/8) **
国と地方の税財政改革(三位一体改革)の一環である税源移譲の論議が、大詰めを迎えている。政府税制調査会は、来年度、たばこ税を移す方針を決定している。手続きが簡単で、地域格差が少ないのが決め手である。しかし、地方は、基幹税である所得、消費税の移譲を主張して譲らない構えを見せている。ただ、どの税目を移しても、自治体が受け取る税額に差が生じるのは不可避であり、なお調整が必要である。
たばこ税は、国と地方が、たばこ1千本当たり3,946円を、半分ずつ分ける仕組みである。税率配分を変えるだけで、国から地方へ税収を移せる。また、他の税目に比べ、地域差も少ない。ただし、国の取り分は、現在9千億円で、将来も大きな税収を見込めないことに、地方の不満がある。来年度から3年間で4兆円の補助金を削減するとした政府方針の実現を考えると、基幹税の移譲が避けられない(12月10日に、政府・与党は、2004年度予算で、地方への補助金を約1兆円削減することに合意し、見返りの地方への税源移譲は、たばこ税で5000億円程度となる見通しである)。
(2)公的資金予防注入行、経営強化計画提出義務(12/11) **
金融機関に予防的に公的資金を注入できるようにする新制度の最終案が、明らかになった。注入を申請する金融機関には、期間3年以内の「経営強化計画」(仮称)の提出を義務付け、半年ごとに履行状況を報告させ、経営のモラルハザードを防ぐ。同計画は、収益性などの数値目標を盛り込み、資本注入時に公表する。公的資金の申請期限は、2008年3月末までで、財源の政府保証枠は、2兆円で固まった。
(3)2005年度から税源移譲は所得税で(12/12) **
自民党税制調査会は、国から地方への税源移譲について、たばこ税による税源移譲は来年度一年間に限る方針を固めた。たばこ税の移譲が、所得税など基幹税の移譲までのつなぎに過ぎないことを明確にして、基幹税の移譲を求める自治体の不満を抑える。
2005年度以降に行う基幹税の移譲は、所得税法などの税制の本則を改正して行う方針である。基幹税の移譲が完了した時点で、たばこ税の国と地方の税率配分は、変更前に戻される。財務省は、移譲される所得税の受け皿となる個人住民税の抜本改革の検討に取り掛かっている。
(4)日銀短観、業況改善でも円高で先行きに影(12/13) ***
日本銀行の12月の企業短期経済観測調査(日銀短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、大企業製造業で9月調査より10ポイント改善のプラス11と、97年6月以来の高水準となった。中小企業も改善し、堅調な輸出を背景に、景気回復の動きが中小企業にも波及していることを示している。
しかし、大企業の非製造業や中小企業の景況感は改善したとはいえ、依然マイナス圏に留まる。大企業の製造業と中小企業の非製造業のDIの差は、過去最大の39ポイントに広がり、規模や業種による景況感の格差は、むしろ拡大している。
3ヶ月後の見通しを示す「先行き」は、大企業製造業が3ポイント悪化のプラス8と、4期ぶりに悪化した。中小企業の製造業も2ポイント悪化のマイナス15を見込んでおり、景気の先行きは決して楽観視されていないことが、明らかになった。
(1)変わる中国―「労働模範」工員・農民から企業家へ(12/9) **
社会主義中国を象徴する労働模範の顔が、市場経済化により、工員や農民から成長をリードする私営企業家へと、交代しつつある。
21世紀に入り、労働者を搾取するものとされてきた私営企業家が、労働模範の新たな顔になりつつある。昨年、中国第二の靴メーカーの王総裁は、私営企業家として初の全国労働模範に選ばれた。昨年の共産党大会で、企業家の入党解禁方針が明記され、私営企業家の取り込みが党の発展戦略に位置付けられたことが背景にある。 一方で、旧世代の労働模範を取り巻く状況は厳しく、国有企業からリストラされたり、高齢で病気を抱えた労働模範も少なくない。党中央は、このような弱者になってしまった労働模範への生活補助を強化している。